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ACT:19  ウィナーアイテム・スズキタロウ!

前回評価してくださった人、お気に入り登録してくれた人ありがとうございます!

久しぶりにポイントが上がりました。おかげで一時ジャンル別日間・週間ランキングに載りました。これを糧にまた頑張ります。


ところでこの小説、携帯閲覧の人が多いのですが、見にくくないでしょうか?

PC投稿なので……


 その日、おれ達のクラスではこの学校に来た転校生と留学生たちについて話題になっていた。

 というか、おれ達の前で、現在進行形で話題を振りまいている。

「で、タロー? 三人の中ではあんたがまとめ役でしょう? この二年間、私たちの誘いをことごとく無視してたのは何で?」

 昨日捕まったおれ達はあのまま学校では逃げないように脅さ……くぎを刺された。まぁ、失礼だしね。

 そんなワケで今日ついに霧ケ峰高校まで刀華とロロはおれ達を追ってきた。コイツラ何度も断ってんのに、しつこく勧誘してくる。二人は惑星開拓のパーティーを一緒に組もうと誘ってきているんだが、別におれ達じゃなくてもいい腕持つプレイヤーは沢山いるだろうに。

 今は刀華が一人、おれに交渉しに来ていた。

 胸はぺったんこだが、整った顔立ちに長く白い脚は他の生徒の視線を集める。胸はぺったんこだが。大事なことだと思うので二度言いました。

 正直、こんな形で目立ちたくない。〝ターゲット・オブ・スズキタロウ〟と同じように厄介事しか起こらないだろうからな。

「……言っていいのか?」

「……最近聞いたセリフだけど、言いなさい」

「……お前と行動したら無駄に注目されんじゃん」

「それの! どこが! ダメなのよ!?」

 机をバンバン叩きながら、訴えてくる刀華。どこがって、お前……

「お前みたいな美少女と行動したら、おれ達みたいな〝モブ・オブ・モブス〟なんか嫉妬で異世界転生を繰り返した挙句、全異世界を転生コンプリートしてしまうわ」

 最終的に元の世界に戻ってきて、おしまいみたいな。

「び、び、び、美少女っ!?」

 何を今更。プレイヤー情報マガジンでグラビアまでこなし、自らも美少女を名乗ることすらあるお前が、顔を赤くしても……くぅっ……かわいいじゃないかっ……!

 スズキだって、こう言っちゃうよ~、Goo。

 でもね、そんなことよりね、気になることがあるんだよね。

 背中がね、冷や汗止まんないの。視線が痛い。

 クラスメイトの? 違う。

 目の前の刀華の? 違う。

 教室後方に、腕を組んで立つ、叶の半眼がすごい……効果音はお馴染み「じと~」である。

 目は口ほどにモノを言う。

『それ、誰? 太郎君の、何?』

 そう語る眼とマシンガンのごとく言葉を放つ口に前後から板挟み。

 ヤメテ! タローのライフはもうゼロよ!


 ●×●×●×●×


 何あれ! 何あれ!! 何あれ!?

 今日も放課後に行う予定である、勇者認定試験に向けた特訓について話そうと思ってたのに、他のクラスに転校してきたって噂の女の子が太郎君に話しかけている。

 その雰囲気は昔馴染みならではのもので、正直言って入りづらい。

 太郎君たちは皆に全く相手にされていなかったりするから、最近彼らと交流するようになった私たちしか太郎君のいいところも知らなかったのに!

 いや、親しい者同士の会話っていう、別に普通の光景なのだけれども。

 なんとなく、面白くない。

 そりゃあ、私たちも最初は認識できなかったよ?

