最凶幹部(1)のまったり異世界探検
どうも! Genshoです。昨日も本当にすみません。送辞の練習とtwitterでご指摘いただきました三点リーダー含める改稿をしてました。本日もう一本投稿する予定です。
俺がこの世界に降り立ってから約2時間が経過した。今俺はロッジ──小屋と言ったほうが分かり易いだろうか。木でできた小さな建物の突き出した部分に腰掛けて、水を飲んでいる。
しかし非常に異常事態である。
ぶっ、くっ......
「ひ」常に「い」常って......
はぁ、くだらないことに不覚にも笑ってしまった......
しかし全く......
「はぁ......一体ここはどこなんだよ......」
ここに来るまでずっと考えてきていたが、もう何が何だかわからずに、頭がパンク寸前だ。
しかし魔界ではないことはもう確かだ。その理由がはっきりとしている。
「ふにゃぁ......」
お気付きであろうか。その理由というのが俺の隣にいるこの『人』の子供だ。身長は俺の半分ほどであり、幼さが際立つ顔立ちをしている。名前はニーナというらしい。どんな仕組みかは知らないが、なぜか猫人の耳が頭から生えている。
なぜこいつの存在1つでこの地がどこかわかるかというと、まぁ、こいつが......『人』が魔王軍幹部である俺に懐いてるということでもう確実だが、さらにはっきりとした根拠となる発言がある。こいつはさっき俺の質問にこう答えたんだ。
Q.魔王様はどうなったんだ! 教えろ!
A.魔王なんていないにゃ。
──となっ......!
こいつ曰くどうやらこの世界は魔王様の管轄外だというんだ。魔界に魔王魔の管轄外という場所は統一した以後1平方mmすらも存在しない。
ということはこいつが真のバカ者かほんとにこいつのいう通り、今俺が立つこの地がここが魔界じゃない、いわゆる『異世界』とかいう類のものかのどっちかだ。
「ふにゃぁぁぁぁぁぁ......
あぁぁ......マカロン食べたいにゃ......」
あ、理解した。
「そうか......両方か......」
「なんか言ったかにゃ?」
うっ、あまりにも鋭い勘に思わずギクリとしてしまう。しかし、メンタルコントロールは魔界時代から訓練を生まれてこのかた1度も怠ったことはない。極力普段通りの感情で接しようと試みる。
「いや、決してそんなことはない」
「ムゥ......絶対失礼なこと考えてるにゃ......」
くっ、しつこいなこの女(?)
「うるさい。黙れ」
「う......にゃぁ」
少し強くいうと寂しげに見えないこともない表情で俯いた。
とりあえず切り抜けることはできたか。しっかし、こいつの存在といいここでの常識といい、まだ未知なところが多すぎる。いくら精神の安定はできようともあまりにも混乱しすぎて安定どころかもう自分自身の存在がどっかいってしまいそうだ。
「はぁ、全くもってなんなんだこの世界は......」
そんな問いに答えられそうな奴が隣にいるアホただ1人だけだと気付いた時、俺の目の前が不安と焦燥で真っ暗になった。
「......うにゃ?」
<><><>
時刻は少し遡り、この世界、砂浜に来たばかりの頃。
「はぁ......魔王様、待っててくださいね。すぐ戻りますから」
俺はずっと歩いていた。ここが魔界の未開の地だと思い、くっ、ププッ......『ま』かいの『み』かいって......
......ぶっ......ブフッ......ぐん。
......はぁ。
──と思い、帰ったら魔王様に報告しようとまでも思っていた。
歩を進めていたそのとき、あるものが目の前に見えてきた。下ばかり見ていたから気づかなかったが、これはもしやっ......
「森か!? 砂浜抜けると森!? 森なんて何年ぶりに見たことだろうか。
魔界にはないような地形だな......」
魔界では砂漠とかではない限り、砂の近くには大概海がある。それを逆手に取ると、砂浜を見つけたらそれは水源があるという......
