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プレアデスの伝説 姫たちの建国物語  作者: のらしろ
第五章 プレアデス領国
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第99話 新たな住人達と





「今日から手隙な者に、あの船の整備をさせるか。

 いっそのこと、内部の改造をして、あの船を使うにしてももう少し快適にさせよう」


「どうするのですか」


「武装は、ほとんど取り払い、その分倉庫や居住環境を良くしていきたい。

 海水だけでもシャワーを使えるようにはしないとな。

 もう、匂いは耐えられないだろう」


「ええ、確かにそうですね。

 分かりました。 

 エルム先生とも相談しまして、ダーナ様の部下である船乗りたちに作業を命じてきます」


 フランはそういうと、すぐにフェリーの船室に入っていった。

 倒れているドワーフの親方をたたき起こすのだろう。

 かわいそうに。


 俺はフェリーを降りて、一の浜に向かった。

 久しぶりに歩いて一の浜に向かった……うん、名前がついて本当によかった。

 俺の中で考えるにしても、本当にこの方が楽だな。

 何で今まで名前を付けてこなかったのだろうか……あ、当たり前か。


 もともと、俺は何も考えていなかった。

 あのカミサマに放り込まれてから、とにかく生きるのが必死というか、訳も分からず成り行きに任せて、唯一の使命?であるフェリーを探していたんだ。

 そのフェリーも無事に見つかり、あとは見つかればいい程度の前の勇者のためにカミサマが作ったという豪華客船だ。


 確かに、豪華客船ならば目の前の人参としては十分だろうが、そのために俺自身が、いや、すでに多くの仲間もできたことだし、その仲間も含めて危険にさらすようなことはしたくはない。


 しかし、この世界が魔法が普通に使われているファンタジー世界であるので心配していたが、俺のために用意してくれた巡視艇の攻撃力は助かった。

 これもフラン達から聞かされている話なのだが、海上ではとりあえず敵なしのようだ。


 何せ、一国が危機感を感じるような脅威に対しても、巡視艇の主砲こそ使ったが、ミサイルの類は使わずに倒せた。

 あの時は周りが少し引いていたが、そういえば学生時代に読んだラノベに『進んだ科学は魔法と変わらない』というのがあったが、まさにその通りだな。


 俺の乗っていた巡視艇が民間軍事会社所有だったから良いようなものの、あれがもし同盟国の海軍が所有しているイージス艦だったと思ったら、少し怖い気がする。

 何せ、あの巡視艇でもすべての権利が俺についてきていた。

 もし、現役で航行中のイージス艦だったら、少なくとも戦術核くらいは搭載されていただろうし、その状態で、俺を阻むものが無ければ……我を忘れるようなことでも起これば簡単に発射ボタンを押してしまいそうで、そういう意味ではある程度の制限……あの海兵隊仕様のアパッチがある程度にあたるかはこの際置いておくとしても、良かった。


 俺の良心に頼るなんて、あまりに心もとない。

 そんなくだらないことを考えながら、トボトボと森の中にできた道を歩いて行った。


 久しぶりに一人散歩というのも良いものだ。

 ゆっくりと考えを巡らせることができた。

 まあ、その考えがあまりに無意味というか、くだらなかったことは、この際考えないで、もう少し建設的なことを考えよう。


 まずは、これからはどんどんほかの国との関わり合いが増えてきそうだということだ。

 味方かどうかはかなり怪しくなったが、フランの祖国で、本国がいまだ敵の手に落ちているから、植民地が中心となるが、そことの関わり合いができた。


 フランのお兄様とは良き関係が持てたと俺は考えるが、祖国というと、あの残念な連中のことを思うと、次に来る時には下手すれば戦闘も覚悟しないといけないかもしれない。


 まあ、その場合でもこちらには被害の出る前に全てを終わらせることはできそうだが、そうならないためにもそろそろこちらから外に出て外交というのをやらないとまずいか。


 だからフラン達が昨日、あんなことを言ってきたのか。

 今手持ちの木造帆船を修理して、それを使い外に出る。


 確かにあの巡視艇でいきなり訪問すれば、いらぬ誤解を招きそうだし、妥当な考えだ。

 しかし、手持ちの帆船は、あの船一艘だけだ。

 なら、外に出て行くにしろ自衛の方法を考えないとまずいか……近くまで巡視艇もついていけばいいか。


 そうなると、外に出て行く場合、俺もついていくことになるか。

 そんなことを考えながら、朝の静かな森の中を歩いていく。


 そろそろ一の浜に着くかと言時に、一の浜からは男どもの威勢の良い声が聞こえてきた。

 ああ、すでに仕事をしているのか。


 一の浜でこちらに避難してきた難民たちを使って自分らの家を作っていた人たちに俺は声をかけた。


「手を停めずに聞いてくれ。

 あ、おはよう。

 俺はここの代表?になるのかな。

 まあ、そんな感じの守というものだが、精が出るな」


「……」


 俺がいきなり声をかけたもので、手を停めずにと言ったのにもかかわらず、皆が手を停めて俺の方を見てきた。


「ここの代表者は誰かな。

 少し話がしたい」


「はい、今、この作業を仕切っている者は私ですが」


 現場の監督さんのような人が俺の前に出てきたので、作業の邪魔にならない程度の

端に寄って話を始めた。

 現場の監督さんから今の作業状況などを聞いた後に、この後のこの地での予定などを話しておいた。


「このまま、住居の整備を進めてくれ。

 当分かかるだろう」


「はい、皆が協力的ですので作業ははかどりますが、何分やることが多くて」


「そのやることだが、君たちはそのままでいいが、あとでドワーフの親方がここに来る。

 ここには外から来たお客様をお通しする建屋が無いので、急ぎ作ることになった。

 また、船を陸に着けて乗り降りする場所が無いので、不便でもある。

 親方は、その工事にかかりきりになるから、悪いが君たちの手伝いはできそうにないな」


「いえ、それは構いませんが。

 それより、私たちがその親方の手伝いをしなくともよろしいので」


「ああ、それは構わない。

 特別な魔道具を使うので、驚くかもしれないが、気にしないでくれ。

 その魔道具が使えないと、手伝いも難しくてな」


 俺が一の浜の端で、作業中の者たちと話していると、浜の中心地、俺たちが初めてテントを張った場所から人が走って来た。



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