最凶魔王のまったりイメージ教授+イシュト(1)
どうも! Genshoです。昨日箒星影さんにtwitterを介してこの作品に批評もらいました。この場を借りてお礼を言わせていただきます。本っ当にありがとうございmした。
「おーい! おっじちゃーん!」
「連れてきたぞー!!!」
「おう、きたか」
軽快な足取りで、2人とプラスアルファはやってきた。そのプラスアルファは普段通りの様子で、見た感じ体調が悪いとかいうのもない。まぁ、あったらあの親が許すはずないか。そのうちこの世界の医学についても詳しく知りたいな。ま、時間があればの話だが。
さて、本題だ。俺はプラスアルファを呼んで、その話に触れて行く。
「おい、イシュト。お前が倒れた理由がわかったかもしれないんだ」
「本当!? 僕、治るの?」
すごい反応で食いついて来たな。どんな面持ちなのか......気になる。
「いいや、それはわからない。俺もやったことがないんでね。
いいか、今から言うことは全部 仮説だ。本当かどうかはわからない。それでも動じずに聞けると誓うか?」
「うん! 僕できるよ!」
イシュトはそう言って、笑って見せた。
「よし、わかった。たださっきも言ったが、治るかはわからないからな」
「うん!」
そして俺は、その仮説を全て偽りなく彼に話した。
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「それじゃ、僕の考えていたことと正解とが違ったってこと!?」
「いや、そんなことはない。あくまでこれは『イメージ』だ。イメージに正解なんてない、が......
まぁ、今回ばかりは端的に説明するのならばそうなるだろうな。本当に正しく言うんだったら俺とお前でイメージの誤差があったと言うことだ。どちらが正しいなんてものは決してない。これは『魔法』だからな。人智を超えた力に正解なんてあってたまるもんかよ」
「あははっ」
イシュトは、俺のこの怒りに微かに笑みをこぼした。
「なんだよ、何がおかしいんだ」
「いいや? おいちゃんが僕のために怒ってるって面白いなって思って」
「うるさいなぁ。怒ってねぇよ。お前らに魔法を教えるつったのは俺だからな。年甲斐もない俺にやることを与えてくれたお前らには感謝してるよ」
「へへっ、ありがとね。おいちゃん」
「......ああ」
くそ、ガキのくせに生意気な。
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そして授業の対象は3人へと戻る。
「よし、お前ら。ここで一旦イメージに関する話をするぞ」
大事な話だからよく聞けよと言って俺のイメージの授業が幕をあける。
「まず、これは最初からずっと言っていることだが、魔法の基礎基本は『イメージ』だ。それはお前らももうわかってるだろう?」
「うん」
「わかってるぜ!」
「ぼ、僕も......」
「だろ? だが、今回イシュトとクーフにはイメージの違いが生まれた。この理由は、まだお前らにはわからないだろうが、子供と大人では想像することが違う。例えば、天気をイメージしてみろ?」
「天気? 晴れとか雨とかの?」
「そうだ。どんなイメージをしたか?」
まずイシュト。
「僕は、太陽が出てる晴れのイメージだよ」
次にクーフ
「私も晴れだよ!」
最後にレアル
「俺は、今曇ってるから、曇りだ」
「みんなが今イメージしたのは、目に見える『天気』のことだ。これは比較的簡単にイメージできる。あえてここでは言葉を変えるが、大人は、この『天気』のイメージから、天気の移り変わりや、雨の量、明日以降の天気など、詳しいことをどんどん考えていくことができる。だけどお前らは違かった。1つのものをドンとイメージできたんだ。
それが悪いこととは言わない。しかし、イメージ力が一つに固まってしまうと、今回のイシュトみたいなことが起きる。だろ? イシュト」
「......?」
困った顔で首をかしげる。少し何言ってるかわかんない顔だ。
「お前は、俺に回復魔法のイメージを聞かれた時、なんて答えたか?」
「えっと、確か『誰も悲しまないこと』だった。ような気がする」
「その通りだ。それを大人は、『傷ついてる人がいる』と認識できる状況を前提でこの魔法を発動するだろう。しかし子供の思考、イシュトの思考は違かった。自分の意識とは別に『魔力』が誰かが傷ついていると認識した瞬間に回復魔法をずっとかけてたんだ。事実、子供や、体が弱い奴は魔力がその体をコントロールしてる部分もある」
「じゃぁ、僕が勝手に自分を痛めつけてたの?」
「いや、それは違うぞ。お前がやってたのは体に悪いことかもしれないが、人間として間違ってることではない。だから俺はお前らに教えてるんだろうが。これでお前も学習しただろ? 次に失敗しないように努力するだけだよ」
最後に俺は、できるか? とそれだけこいつらに問いかけた。
もちろん答えは......
