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ACT:00  おっす! 俺たちスズキタロウ

ユーザー登録、初投稿からひと月もたたず二作目の投稿。

一作目もやっと第一章が終わったばかりなのに……。

私はいま無謀な挑戦をしている……!

 やぁ、みんな。こんにちは。いきなりだけど、個性って大切だよね?

 世のなかにはいろいろな個性があるけれど、皆はどんな個性が思いつくだろうか?

 容姿端麗、文武両道、他を寄せ付けない圧倒的な才能、どんな苦境にもめげずに努力する不屈の精神、声音、目の色、身長、挙句の果てには平凡なことだって個性だろう。

 しかし、だ。個性のなかには相反するものだってあると思うわないか?

 たとえば、そうだなぁ……。運動神経がよく、腕っぷしも強い。しかし、身長はぎりぎり一六〇に届くぐらいで顔は、平凡とは言わないが群衆に埋もれるような顔。

 え? 平凡とは言わなければ目立つだろうだって? ふざけるなぁぁぁぁっ! 最初にも言ったが、それは立派な個性だ。いまや平凡な顔立ちっていうのは

「〇〇って何の特徴もねぇよなぁ」

 とか言われるんだぜ。すっかり住み分けがされてしまったのさ。

 イケメン、平凡、ブサイク。この三つがいまや極端に認識されるようになった。

 モデルにスカウトされるような美形でもなく、からかわれるような平凡でもなく、馬鹿にされるようなブサイクでもない、「ある程度かっこいい」や「ブサイクとまで言わないけれど、平均より劣る」というほうが大半なのさ。

 身長に関しては、昔から変わらないんじゃないだろうか。もうね、うん……。ちっさくて見えないんだよね……。長身は死ねばいいのに。

 だからと言って小さすぎて気を遣われることもない。身長に関しては平均が一番目立たないな。これは昔から変わらない。

 じゃあ成績はどうよ? これもさっき言った顔立ちと同じさ。馬鹿じゃない。天才でもない。だからと言って中間でもない。ある程度できる。ちょっとだけおつむが足りない。

 そう、おれが言いたいのは目立たないのは「平凡」なんかじゃないってことさ。

 中途半端。プラスの個性をマイナスの個性で打ち消して、だからと言ってプラスマイナスゼロになるわけでもなく、極端になるわけでもなく、そんなやつ。

 通信簿になんて書かれると思う?

「〇〇くんは××が大変得意です」

「〇〇さんは××が苦手なようです」

「〇〇くんはいたって普通の子です」

 羨ましい。俺たちが書かれた内容をお見せしよう。

「得意不得意がよくわかりません。なんですか?」

 おい、教師。通信簿で質問すんな。

「クラスの一員です」

 ったりめぇぇだぁぁ! 何言ってんの!? 名簿見れば誰でもわかるから!

「普通の、いえ、引っ込み思案な、いえ……すみません、正直そんな子がいたことに通信簿を見るまで気づきませんでした」

 ……。もはや何も言うまい。普通とすら書いてもらえないこの中途半端さ。

 完璧でもなく、全くだめでもなく、平凡でもなくて。

 顔はちょっとマシ。身長は平均、どこでも見られるモブ。成績はちょい平均より下。

 個性はどこだ。

 そして、おれにとってはまことに残念なことに名前もダメだった。

 覚えやすい名前、難しい名前、変わった名前。いろいろあるだろう。おれは覚えやすい名前だ。そこは否定しない。

 だが、だ。だが、である。似たような名前がほかに二人いて、そいつらと混同されてしまったのさ……。

 っと、わるいな、いまちょっと取り込み中だったんだ。

「お前ら、何もんだ?」

 ふん、不良ってやつは昔から服装である程度見分けがつくな。何を隠そうおれたちは、絡まれていた女の子たちを助けている最中だったのさ! 平凡にはできまい! 腕っぷしには少しばかり自信があるのさ。

 でもぶっちゃけ、超強いとかじゃなくて、こっちもボコボコなんですけどね……。

「ふっ、おれの名前は、鈴木 太郎!」

「そしてオレが、鈴北 楼!」

「そしてぇ、俺が珠洲 喜太郎!」

『え? みんな、スズキタロウ?』

『違う!』

 ちょっと、そこの御嬢さん方まで首を傾げないで。あいつらのパンチよりも傷つくから。

 そう、これは極端に優秀でもダメでもなく、気遣われるような普通ですらなくて、中途半端なために個性がよくわからないおれ達の。

 名前が似ているため三人のうちだれを呼ぶときも「スズキ」と呼ばれるおれ達「ザンメン」(残念な男)の日常をお送りする、そんな場さ。

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