白い部屋と白い丸
続くかもしれません。
ここは白い部屋です。
何もない、まっしろな部屋。
そこにあるのは、一人の少年と白い丸があるだけです。
その少年、今は倒れています。
きっとここに来るときに何かしらのショックがあったのでしょう。
少年、起き上がりました。
周りを見回します。
そして「はて?」と言わんばかりに首を傾げました。
それも当然でしょう。彼も普通に生活をしていたら、気づけばここに居たのですから。
白い丸が喋ります。
「キミは誰?」
少年は驚きます。
それもそのはず。その丸には顔も手足もない、本当に唯の丸なのですから。
少年、驚きながらも会話を続けます。
「そっちこそ何者だよ」
白い丸は答えます。
「僕は唯の丸い奴だよ。呼び方に困るようだったら『まる』って呼んでよ」
「『まる』……まるね。じゃあ俺も名前、言わないとな。元々聞かれてるのはこっちだし」
少年、『まる』呼びに困惑しながらも続けようとします。
「……あれ、俺の名前、なんだっけ。思い出せない」
まるは言います。
「違う違う。僕は名前を聞いてるんじゃないんだ、君はどういう人間か教えてほしいんだ」
少年、またも困惑します。
「『キミは誰?』だけで自分の存在を聞かれてるとはとても考えにくいんだけど」
まるは、悪気が無いような口調で答えます。
「当然さ。たった今質問内容を変えたからね」
少年、苦笑い。
とりあえず、とまるは続けます。
「とりあえず、キミの呼び名を決めようか」
「呼び名って言ったってな……大したことやった記憶なんてないし。俺、『普通』なんだろうな」
「普通、ノーマル……マルだと僕とごちゃごちゃになっちゃうからし。『ノーマ』なんてのはどう?」
まるは提案します。右手がインデックスしてレールガンを撃たれそうな名前ですね。
「他に思いつかないし、それでいいや」
少年、もといノーマは承諾したようです。
続く?
続かないかもしれません。