小話その二
今日もニコとビスは、二人でショウプの町を歩いていた。
そう、今日「も」である。
二人一緒の方が顔を覚えてもらいやすいはずだ。
一人では見逃してしまう事でも、二人一緒ならどちらかが気付くかも知れない。
重たい・大変だろうから、若い二人で行って来て欲しい。
何のかんのと理由を付けられて、二人で組まされるのだ。
始めはそんなものかな、それじゃ仕方ないかなぁと思っていたニコとビスだったが、こうまで続くと作為的なものを感じる。
もしや、くっ付け様とされてる?
二人の脳裏に自然とその言葉が浮かぶ。
しかもゴトルーだけではなく、ユイナ・ホルマ・サッドまで共謀している気が……。
食事の席を横にされたのは単なる偶然と思っていたが、もしかするとこれも仕組まれた事だったのかも知れない。
「つまり問題はアンタよっ!」
「何だ、いきなりっ?」
「ビスがさっさと彼女を作って、シャリちゃんとどうこうなるつもりはないってとこを見せれば、アタシは余計な圧力を感じずに済むわけ」
分かる?
と、ニコはビスを見る。
「そうやって自分だけ他人事にする気か、卑怯なっ」
「卑怯で結構。アタシがぎゅうしたいのはシャリちゃんであって、アンタなんかお呼びじゃないのっ」
「そこまで言うかっ」
喧々囂々ではあったが、こうしてニコとビスが二人きりで会話をする機会は否応なしに増えていくのだった。
……南無。