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6/15

26~30話

>26

ラインハルトさんは凄まじくモテる。寧ろ自分の魅力をフル活用して人を破滅させるのが趣味のような物だ。

僕も女装した時調子に乗って男をべた惚れさせてしまい、ノリで金をむしり取った経験があるので、あんまり他人の事は言えないが。

尚今も財布だ。途中で無い筈の良心からバラしたら、「男でも良い」と迫られもう色々諦めている。

更には割とヒモもやっているので、屑度で言えばどっこいである。

しかし彼のファム・ファタールっぷりはちょっと格が違う。出来ればお近づきになりたくない人間だ。

っていうか、死んだ方が世界の為である。その内何かでかいのやらかしそうだ。

「いやぁ、失敗した。危ないとこだったよ」

「趣味で他人を破滅させるのは構いません……いややっぱ良くないけど、とりあえずギルドに迷惑かけるのは止めましょうよ」

今回は力のある女商人を惚れこませてしまったらしい。そうやって手に入れた汚い金を資金源にしているから、咎めるのは少々厳しい。

ただ、今回は相手を怒らせてしまった。彼の大事なボスを手にかけようとして返り討ち、一族郎党始末させたのが今回の顛末。

僕は単に後片付けだ。勿論ボスには秘密。

「君だってこの楽しさ、分かるだろう? 自分みたいなサイコ野郎に現を抜かして全部投げ捨ててしまう、その滑稽な事と言ったら」

「アンタが引きずり込んだんじゃないですか。良い思い出来てお金稼げて他人も苦しめられる、天職だとは思いますけど」

「あっはっは、屑過ぎて気持ち良いぐらいだな! どうせだ、僕と天辺目指さないか?」

「何の頂点なんですか! 屑ですか! サイコパスですか!? それとも悪女的な!?」

「うーん、どうせなら全てを己の手中に収めてみたいな。方法は問わず」

「アンタと一緒にするのは止めてくれ、このラスボス野郎!」

血と死体に溢れる屋敷で、証拠隠滅しながらボケを挟む。これが狂気で無くて何なのか。

元凶を呆れて眺める。返り血に塗れ月光に照らされる男は、確かに退廃的な魅力を放っている。

だが明らかに死亡フラグだ。踏む奴の気が知れない。

「権力者は金でも力でも手に入らない物を好む。火に飛び込む羽虫のようで愛でたくなるね」

「人を羽虫だと思ってる事か、自殺志願の羽虫が好きな事か、どっちに突っ込めば良いですか!」

「別にお前人間全員ペット扱いしてて区別してないだろ、かなぁ」

「ボス含めて!? 怖っ! アンタの良心はどこだ!」

「そんなもんへその緒と一緒に切り捨てて来たよ。因みに自分含めて人間に価値も愛情も感じていない」

「うわぁぁあ、人じゃなくてただの災厄だこの人ぉ! ただ人を傷付けるだけの破壊兵器じゃないか!」

彼は良い笑顔で僕を撫でる。べっとりと血がついた手で。

嫌がらせか! 嫌がらせだ!

