最強魔王の初めての考え事、それと......
どうも! Genshoです。部活で足つった。ごめん嘘です。昨日はすみませんでした。毎日投稿するよー、つってそんなに立ってないのにもう無理でしたなんてバカみたいですよね。本当に申し訳ありません。twitterで言った通り前話の編集してたら時間がなくなってました。次からは頑張ります。
そんなこんなで日は変わり、翌日早朝、俺はクーフとレアルを引き連れてイシュトの家を訪れていた。
今更だが、イシュトの家のは、団地と言うのだろうか、木造住宅街の一角にあり、ここだけみればここが田舎の村だなんてわからないだろう。その中でも特に目立つのがイシュトの家だ。一般的な1階建ての木造住宅とは違い、1つ屋根が飛び抜けている。......金持ちか。気に食わん。
しかし、今回俺は他の家の裏に隠れてる。イシュトの家が絶妙な影を作ってるため、そこに隠れられている。おかげでさっきからチラッチラ見られてる気がするんだが、なんでこんな朝早くからみんな外に出かけんだよ! 見られてる方をを見返すとみぃんな視線をそらしてくるんだよお! 俺だって好きでこんなんやってんじゃないんだよ! あの親が気にくわねぇだけだ! 俺が直接行くと多分うまくいかないのは明確だろうから、この2人に連れ出してもらって、半ば強制的に昨日立てた仮説を速やかに立証するんだ。そんな緻密な計算のもと、俺はイシュトの脱出をこいつらに託すことにした。
「んじゃ、頼むぞ。クーフ、レアル」
「オッケー、ダイジョーブ、ダイジョーブ! 行ってくるよ!」
「俺もバッチリだぜ!」
とは言っているが、心配はしていない。イシュトの親もこの2人と仲良いのは知っているのだろうし、過保護ということは、交友関係も全て把握しているはずだ。体調を崩しているとかじゃない限りは、2人と遊ばせることは悪く思わないだろう。
さて、どうなるかねぇ......お、ここの家今日は揚げ物か。油の匂いがプンプンするぜぇ!!!
そんな他愛もないことを1人で考えて、あいつらよりも1足早くいつもの練習場へと歩を進めた。
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さて、今俺は例の公園へと向かっている最中である。住宅街も抜け、最近慣れて来たいつものこの村の景色がだんだんと見えてくる。まだ早朝ということで、周りの露店などは閉まっており、人通りも少ない。今更だが、この村って産業技術はどうなっているんだろうか。今度聞いてみよう。
ではここで今まで俺が散々名前だけ出しておいた仮説とやらを紹介しようと思う。
時は遡り一昨日、イシュトが倒れたあの時。あいつの症状は、まるで最悪量の魔力 使用過多だった。この症状とは、体内の魔力を全て、とは言っても8〜9割だが、を使ってしまい、自分の意識が保てなくなるものだ。当然気絶し、顔の血の気が引く、吐血などの症状が見受けられる。イシュトの症状にもこれらが見られた。
ちなみにだが、主に戦闘直後の者や、魔力のコントロールが不得手な子供に発症例が多く、魔界では死者も何人か出た時もあった。ま、遠い昔のことだ。今では医療技術もかなり発達している。
その症状とイシュトの状態がこれにかなり酷似していたんだ。気絶していた時の呼吸は浅く、ヒューヒューという音だった。吐血は確認できなかったが、肌が白くなっていて、鳥肌も少し立っていたように見えた。しかし、その後数時間でイシュトは回復し、会話もできるようになった。確かにイシュトの場合は重症とは言えない程度の症状だったと思うが、ここまでのスピードで回復することはあり得ない。少なくとも魔界では。
もしかすると人間と魔族ではまた違うのかもしれない。魔界で人間が発症する例は聞いたことがないな。俺の知らないところではあったのかもわからんが。
さらに不可解な点が、レアルに聞いても、イシュト本人に聞いても倒れる直前までには魔法のようなものは一切使ってないし、魔力も放出してないということだ。一応命に関わることなので、嘘をついたとかではないと思うが。それ以前にイシュトが俺に嘘をつくとは思えん......勝手な思い込みだが。