 でも、どんな人なんだろうって観察してみて、そう多くはないだろうキャラクターを持っていて、なんだか頑張りが報われなくて、それでも周りに靡いて自分の貫くスタイルも曲げないで、マイナス評価に落ち込みはするけれど、自暴自棄になったりしない、そんな彼らに、

「あ、なんかこの人は皆と違うな」

 って、思って。

 ちょっとした機会から、話して、一緒に行動して。

 とてもユニークな人柄が、新鮮で。

 おちゃらけてるのに、結果だけを見るとちゃんと問題を解決してて、頼りにもなる男の子。

 一緒に居ると楽しい時間が多くなる、男の子。

「とにかく! 私たちと組むことに、何が不満なの!?」

「不満はねぇよ。まぁ……不安なら腐るほどあるけど」

 そんな彼らに話しかける、太郎君の旧知だと思う女の子。

 それは私も惑星開拓の情報誌で、いろんな逸話を聞いたり、グラビアを目にしたりと、世間によく知られた有名プレイヤーの女の子で。

 太郎君が弓奈さんのようなトッププレイヤーと知り合いだったんだから、そういった知り合いがいても不思議はないのかもしれないけれど……

 やっぱり、面白く、ないっ!!

 私だって太郎君たちとコネクト・インする約束してたのに、まるでそんなこと気にしないっていうあの態度が!

 いや……事実、私たちの勇者認定試験の特訓についての約束なんか知らないんだろうけれど、それなら知らせてあげる。

 今はもう「スズキタロウ」をしっかり認識しているのが、惑星開拓関連の知り合いだけじゃないってこと!

 あなた達のように旧知の付き合いがあるように、私たちのような学校の付き合いだって、彼らはもう、手にしているんだから! いつまでも、好きなように太郎くんを振り回せると思わないでよね。

「……でも一人じゃ心細いから、弥生と夏海にもメールしとこ……」

 でも、なんでこんなに釈然としないんだろ?


 ●×●×●×●×


 午前中二つ目の授業終了のチャイムが耳の奥でこだましている。

 前回の休み時間は刀華が詰めかけてきたせいで、碌にリラックスできず、また有名プレイヤーなだけあって周りの視線を集めるだけ集めてくれた。

 おかげでクラスメイトの視線が「また、おまえらかぁ……スズキタロウェ……」になってしまってる。

「……タロー、どうすんだ? あいつらの要求を呑んだ方が賢明なんじゃね?」

「馬鹿。お前なぁ、ロー。あいつらと惑星開拓してみろ。アバターが幾つあっても足りなくなるぜ? あいつら、重度のファンが結成した自称〝近衛〟がいるんだぜ? 事実、あいつらに一時パーティーの依頼をしたプレイヤーが、アバターを四回連続で破壊され一年間活動できなかったって噂があるくらいだぜ?」

 キタちゃんの意見におれも続く。

「アバター破損のペナルティが解けた瞬間狙い撃ちだったそうだ。しかも事故に見せかけるから性質が悪い。まぁ、そんなことよりも最大の理由は……パパンだがな」

 星繰 剣正。

 ライナス。

 この二人、愛娘に大変甘い。そして娘に近づく輩には相当厳しい。それはおれ達も例外なく、二年前初めてあいつらにパーティーに誘われたときに実証された。

 最初だったし、おれ達も今と変わらず認識されぬ立場だったので少しでもいい評価を得るためと美少女二人と行動することで話題性を狙ってたんだが……実際、話題にはなった。

 惑星開拓史に残る、世に言う「異星神話爆誕事件」である。

 詳細は省くが、あまりに娘を溺愛するあまり本気でおれ達に攻撃してきた。当然おれ達も本気で抵抗する。すると、どうなったか。

 あまりに規模の大きな戦いに現地の人から「神と魔王の降臨じゃぁ~」とかまで言われたらしい。まぁ当時は今みたいに魔王じゃなかったが、相手は既に世界トップの勇者二人。アバターのスペック、戦闘経験、互いにすべてを出し切って、ガチバトル。冗談抜きでそう何度も経験したい戦闘ではない。