妙だったのはそのあとだ。森の中に水が流れていたのだ。
「エェェェェェェェッェぇぇぇ!?!?!?!?!?」
なぜだ!? なぜ普通の地面に水があるんだ!? 普通水というのは海にあるもんだろう! 砂浜の近くだから? しかしこんな細長い『海』など見たことがないぞ!?
やっぱりここは......魔界では......
「......待てよ、冷静になってみると喉が乾かないこともないな。少しだけ......1口ぐらい大丈夫だよな......?」
今考えると軽率な行動をとっただろう。もしかしたら有毒だったかもしれない。そんな思慮が足りなかった......この俺が......
そして俺はその水を手で掬い、自らの口に持っていった。そんな時だった。
俺の前方から水滴のような音が聞こえてきた。
「ジョボボボボボボ......」
そこを見てみる。きめ細やかな肌。ここからでは見えない小さな白い顔。細い脚には革でできたような装甲を纏い、の割に胸部装甲は薄く、布1枚である。
まずは人? がいたことに驚くべきだが、俺が驚きもできなかったのには理由が2つほど存在する。
1つ目。そいつの頭から獣の耳がぴょこんと出ていたんだ。
そして2つ目......さっきの水音......
海の水とは違うまた別の水がそいつの体──股下から流れてでていたんだ。
「ブフウウウウウウウウウウウウ!!!!!」
「にゃ?」
やばい。声をあげて吹いてしまった。いや、当然だよなぁ!? だって、その......な!?
目と目があう。こいつは目をパチクリして困惑している状態だが、俺はそんな余裕がなく、全身から汗という汗が吹き出て来るのがわかる......
「あ......」
『気づかれた』
......そう思った瞬間にはもう遅い。
「にゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?!?」
そいつは急に悲鳴をあげてあたりをばたついた。というわけでこちらから口撃を仕掛ける!
「五月蝿い! なななな、なんてものを飲ませてるんだお前は!」
「それはこっちのセリフにゃばかもにょめ! なんて事してくれるにゃ! 美しい乙女の純潔を奪うなんて! もうお嫁にいけないにゃ!」
「なぁ!? 俺がお前に何をしたと!?」
このやろっ、俺に罪をかぶせようとしてやがるっ......
「いろいろ見たにゃ......」
「不可抗力だ! 見たくて見たわけじゃない!」
「い、いろいろ聞いたにゃ......」
「ふ、不可抗力だ! 聞きたくて聞いたわけじゃない!」
くそっ、有る事無い事言いやがって!!!
そんな悪態をついていたが、次の台詞にこいつはとんでもないことを言いやがった。
「......てかまずお前誰にゃ」
「......あ?」
「ここにいるのは私だけにゃよ。ここら辺の森には誰も入ってこにゃいにゃ。だから別におしっこしても大丈夫だと思ったにゃに......」
「フゥン、だいぶ勝手な考え方だな。
しかし、やられてばっかりは癪だ。さて、こちらからも質問をしよう。さっきから人語を喋ってるが、お前は人語を操る魔族なのか?」
「私は立派な人間にゃよ」
「はァァァァァ!? その変な喋り方で!?」
「変とか言うにゃ! これはお師匠様から受け継いだ伝説の喋り方なのにゃ!」
「お師匠様......? もしかしてそれは魔王様のことか!?」
「魔王......? そういえばお師匠様もそんなこと言ってたような言ってなかったような......」
「本当か! じゃぁそのお師匠様とかいうやつに会えば魔王様が......」
「いや、いないにゃ」
「が......」
「いないにゃ。お師匠様にも同じ答えをしたにゃが、もう一度だけ言ってやるにゃ。ミャ王なんて、いないにゃ」
<><><>
そして現在に戻る。
このおもらし娘がニーナというわけだ。
まぁ、こんなクソみたいなもので、魔界じゃない......
「くくっ......ぶっ......」
「? 何笑ってるにゃ?」
「魔界の未開って......ぶぶっ......」
「......気持ち悪いやつだにゃ」
その罵倒さえも、俺の耳には入ってきはしなかった。
網野さん本当にありがとうございましt!