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パワーバランス


「あはははっははあああ、あははははははは!……ちっ、薬の効果が切れやがったか。まあ丸薬だから仕方ないか…それよりも現実になったってことは新たな薬を作ることができるかもしれん。

いい勉強になったな。百聞は一見に如かず」

 

 うんうんと頷いていると声がかかった。


「…あの、お礼を申し上げます。私は村長のアリオンというものでございます。村を代表してお礼を。村を助けていただきありがとうございます。い、今村はこんな状態でして何のおもてなしもできませんが、助けていただいた方にこのまま何もしないということは

心苦しいものがありまして…何か御用件はございますでしょうか?」


「ふむ、とりあえず寛げる場所はあるかな?休みたいんだが」


「それでしたら私の家へお上がりください」


  そう言って広場のすぐ隣にある周りの家よりも少し大きな家を指差した。


「何しろ辺鄙な村でして何もおもてなしできませんが…」


「ツパイ様。こちらも残党の殲滅完了いたしました。生き残りはどういたしますか?」


「………そうだ、ラビリントスからミノタウロスを呼んで担がせよう」


  ミノタウロスは人間の体に牛の頭が乗った亜人の一種(Next Earthの中では)で、大きさは3~4m。その剛腕となかなか尽きない体力、物理耐性と数多くの戦士職を泣かせてきた初心者キラーである。さらに倒しても『ミノタウロスの肉』(調理アイテム)しかドロップしないので『嫌いなモンスターランキング』では常に上位に食い込んでいた逸材だ。嫌がらせにこれほど適したモンスターはいない。

  普通ミノタウロスは森や草原に生息すると設定されているが、『ラビリントス』だけは神話にちなんでミノタウロスが沸くようになっている。というよりラビリントスでは35レベルのミノタウロス以外出現しない。

  これにちなんでラビリントスではミノタウロス系のモンスターしか使用しないことにした。

  理由は面白いから。他にもいい壁になってくれるということや戦士長の特殊技能で強化し易い(ミノタウロスしか強化できない)こと、さらにミノタウロスの特殊技能の1つ咆哮(シャウト)を使えば相手の動きを一時的に止め、且同族系モンスターを集めることができるということが挙げられる。問題は他のギルドホームに沸くNPCよりも数の上限が低く、その大きさゆえによく道を塞ぐということだろうか。

  ここに呼ぶ理由は自分たちで運ぶのが面倒だからというのもあるが、仮にも亜人なのだから知能も多少はあるだろう。と思ったからだ。


「ミノタウロスですか…なるほど。さすがツパイ様。あの大飯喰らい共も偉大なる死の眷属のために働くことができると知れば泣いて喜ぶでしょう」


(牛が泣く姿なんて別に見たくないんだが…)


「オルフィア、すぐに呼んでくれ。俺はちょっと寛いでるから」


「お、お待ちください。ミノタウロスをこの村に呼ぶというのですか!?」


「?その通りだが何か問題でも?」


「ミノタウロスは誰でも知っている凶暴なモンスターの代名詞です。その大きさと圧倒的な力で数多くの冒険者の命を奪ってきた難易度70を超えるとされるAランクモンスターですぞ!?」


「あいつらがAランクモンスター?」


(この世界はとことん弱い奴らが集まっているということか…だがまだ気は抜けない。俺と同じように他のギルドも転移している可能性もないとは言えないからな)


「その点はご安心を。ただのミノタウロスだけではなく指揮のできるものも連れてくる予定ですので。村に乱暴するということも無いでしょう。それにいざとなったら俺が殺します」


  最後の一言に村長は震えながら首を縦に振った。どうやら俺と山賊の一騎打ちを思い出したようだ。あれだけの強さがあればミノタウロスも倒せるに違いないと踏んだんだろう。

  そしてその考えは決して間違っていない。


「ではとりあえず村長の家にお邪魔させていただくことにしましょう。オルフィアはミノタウロスとミノタウロス・リーダーを呼んでおいてくれ」


「了解しました」


  俺はオルフィアの返事を後ろで聞きながら、村長と一緒に家へ歩いていった。

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