「……大体さ、なんでオレ達に固執するわけさ? なんかしたっけ?」

「まぁ、友人以上の好感を持たれている以上、何かあったんだろ。思い出せんけど……あ、でも昨日の夜にロロが言ってたぜ」

 キタちゃんのセリフにおれはローと顔を見合わせ、二人でキタちゃんに注目した。

「え~と、何だったかな……自分たちの魅力に媚びない、周囲の逆境を乗り越えようとすることが男らしいとかなんとか」

「なんだそりゃ?」

 ローが首を捻る。

 だがおれは、あることに思い至りハッとした。

「……どうした、タロー?」

「……思い出した」

「あん?」「何を?」

「お前ら、最初にパーティーに誘われたとき、なんて言われたか覚えてるか?」

 二人の眼を見ながら声を絞り出す。そんな伏線があったとは。フラグどころじゃなく、最早トラップじゃねぇか。

「え? 確か……どうしてもって言うならパーティー組んでやってもいいぞーみたいな感じじゃなかったか? で、オレ達が〝じゃあいいよ〟みたいなニュアンスで断ったら、お礼に一回だけ一緒に探索してあげるって言ってんだーみたいな流れに……お礼?」

「二年前って言ったら……星喰いか。そういや俺等が駆けつけた時は偶々あの二人が破壊されそうみたいなときだったよな。あれより前はなんかいつもバカにされてたよな、懐かしい」

 そこだ。

「そう、アバターの外見からもそうだけど、弓奈やレイラたち親組からは何度かパーティー組んだりして互いに実力を把握していたのに対し、あいつら二人の前ではそれほどアバターの能力とか、持ってる高機能装備とか見せてなかったんだよ……星喰い相手に初めて見せたんだ」

「それが一体オレ達の追われる理由とどんな関係になるんだ?」

「……まさかソレが〝周囲の逆境を乗り越えようとする〟だと言うんじゃないだろうな、タロー?」

「そうとしか考えられんだろ、キタちゃん? アホらしいがあいつらもあれで当時十三、四歳だぜ? 大人のプレイヤーすら幾人もカウンセラーが必要なくらいコネクト・インに支障が出るレベルのショックがあったって聞く。お前、そんな中同い年の人間が全裸になって〝いらりん☆レボリュ~ション〟とか、呑気に突撃した挙句討伐してみろ」

 信じたくないが、信じられないが、あいつら、まさか……!

「あいつら、吊り橋効果にでも嵌っちまったんじゃねぇか……?」

「おいおい、そんな馬鹿なことが……いや、でもあの後少しの間だけ女性プレイヤーの間で星喰い討伐プレイヤーの異性交際率が跳ね上がったって言ってたな」

「自惚れるつもりはないが、そんなギャグ展開で考えんと許容できん。それにあの実況見てた人間で一部〝地球外生物、大したことない〟って意見が出たろ?」

 ローが唾を呑む。心なしか眉尻が下がっている。

「あれね。勘違いしたバカどもが各地の〝主〟クラスに挑んでアバター破損数が一万を超えたってヤツ。じゃあ、何か? オレ達、ふざけてでも〝星喰い〟レベルを討伐出来るとか刀華とロロに思われちゃったワケ?」

 いや、まぁ実際起動プロセスはふざけてたんだけど。ただ戦闘自体はマジだ。そもそも簡単に〝覚醒〟に頼らないための〝いらりん☆レボリュ~ション〟である。それを衆人環視の前で行わざるを得なかったおれ達の覚悟を推し量ってほしい。

「つまり……?」

「……おれ達のモテ期は、二年前から始まっているッ……! のかもしれない」

「な、なんだってー!?」

 ひゅー!

「おい、それって〝群体〟じゃなく〝個人〟どころか……」

「そうだ、ロー。これは〝異性〟として認識されている!」

 あっはっは! 参ったね、こりゃ! 今まで異性とは認識していなかった奴らがもしかしたら自分たちを異性として見てる? あっはっは!

