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最凶魔王のまったり魔法教室  作者: No.44 Emperor
一章 最凶魔王のまったり魔法教授
19/22

レアル(2)+最凶魔王の初めてのお使い

どうも! Genshoです。受験生です。勉強中に唐突に書きたくなったので書きました。楽しんで読んでください。

 なんだかんだ言っても朝は平等に訪れる。

 本日も奴らのお勉強......今日は特にめんどくさいやつだ。


 そんな憂鬱ゆううつな気分なんて忘れようと努力しながら、それができずにいつもの公園へと移動していた。


「レアル、早いな」

「あ! おじちゃん! おじちゃんが遅いんだって!」


 あ? 言ったか小僧。俺にそんな口を聞いていいと思ってんのか?


「うるさい。やるぞ」

「あーい!」


 レアルは少し日が空いているが、前回では最後にファイアの魔法を成功させた。スペックではイシュト、クーフに劣るが、パワーだけだったらレアルが群を抜いてトップだろう。断然超火力型だ。


「じゃぁ、まず最初にもう1度 ファイアを見せてくれるか?」

「かしこま!!!」


 そう言って彼はこの前と同じように瞑目し、腕を前に突き出した。


ファイア!」


 ぼっ......


 大胆な叫びとは裏腹に無情にもレアルの炎はまるでライターでつけたような火の灯り方をした。


「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

「びっくりしたか」

「そりゃそーだよ!」


 俺もびっくりしたよ。お前が原因に気づいていないことに。

 もう朝来た時からはっきりしてる。お前が前回みたいに魔法を使えない決定的な理由が。って本人に言うと、


「なになに!? ねぇ教えて!!!」


 としがみついて来た。まだ気づく様子はない。


「お前......風邪ひいてるだろ。帰れ」

「えっ嘘!?」


<><><>


 その後、軽く治癒魔法ヒールをかけた後、家まで送り、親御さんに預けて当分出かけさせないように頼んどいた。親御さんも言っちゃ悪いが鬼の形相だったからな。あれはこってり絞られるだろ。


 そんなこんなで、今日1日は暇になってしまった。そういえば、この世界には学校はあるのかなんて疑問を抱いたことがあった気がしたんだが、結局その問題はどうなったのだろう。

 いや待てよ? この世界にも平日・休日という概念はあるのだろうか。魔界ではシュタルヴィッチ1世が就任した時を境に暦がだいぶ変更された。細かい話は省くが、1週間を7日として、その5日を平日......働く日にして、残りの2日を休日にしようとした暦が使われている。


 話を戻すが、今日はどのようにして過ごそうか。レアルが俺と特訓してたということはきっと今日は学校などはないのだろう。ということはイシュトやクーフにも会えるかもしれない。と思ったがやめておこう。こちらから行くのはなんかおかしい気がする。気がするだけだー。


 ふむ。俺は考えながらポケット代わりにしているーーーに手を突っ込む。


「──っ!!! こいつがあったか......」


 俺はきっと、この世界に来て以降最凶の下衆な笑みを浮かべていたと思う。


<><><>


 俺がそれの存在に気づいてからの行動は早かった。すぐさま1番最初にやってきた広場に戻り、換金してくれるような露店を探していた。

 俺が見つけたそのものこそが、硬貨......なのだが、この世界で流通している『ガル』と言う単位では当然なく、じゃぁどこかと言うと、『魔界』の金だ。魔界には金貨、銀貨、銅貨、紙幣とあったが、俺が持っているのは銀貨、銅貨が数枚ずつだ。


「あれ、金貨持ってなかったっけかな......」


 しかし、それだけでも、元は銀と銅だ。多少のかねにはなるだろう。それと、親父さんからもらった250ガルで何かあいつらのためになるものを買ってやろう。あいつらの驚く顔が楽しみだ......