あぁ、だいぶ本題からずれてしまった。これから言うことが今回の総意になりそうだが、昨日、クーフに壁を教えてる時に思い出した子供と大人の相違点。魔法の『イメージ』の相違。これがどうイシュトにつながるのかというと、イシュトに教えた魔法と、『イシュトが願った』回復魔法の真髄を思い出して欲しい。あの時イシュトは「......誰も、悲しまないこと」と言った。
そのままの観念でそのイメージを捉えるなら、あいつは俺が『治癒』と教えた魔法をどこかで他の魔法に変換し、『治癒』という名の別の魔法を作り上げたのだ。その魔法の効能が『誰も悲しまない』ようになる程に。それは昨日のクーフも一緒だ。石をイメージして壁を忘れたり、山にしてしまったりと。
しかしここで重要なのが、イシュトが作り出した魔法はこれだけでは済まなかったことだろう。まだ幼く、未発達の自分の意思と関係なく魔力を振りまくことになる。これはどういうことかという時に、「......誰も、悲しまないこと」と言う言葉が効力を作動させるんだ。
それがなんだ、という説明をすると、こうなる。
『イシュトは自分の自我とは関係なく、いるだけで一定のスペースにいる人間を回復させようとしていて、それが一日中続いてしまったとしていたら......』
もしこの仮説が正しいと慣れば、使用過多するのも納得だ。あくまで仮説だが。
「さて、この仮説が本当に立証されることになるのか、それとも......うん?」
気のせいだろうか? 今何か人影のようなものがさっき見えたような気がしたが......
「気のせいか。危ない危ない」
......瞬間。爆裂。
ドッガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!
意味のわからないオノマトペが後方から聞こえてきた。
俺はとっさに回避行動をとるが間に合わないっ......
俺は回避を諦めて、魔法で対抗することにしたっ!
「なんだちくしょう!? 転移......」
プハァ!!! あぁ、抜け出せたか!?
......ゴホッ、ゴホッ!!! 今のはなんだったんだ......? 魔法......? 一体誰が......? 俺を狙って? それとも不特定多数に?
......どのみちただ事じゃねぇよなっ!
脳内に焼きついたけたたましい爆音。当たり一帯は燃やされ破壊し尽くされたかのような音だが、俺は見逃さなかった。
「ん? 防御結界張ってやがる......?」
一瞬の事だったので細かくは見ていなかったが、爆発後、少しだけ水色の薄い膜が見えたような気がしたんだ。距離にして俺の周り半径2〜3mだろうか。結界の中で閉じ込めて、ポイント的に爆発させる魂胆かよ! てかやっぱり俺を狙いにきてんなぁっ!
「くそっ、魔法教える身が魔法に何か教わらなきゃいけねぇのか!?」
あと、今記憶の断片から前世の記憶を蘇らせたが、やはりさっきの膜はかなり上級の結界系統に属するような防御魔法だ。おそらく薄さは0.02mmだな......
何故俺が狙われた? あいつら......イシュト、クーフ、レアルの3人は無事なのだろうか......それは考える意味もない。結界が張られていたと言う仮説を立てたとして、周りに被害がないことから立証される。その結果結界によってこいつらは無事である。多分。
それよりだよ。なんだって俺が狙われる理由があったんだ。愉快犯か無差別か? あり得るとしたら前者だろう。無差別にこの攻撃をするのだったら結界など張らないだろうし、結界を張れるほどの実力者がこんな馬鹿な真似をするはずないと思ってる。勝手にだが。
「くそっ、なんで異世界に来てまで争いごとなんかに巻き込まれるような真似されなきゃいけないんだ!」
そんな悪態をついて、正しい『治癒』を自分に使用したが、きっと俺が見たであろう人影はすでに、消えて無くなっていて、俺の周りには結界どころか、何一つとして不思議なものは見当たらなかった。まるでそれが日常であり、ついさっきまでの非日常が幻影のように。
僕には有り余る♪ 宿題がありあま〜るぅ〜うぅ♪