「怖いわ!」

 今までの群体扱いとかだったのに、旧知とは言え世界でもアイドル的な扱いを受けるトッププレイヤーが自分たちに好意?

 お前、それ、どう考えても厄介事の前触れじゃねぇかよぅ……

 いや、待て。先ほど自分でもトラップと言ったじゃないか鈴木 太郎。もしかしたら親しげに近づくことでおれ達をパパンの標的に……?

「……そこで喜ぶより保身について考えをめぐらすあたり、色々なチャンスを無駄にしてるんじゃないの?」

 むっ? なんだ、沙知か。いつの間におれの背後にいたのかは知らんが、居るなら声を掛けろよ。

「いいか沙知。チャンスってのはリスクも同時にやってくるもんだ」

「うん。そうだね」

「おれたちは、リスクはいらないんだよ」

「目的持つ人としてその考え、どうなの?」

「リスクより、スズキタロウクオリティを改善するクスリをくれよ」

「成分は優しさ半分とかでいい?」

「バファ〇ン!?」

「半分は投げ遣りで出来てます」

「できれば思い遣りでお願いします」

「うん、どうでもいいけど」

 本当に投げちゃったよ、マイシスター。兄妹ながらのテンポのいい掛け合いありがとうございます。

「一応また騒ぎになりそうだから見に来てみれば案の定、きな臭い空気になってるねぇ……」

 言うな。周りの男子が六法全書を紐解いたあたりからおれ達中腰。スタートダッシュは任せろ。

「で、どうすんの? お兄ちゃん惑星探索〝舞闘剣姫〟たちと組むの? しかも今の時期だと〝勇者×魔王 称号者統一トーナメント〟からパーティー組もうって話でしょ? それ受けちゃったらカナたちとの特訓の時間が刀華さんやロロさんとの連携特訓になるよ?」

「……いや、どうしたらいい?」

「お兄ちゃんたちが決めないとダメじゃん。まぁ私としては、カナたちは友達だしちゃんと面倒を見てくれたらうれしいし、カナたちが満足してくれるようなら妹としても鼻が高いかな。でも、あちらさんとの付き合いに支障が出るようなら……」

『いや、それはない』

 良く考えたら、刀華やロロと行動を共にした方が支諸が出るんだよね、パパン関係で。そう思い至り即答すると、

「ほら、お兄ちゃんたちはカナたちの面倒見てくれるよ」

 と、沙知が教室の入り口に目を向け、そこに居る最近よく話すことになった三人が、

「だから言ったじゃない、大丈夫だって」

「でも、相手の女子と仲良く話してたし……」

「まぁ、話を聞いたときは私も胸がなんかムカムカしたけれど、ロー君たちの今までを思えばそう心配することでもないかなぁ」

「……どうしてそう思うのよ、夏海?」

「だって周りの感情に敏感でスゴイ警戒心抱いてるでしょ? いくら旧知とは言えあそこまで知られるような人たちなら、おいそれと踏み込んだ関係には至らないよ」

「なるほど……って、踏み込んだ関係って何!? 私はただ勇者認定試験に向けた特訓が心配だっただけで、別にそんな心配は……」

 と、おれ達が別に叶たちの特訓を中断するワケではないと知りホッとするあたり、叶たちも勇者認定試験に力を入れているのだろう。その後の叶と南野の会話は良くわからんが。

「でも……それだと私たちにとっても不利にならない?」

「あっ! さすが弥生。私そこまでは読めなかったよ」

「だから! 弥生もっ! 私そんなのじゃ……」

 叶たちの反対側の扉が勢いよく開いたのはそのときだ。大きな音がクラス内の喧騒を静寂に変える。そこに立っているのは、件の二人。

「あ~、先約あったかぁ。どうしようか、ロロ?」

 話を把握しているあたり、廊下で聞いていたんだろう。刀華はきつそうな顔立ちとは裏腹に強引な性格じゃない。引くべき時はちゃんと場を弁えられる。う~む、剣正が親バカになるのも頷けるくらい良くできた女子だろう。胸はないが。

「ここはやはり勝者が……」

 だからお前はその武闘派理論をヤメイ! こいつはちょくちょく民族性の違いというか話を単純明快に勝ち負けで分けたがる。ライナスが親バカになる要素はどこなんだ?

