表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

プロローグ

「…これを届けてくればいいんすか?」

 目の前に立つ少年に一枚の紙を手渡してやると、怪訝そうな表情をつくられた。今時、手書きのビラもそうそうないからだろうか。

「どこに?」

 ビラのことはどうでも良くなったらしく、少年は汚れた青色の帽子を深く被り直して尋ねてきた。少し悩んでから、戸棚の中から近辺の地図を取り出して広げてみる。

 目を瞑って適当な場所を指すと、ちょうどよく民家に当たる。

「…随分アバウトな決め方っすね」

 苦笑して少年は言った。

 選ばれた民家に赤のペンで丸をつけてやると、じゃあ借りていきますね、と少年が地図を丸め始めた。後で仕舞うのが大変になるから、丸めないで欲しかった。

「金は、後でいいっすよ。どうせまた来ますから」

 財布の中から約束の金額を渡そうとしたが、彼は爽やかに断った。

 いってきます、と一礼して、礼儀正しい少年は駆け出していった。


 借りた地図を返し、代金をもらう。それが彼の最後の来訪になれば良いと、心から願った。


 部屋の中の人間が二人から一人になったので、散らかり放題の部屋は寂しさを感じさせた。窓際の椅子に座っている猫が鳴いた。俺がいるじゃないか、と言っているようで何だか笑えてきた。


宴屋ハルと申します。つたない文章ではありますが、どうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