尋問
「~♪ な~いぞ~うグッチャグチャ♪ ぐ~りぐ~りめっちゃくちゃ♪あぁ!いい!!いいわ~!!やっぱり最高!!この返り血、この匂い、この色、 あぁ!! 気持よすぎて何処かに飛んじゃいそう!!
あぁ、失敗しちゃった。殺しちゃった。あ~ん~どうしよう。あ、そうだ、復活の魔法で生き返らせたらいいんだ。3階級魔法『蘇生』っと。クフ! 私って天才!! クフ、クハ、クハハハハハハハハハハハハハァ」
(…怖ぇ…。えっ?あいつこんなキャラだったっけ?俺の中のイメージだと『ほわほわしたお姉さんタイプ』だったと思ったんだけど…ここに来るまではそのイメージ通りだったよな?
なんでこんなにキャラ変わったの?それとも素がこれか?)
「オルフィア、その辺にしておけ」
この場にいるのは山賊だけではない。村人もおびえて目でこちらを窺っている。今拷問ショーをやっているこの場所は村の広場だ。山賊共はここに村人を集めて一気に殲滅する予定だったらしい。
ずいぶんと手馴れていたので何度も繰り返してきた行為だったのだろう。あのとき俺たちが来なければ完璧な作戦だっただろうが…ご愁傷様。
「そ~れもう一丁!~♪ な~いぞ~うグッチャグ――はい。かしこまりました。そうしましたら彼らはどういたしますか?」
「そうだな…その辺に穴でも掘って埋めるか」
「畏れながら申し上げます。私にもう少し時間をいただけるのであれば彼らの持っている情報をすべて引き出すことができると愚考いたします。彼らを6階層へ招く許可をお与えください」
6階層へ招くということは山賊たちは地獄へ行くということだ。あまり乗り気ではない。はっきり言ってまだ俺は人を殺すということに抵抗がなくなったわけではない。拷問なんて尚更だ。
しかし情報を集めるという点に関して拷問が必要ということもわかっている。問題は誰がやるかだ。
「ふむ、6階層か…で?誰が担当する?お前か?」
会話が聞こえていたのか手足を砕かれただけでまだ死んでいない山賊たちが「ひっ」という悲鳴を漏らす。
「担当ですか?担当も何も6階層にはメルリアがおりますが…?」
「あっ、そうか」
(メルリアか…居住区にいないメイドはあまり覚えて無いんだよなぁ。関わる機会がないし。『寿限無寿限無~以下略』付きのメイドで種族が機人だったことは覚えてるんだが)
メルリア・クラッド。身長190センチの長身。出るところは出ていて、引っ込むところは引っ込んでいるメリハリのついた身体。無口、圧倒的な無口。髪の毛は腰まであり色は黒。
その黒い髪の毛にはところどころ赤色が混じっており、テーマは『血が付いちゃいました♪てへっ』となっている。居住地ではなく常に6階層にいることから拷問官兼メイドと思われている。
ちなみにエリザ、オルフィア、オルガ以外のメイドは皆居住地以外に配置してあるメイドでそれぞれ料理長、鍛冶師、司書長、楽師、戦士長、暗殺者、拷問官となっている。
「メルリアなら心配は要らないな。専門分野だし。よし、山賊どもを運ぶとするか。2階級魔法集団転――
「待て!」――あぁ?」
振り向くと先ほどの山賊よりも武装がいい集団がいた。こいつらも仲間なのだろう。
「お前らよくも弟たちを…ぶっ殺してやる」
オルフィアが俺の前に立とうとするが手で制する。
「下がれオルフィア。こいつの相手は俺がする」