「君もこっち来いよ。欲望に正直になって、ただ人を苦しめる為に生きるって言うのも楽しいぜ?」

「流石にそこまで正気投げ捨ててないです! SAN値マイナスまで振り切れるつもりは無いんで!」

「おや残念。では深淵に引きずり込む策でも用意しようかな」

「僕まだ人間で居たいんで止めて下さいマジで! アンタふつーに1D100ぐらい削って来るじゃないですか!」

「神話生物? 褒め言葉だ」

「アンタどんだけ人間辞めたいんですか……」

この人と関わっていると、既に0なSAN値を削られて辛い。

というか、今の状況が既に底なし沼に引きずり込まれているのでは。恐ろしい想像を振り切って、僕は仕事に戻った。


>27

妹の誕生日プレゼントを考えていたら、義妹がプレゼントは何が良いか、と聞きに来た。

ナイフをくれてやった。

「自分で考えろよ。ほらあるだろ。プレゼントは私の心臓とか」

「ねーよ! どうやって渡すんだよそれ! 目の前でぱっくり行くのか! サイコか!」

「サイコだよ!」

店の前でナイフの応酬をする。

怒られて放り出された。

仕方ないので、仲良く斬り合いながら歩く。誰もが僕等の為に道を開ける。モーゼになった気分だ。

「あぁ、良いもん思いついたぞ。てめぇの生首だ!」

「そりゃ最高のプレゼントだろうなぁ、僕だって自分が二人以上居るならやりたいわ!」

「お前のサイコっぷり何なの? 地獄に行っても悪魔から入獄拒否られそうなレベルじゃねぇか!」

「悪魔騙して兄弟二人でずっと生きられるようにしてあげたよ、やったねテュケちゃん!」

「うおぉ、洒落になんねー! やっぱてめぇは今ここで殺す!」

彼女が本気で殺しに来た。頬をナイフが掠る。圧倒的に不利だ。

ここは自分の幸運と彼女の不運を信じるしかない。僕は咄嗟に人ごみに紛れる。

「てめぇ!」

「あ、イシュター」

「テュケ!?」

作戦成功である。上手い事買い物袋を持っている妹と出くわしてくれた。

「すまん、今お前の誕生日プレゼント収穫の為急いでるんだ。ちっと離れてくれ」

収穫されたくないのでもっと離れる。

「あの、それなんだけどね」

もじもじしながら、妹は袋から何かを取り出す。

首輪だった。

「これつけてくれないかな?」

「……えっ」

「絶対似合うと思うの! あ、手錠とか足枷でも良いよ? ね、駄目?」

「いやいやいや、待て、取り敢えず話し合おう! なっ!? もっと良い物買ってやるから!」

あぁ、ヤンデレ進行してる……。

僕は見なかった事にして踵を返した。


>28

リヴィはとても美味しそうに料理を食べる。

そのせいで、僕はつい彼に料理を振る舞ってしまうのだった。

「何したらこんな美味くなんの!? お前天才だな!」

「これでそのレベルならボスとラインハルトさんは何だよ! 神か!」

「神だ!」

突っ込む気力すら起きない。

普通のハンバーグである。間違っても人肉ではない。

「はっ、今お前、太らせて食おうって思ったな!?」

「日頃の素行が悪いし強ち間違ってないけど理不尽! っていうか太らせなくても肉収穫出来るだろ?」

「もはや餌すら与えてない!?」

何となく冷蔵庫を見る。野菜だらけだ。確かラインハルトさんがある程度栄養管理している。

「草ばっかり食わせると臭みが無くなって美味しいんだっけ」

「あれっ、もしかして俺ラインハルトさんに美味しく加工されてる!?」

「あの人ならやりかねん……」

っていうかたまに制裁と称して肉を削いでいる気がする。言わぬが花か。

「肉の味は食う物によるらしいから、甘い物ばっか食わせて糖尿病にしたら甘いとか聞いたな……」

「それお前じゃね?」

「わぁい、二人揃って主食とデザートにして食われるオチかなこれはー」

「ボスに出して、「美味いなこれは、何の肉だ?」「ふふ、秘密」って感じで」

「THE・ヤンデレ! でも割と洒落にならない! 生けるホラーだなあの人!」

想像出来るし理由もあるのが怖い。ヤンデレ怖い。

そう言えばボスもラインハルトさんもリヴィの食事を作っていたが、何故ボスで無くラインハルトさんが栄養管理してるんだろう……。

僕はこれからリヴィに肉を食わせようと決意した。


>29

この前から気になっていた事がある。

「ボス……もしかしてボスって、僕と年、1つ2つしか違わないんじゃ……」

「私は23だが」

「うわぁ、やっぱり」

ボスは10歳未満の時にラインハルトさんに会い、それから15年経ったと言っていた。つまりそういう事だ。

「ボスと僕じゃ下手すりゃ親子ですよ!」

「せ、精々年の差13ぐらいだろう! 私は流石に三十路には見られていないはずだ!」

「僕の年はナチュラルに-7、8してません!?」

「鏡を見たまえ」

「酷い!」

しかし、これで1歳差は無理がある。足して2で割って丁度良いぐらいだ。

ラインハルトさんが並ぶともっと面白い事になるだろう。

「まずラインハルトさんを女装させます」

「ん?」

「ボスと並べ、間に僕を置きます」

「駆け落ちだな」

「ペットとしてリヴィを飼います」

「そこに理想のマイホームがあれば完璧だ」

「一体何を目指してるんです?」

駆け落ちとか言ってるが、キャベツ畑から子供が生えてくると思っている男だ。

割と普通に男同士で子供出来ると思っている可能性がある。怖い。

「ある日の昼下がり、夫の居ない家にやって来る宅配業者。彼は魅力的な団地妻に麦茶でもどうかと誘われホイホイ上がってしまう」

「ちょっと待って、何見たのアンタ」

「だがそれは罠だった! あっさり倒され、拷問で駆け落ちした坊ちゃんを連れ戻そうとした刺客である事を吐かされ始末される!」

「待って待っておかしい」

「よく分かっていない子供と一緒に解体して、妻は帰って来た夫に、今夜は焼き肉パーティだよと骨付き肉を振る舞うのだった」

「何そのサイコホラー!?」

「尚、ペットはスタッフが後で美味しく頂きました」

「リヴィ無駄に食われた!!」

何でAVからサイコホラーになるんだよ、ラインハルトさんの仕込みか。仕込みか!

というか裏で僕等が何してるか分かって皮肉ってんだろうなこの人。天才こえー、と思いながら気付かなかった事にした。


>30

娼婦が道端で客引きをしていた。

ボスの腕を掴み、「私と遊ばない」と聞く女。ボスはその露わな胸を見て固まっている。

「おじさんは私と遊んでるの! 邪魔しないでよっ」

援交中の振りをして追っ払う。ロリコンにドン引きしていた目をしていた。

泣いて良いかこれ。僕別に女装してないんですけど!

「す、すまん、助かった。しかしどうして彼女はあんなに淫らな格好を……」

「そういう商売があるんですよボス。あのでっかい胸が裸で目の前にあったら嬉しいんじゃないですか」

「違う、恥ずかしい格好でこちらまで恥ずかしくなっただけだ! 好きな相手以外に裸を見せてはいけないんだろう?」

下を見る。本気だ。空いた口が塞がらない。

「ボスは恋愛対象女ですよね?」

「あぁ、間違っても女装の似合うヤンデレシスコンサイコパスだったりヤンデレインテリヤクザだったりしないぞ?」

「不死身のドジっ子なんてどうです?」

「真面目に殺しても死なない人間の方がヤクザの頭には合っているかもな……」

「何か色々見失ってないですかボス!!?」

……ヤクザかどうかは考えない事にしておいた。

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