「できるよ! 僕はやるよ!」
「私もできるよ!」
「お、俺もやってやるぜ!」
言ったな? ......覚悟しろよ。お前らめっちゃ強くなるぞ。なんせ俺は元最凶だからな。
「さて、このことを踏まえた上でお前にもう一回聞くぞ。さぁ、イシュト。まずはお前だ。お前が考える『回復魔法』とはなんだ?」
「クーフやレアル。あとおじちゃんとか! 『......誰も、悲しまないこと』だよ!」
「いいんだな?」
「うん!」
「よし。じゃぁそれを元に治癒を発動させよう」
「うん!」
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その話をしてから数分後。すっかり太陽も真上に見え、今日は暑くなりそうだ。しかし、魔界とは違う青い空というのも悪くないもんだな。
そんないい天気の中、イシュトに改善方法と正しい治癒の発動を教えているところだ。
「手をかざすんだ。そう、そこの指先、爪先のてっぺんに意識を集中させろ。
お前に必要なのは魔力のコントロールだ。その練習になるのが『集中』力の強化だ。
集中できれば自然と魔力も扱えるようになる。それが1回魔力に自我を奪われてるお前の体だから尚更だ」
「うぅ......んっ......」
1人苦悶の表情を浮かべるイシュト。その手には淡い光が帯びてきている。まぁ、なんだかんだでテストの時の成績が1番いいのもイシュトだったしな。
「ぐぅあぁ!!!」
「大丈夫か?」
「はぁはぁ......大丈夫だよ......」
やはり、病み上がりの体......まだ未発達の体だからな。無理はしないほうがいいか......
「少し休むか」
「......うん」
素直に頷くイシュト。流石に自分の体のこともわかるようになったか?
あ、そういえば今日の朝イシュトにとあるものを作って来たんだった。そうだそうだ。忘れてた。
俺はどこからともなく小さな紙袋を出現させ、イシュトの目の前に差し出した。
「おい、イシュト」
「うん? なに?」
「ほれ、今日の朝焼いてきた」
「なにこれ、クッキー!?」
「え!? クッキーあるの!? 俺も食べる!」
横からクーフが割り込んでくる。それに便乗してレアルもついてきた。おまけかよ。
「おい、お前らのために作ったんじゃな......喧嘩すんなよー」
イシュト。頑張れ。
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こいつらがクッキーを貪り始めて早10分がすぎた。子供の食欲おそるべしだな......
こんなん現役の頃のマリアでも食ってなかっ......この話はやめておこう。死んだ後が怖い。
「うわっ、なにこれ美味しい!!」
「ほんとだ!? おじちゃんお菓子も作れるの!?」
「好きなだけだ」
「へー......」
どうやら好評のようだが、口に合うようでよかった......との心配をする前に3人の俺を見る目がなんかおかしいのだが......?
「......なんだよ」
「いや、すごいなーって思って」
「そうか」
ぶっちゃけそこまでのものではない。菓子づくりだったらアルフの方がうまい。まぁ、あいつはそこまで好んで作るようなやつじゃなかったが。それと対照的だったのがマリアだ。あいつは菓子づくりが大の好物で、食うのよりも作る方が好きだったらしい。自称だぞ? だが不味い。下手だ。天性的なものなのかもしれないが、味覚が崩壊してる。あいつのクッキーだけは死んでも食いたくなかった。死んだがな。俺も。
「イシュトよ」
「ファひ? フォイファン!」
「あぁあぁ、口に物入れたまま喋んじゃない。汚いだろうが」
「(ごっくん)なに? おじちゃん!」
「言い直さなくてもわかってるよ。
お前、もし初級治癒を習得したらどうする? 中級もとっとくか? それとも他のものをやるか?」
「......?」
「あぁ、治癒は初級と中級で名前が変わらないんだよ。上級から『上級治癒』になるがな」
「......?」
「ちょっとなに言ってるかわかんないって顔だな。
よし、じゃぁ習得終わるまでに考えとけ。そう簡単にできるかわかんないからな」
「(コクンコクン)」
「後さりげなくお前らクッキー全部食ってんのな
イシュトも人の話聞きながらもの食えるってすごいぞ」
「えへへ......」
「や、褒めてない」
こんなこいつらにクッキーを作ったことを1ミリ程度後悔し、そのクッキーが俺の食う分すらも全部なくなった直後、イシュトが治癒を習得できたのはまた後の話にしたかった話だ。
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