<><><>


 露店巡りをしてから15分ほど。輪状の広場をもう既に1周し、今は2週目だ。


「うん、やっぱりここが一番いいだろ。換金的なのは」


 そう思った店の名は、『マクダナルダ』どうやら、隣にはカフェもあるらしい。

 だが、店頭を見てみると、ガル以外......と言ってもどれがそうかわからないが、様々な硬貨が取引されてるようだった。


「いらっしゃい。ご用は?」


 店の奥から、人の女将さんが出てくる。俺は直球に用件を話す。


「これ、他の国の硬貨なんだが.....ここでガルに変えることはできないだろうか」


 そう言って手渡した硬貨をしばらく見つめていた女将さんだったが、少ししたあと溜息をついてこう言った。


「どこのだい? これ」


 どうやらどこの国の通貨かと聞いているようだが......生憎私にも知らない。としか言いようがない。


「それなんだが、子供の頃祖父からもらったものだから、どこの国とは聞いていないんだ」


 咄嗟の嘘でそう答えた。


「ふぅん......あたしにも見たことない硬貨があるなんてね。

 いいよ。買ってやる。いくらがいい?」


 どうやら納得してもらえたようだ。とりあえずは一安心といったところか。


「いや、構わない。そちらの言い値で売らせてもらおう」

「本当かい? じゃぁこの1、2......15枚で1710ガルでどうだい?」

「1710!? いいのかそんな大金?」


 言われた額の大きさに驚きを隠せない。

 クテュルヴでの1ヶ月の賃金が250だから、その軽く6倍だと!?


「何を。大金なんかじゃないよ。2000ガルあったって、装備1式揃えるくらいしかできないよ」


 女将さんは投げやりに話すが.....

 っ! 俺も手元に今250ガルある。と言うことは......


「女将さん、ちょうどいい額であと40上げてくんねぇかなぁ......」

「あん? 言い値で売るっつったのはそっちじゃねぇか」

「いや、すまない。この通りだ」


 まさか、異世界に来て頭を下げるとは。しかも値上げで。予想だにしないな......


「いいよ、40ガルくらい。負けてやるよ」

「恩に着る!!!」


 よし、これであいつらに装備を買ってやれる!


「なぁ女将さん、ここら辺でいい防具とか売ってる店はどこだ?」

「あん? それをうちで聞くってことはあんた新参だね?

 うちならなんでも揃ってるし、ここら辺で規模も一番でかいよ。他のはいわゆる専門店さ」


 防具だったら揃ってるよ、と女将さんは話す。


「じゃぁ、ちょっと覗かせてもらうか」

「ゆっくりしてきな」


 女将さんの声を聞き流して、俺は店内へと足を踏み入れた。


<><><>


 はじめはなんの期待もせずに見ていただけだが、この店、かなりしっかりしている。防具、武器、ボーション、どれにつけても対魔王を想定して作ったみたいな強力なものだ。初心者セットと銘打って置いてある1800ガルほどの防具一式でも、かつて俺が相手した勇者軍の雑魚1匹の装備に比べたらかなりの代物だろう。こんなものを初心者に着せてみろ、下手な魔族でも吹っ飛ぶぞ......


 とりあえず俺が今探しているのは、イシュト用の魔法マジック・回復薬ポーション、クーフ用の軽い防具、そして、レアル用の大剣だ。

 しかしみる限りだと、やはり大剣はかなり値の張る物が多い。安そうなものでも3000ガルくらいした。

 俺はひとまずポーションと防具を手にし、値段を確認する。ポーションが一個20ガル。防具がローブみたいなヒラヒラしたものが1200ガル。ポーションを複数個買うと仮定して......


「残り700ガルか......」


 溜息にくれる俺の目に、1つのものが映り込んだ。


「なぁ、女将さん、これはなんだ?」


 手にとって見せたのは赤色の球体がついた指輪のようなアクセサリだった。


「あん? あぁ、これは炎属性のアクセサリだよ。魔力や攻撃力が上がるサポートをしてくれるものだ」


 なんだって! と言うことはレアルにぴったりじゃないか。俺は買おうとして値札に目を落とす。


「800ガル......」


 残念ながら縁がなかったようだ。あと少しの差なんだが......


「なんだい? 足らないのなら負けてやるよ? 初回限定だけどな」

「女将さん......」


 どうやら俺はいい店に出会ったようだ。これからも利用しよう。


「毎度!」


 ところで俺はふと思ったことを女将さんに尋ねる。


「なぁ、女将さん、1つ聞きたいのだが、この世界に魔王はいないのだろう? じゃぁ、こんな武器や防具を装備して、人は誰と戦うんだ?」


 すると女将さんは辺りを見渡し、衝撃の一言を発する。


魔族モンスターだよ。一部の人間は魔族モンスターを狩って生活してんのさ」

「なっ......!?!?!?」

去年の今頃は送辞送辞言ってたけど、今年は答辞答辞だぁ

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