小ネタだとか その4
現在、部活メンバーは邪神の復活を阻止するため、亜空間に移動して全力で戦っている。
戦力にならない俺は別任務のため、学校内を走り回っている。
「これが邪神の実力ってわけぇ!?」
「攻撃防ぐだけでもキツイんですけど!」
「RPGまで効かないなんてな!」
巨大な怪物に向かって、陣内が飛びかかる。
「ジェットサンダーアタァァァック!」
繰り出した蹴りは、怪物の半身を吹き飛ばした。
「こいつもオマケだ!」
ボブが手榴弾を投げると、怪物の身体は更に削られる。
しかし、直ぐに再生され元の大きさに戻ってしまう。
「食らいなさい!」
芥川の全力を込めた魔法が怪物に直撃して爆炎を上げる。
「一気に押すわよぉ!」
瀬川が指をパチリと鳴らすと、無数の魔方陣が形成され、そこから青白い光弾が次々と発射される。
「OK! リーダー!」
怪物は白煙に包まれているが、グレネードランチャーを連射するボブ。
「ジェットアルティメットインフェルノォォォオオォォ!」
煙が収まり、小さな欠片のみを残した怪物に陣内の必殺技が炸裂する。
しかし、これでも止めにはならないだろう。
俺は目的の人物を捕まえると、瀬川に話しかける。
『対象確保! プランBに移行! プランBに移行!』
「了解ぃ! 皆ぁ逃げるわよぉ!」
瀬川がゲートを開き、全員が一斉に飛び込む。
部活メンバーが亜空間から出てきたのを確認したと同時にゲート内に確保した人物を投げ込む俺。
「ちょ、山田!? なにする……」
「ゲート封鎖ぁ!」
瀬川が亜空間へのゲートを閉じる。
「ちょっとシャレになってなかったわねぇ」
「危ないところだった」
「久々に死の匂いを感じマシター」
皆ボロボロの姿になっている。
これは、本気でヤバい展開だった。
「でも、本当に大丈夫なの?」
芥川が心配そうに聞いてくる。
その言葉に応えるように瀬川が亜空間内の映像を投影する。
そこには、巨大な怪物を前に腰を抜かした犬飼が映っていた。
『な、何だココ!? 山田は俺に何をしたんだ!?』
すると、目の前の怪物がゆっくりと動きやがてボウンと煙に包まれる。
白煙が消えて、現れたのは紫髪の美少女だった。
両手を腰に当てて、むくれた顔をしている。
『ちょっと! アンタ誰よ! さっきの連中はどこに行ったの!?』
『そ、そんな事、い、言われても』
『大体何よアンタ! せっかく復活して世界を滅ぼそうとしてるのに!』
『いえ、ほんとごめんなさ……』
謝ろうと無理やり立とうとして、そのまま美少女を押し倒しパンツ全開にして胸を揉む犬飼。
『キャー! 変態!』
『ちょっと待って! 違うんだ!』
ぎゃあぎゃあと騒ぎ出す二人を見ながら俺は頷いた。
「ミッションコンプリートだな」
「あ、何か頭撫でて慰めてる」
「顔が赤くなってるわぁ。落ちたわねぇ」
「ホントに凄いなラブコメ補正」
「正直、どんな敵より犬飼クンが怖いヨー」
この様に、犬飼のラブコメ補正は度々世界を救っている。
この後、邪神さんはうちの学校に転校してきたことは言うまでもないだろう。