「やはりってなんだ、やはりって。大体どうやって勝敗を付ける気だ。参加する大会が違うだろう? それとも俺達と戦うってことか?」

 だよなぁ。叶たちはまだ称号持ちじゃないし。それにおれ達と戦うってなると、おれ達は本気になるぜ?

「悪いとは思うけれど、やっぱりお前たちと行動するとなぁ……周りが、ね?」

「……そっかぁ。折角ここまで頼みに来たんだけどなぁ」

 苦笑する刀華。ここで我を突き通さないあたりに人気の秘訣がありそうだ。

「刀華、刀華。もう力づくですよ。欲しいものを手に入れるには結局実力がものを言うんです!」

 何故か鼻息荒く、尾っぽを「ぴちぴち」振り回し輝かんばかりの笑顔で言うロロ。お前は相変わらず人を振り回すのが好きだね……

 いや、しかし相手が刀華でよかった。一応今後もパーティーの勧誘には来るのだろうが、前回の〝ターゲット・オブ・スズキタロウ〟のようなバカ騒ぎに発展しなかったことは、群体が女子と仲良く会話している状況では奇跡に等しい。

 見れば、険悪にはならず自己紹介などしてる叶たちと刀華たち。人間、歩み寄りが大切です。めでたし、めでたし……

「聞きましたよ! では、こうしましょう!」

 とは問屋が卸さない。ですよね……


 ●×●×●×●×


 教室前方にはいつの間に居たのか、見覚えのある女子生徒。

「ふっふっふ。話題あるところに目を凝らし、騒ぎあるところに耳を傾け、事件があれば足向ける! 霧ケ峰高校のエンタメ追及第一人者、放送委員立灯(たちあかり) (れい)! ここに、登・場っ!」

 この学校には、普通に登場できる奴はいないのか。

「聞きましたが、そのような形で手打ちとは勿体ない。何より、面白く、ないっ!」

 周りの生徒が歓声、口笛交え拍手。ノリが良すぎる……

「勝負で決める。この〝龍皇女〟の意見が何故通らない!? 参加する大会が違う? だったら、何とかしてみせましょう、その問題!」

 そして取り出したのは、クエストカード。そこのパネルに表示された文字に、

「ば、ばかな!」

「お前……」

「エンタメ追及でそこまで到達するとは……」

 スズキタロウ三人で驚愕。こう書いてある。

『第一八回勇者認定試験及び第一回勇者×魔王 称号者統一トーナメント企画実行委員』

 誰だ! こんな奴にこんな役職与えたのは!? てかプレイヤーとしてそんな大規模なイベントに開催スタッフで参加できる奴がこんな身近にいたとは。

「大会のスケジュールは勇者認定試験が先。なので勇者認定を見事得たプレイヤーは、称号者統一トーナメントにおいて参加者の要望があれば飛び入りでパーティー加入できることにしましょう」

「……待って。もし認定を得られなかったらどうなるの?」

 そうだ……じゃなくて、あれ? いつの間にこの提案を受ける形になってるんです上代さん? さっき、いい感じに話をまとめてなかった?

「そうなれば〝舞闘剣姫〟〝武踏破龍〟パーティーの勝ちということです」

「……待って。それじゃあ、カナたちが不利だわ。カナたちの相手に勝つ条件が〝勇者認定を受ける〟ことと〝その二人のパーティーに勝利する〟ことの二つになってる。

 その二人はもう称号者トーナメントに参加は決定してるから本来のトーナメントと同様、ただ勝つことのみが条件。格上はそちらなのに。あと、そもそも……」

 周りを見回して、沙知が一言。

「この場合、カナたちの目的は〝勇者認定試験の特訓の付き添い〟なのに、目的を果たす条件の一つが〝勇者認定を受ける〟ことって本末転倒じゃない」

「あ」

 あ、じゃない! お前、ノリだけで提案すんなよ!

 とりあえずこれで「はい、論破!」である。危ない、危ない。また厄介なイベントが起こるところだ……

「だからこうしましょう」

 …………沙知すぁん?

「カナたちが称号者統一トーナメントに参加する場合は私がパーティーを組みましょう。もともとお兄ちゃんのパーティーに入ろうかと思ってたし」

 初耳ですよ。お前手加減しないとか言ってなかったか?

「だから容赦なく扱き使うって意味」

 ちらっと心を読んだ沙知がおれに告げ、立灯に向き直った。

「カナたちがもし認定を受けれなかったとしても、私が一人代行する」

「沙知っ!?」

「いいから。カナは心配しなくても大丈夫。私もそろそろかな、って思ってたし」

 そろそろ?

「私のお兄ちゃん、今回はロー君にキタロー君も含めてか。昔から身近に見てたけど……馬鹿にするのも、好きにするのも妹である私より優れてることを証明してくれないと」

 腰に手を当て周りを見回す沙知にクラスの奴らが怯む。うむ、優秀な妹を持った兄として実に誇らしい。

「私のお兄ちゃんは、そんなに安くないよ?」

 なに、この妹。萌えるんですけど。

「万が一でもあなた一人で、私たち二人を相手にできると?」

 ロロの、いつもの気の抜けた口調ではない、鋭い誰何。答える沙知はあくまでいつも通りだったけど。

「あなた達がご執心の〝スズキタロウ〟の妹であり幼馴染よ? 私もそう安い女じゃないと思うけど、龍皇女?」

「……でも沙知ちゃん、弥生たちが認定受けれなかったりしてトーナメントに参加できなくなったらエントリーもソロになっちゃうぜ?」

 キタちゃんの言うとおり。もともとおれ達のパーティーに入ろうとしてたのに、叶たちの加入を見越してエントリーするんだから飛び入り加入なしだと従来の参加者である沙知ひとりだ。

「だからそこは一回戦だけあらかじめ調整して頂戴。それ以降は棄権するから。それくらいは出来るんでしょ、立灯さん?」

 おいおい「棄権」って。既に負けることはありえないのか。見ろ、刀華まで目つきが険しくなってんじゃねぇか。ケンカ売りすぎ。

「まぁ、できますけど。勝者の報酬はどうするんです?」

「これを、あげましょう」

 沙知が財布から一枚何かを取り出した。

 あ、あれはぁ!?

「……タロー、お前……」

「なんてもんを作ったんだ……」

 ローとキタちゃんが半眼で睨んでくる気持ちもよくわかる。沙知が取り出したのは一枚の紙切れ。スズキタロウ一日使用券と書かれた。

 中学時代、沙知の誕生日にふざけて贈ったんだが、ことあるごとに使用してくる。何枚あげたっけ? しかも表記がカタカナなのでローやキタちゃんも扱き使われた。まだ残ってたとは……

『乗った!』

 参加者たる五人がハモる。決断速くない?

「決まりね。ふふ〝ターゲット・オブ・スズキタロウ〟と言い話題の尽きない、良いエンタメを提供してくれるわ。今回は差し詰め……〝ウィナーアイテム・スズキタロウ〟ってところかしら?」

 当事者の意見をガチ無視で、始まるよ!

 平穏よ、さようなら。

 バカ騒ぎ、こんにちは……orz


立灯さんが個人的に好きです。皆さんは好きなキャラとかいますでしょうか?


ともかくなんか自分でもよくわからないテンションで書いたのでどこか違和感を感じたなど含めて、ご意見・ご感想などお待ちしています。

また、次回!

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