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プレアデスの伝説 姫たちの建国物語  作者: のらしろ
第五章 プレアデス領国
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第94話 初めての外交



 浜につかづくとダーナが兵士を引き連れて俺を出迎えてくれているので、一緒にフランのところに向かうと、フランが偉そうな男性といっしょに俺のことを待っていた。


「使徒様。

 不躾に呼び出して申し訳ありません」


 フランは俺のことを使徒で通す気だ。

 そういえば、俺はプレアデスの姫たちを娶う神から遣わされた存在だとかだったけか。

 確かに、あの『カミサマ』に連れてこられたが、そんなに偉そうなものじゃない。

 いきなり海に落とされたくらいだからな。

 俺が泳げないと言わなかったら今頃海のど真ん中で溺れていたくらいだ。


 それでも、この世界ではプレアデスの姫の伝説がまことしやかに広まっている。

 尤も、それも一部の限られた範囲でしか信じられていないようで、その神話そのものを作り話でもと考えている人のほうが多いと聞いている。


 国単位で考えると殆どの国では、公式に全く信じていないそうだ。

 まだ、この世界では信仰は大切なものらしく、どこの国でも宗教団体と切っても切り離せないようで、こと信仰の世界で最大の勢力を誇るアンタレス教国なんか、その信仰では最大の勢力を誇る。


しかし、肝心の信仰心となると心もとない状況だとか。

なにせ、その教国の現状が、ほとんど暴力団よろしく武力で周りの国々を攻めているとか。

 フランの祖国も教国にやられたと言っていた。

 尤も直接攻めてきたのが帝国だったか、それとも逆に帝国が教国の駒として攻めてきたのか忘れたが、どちらにしても教国と帝国が手を取り合ってフランたちの祖国であるハートポンド商業連合国を攻めて、本国を攻め落としたことには間違いない。


 しかし、商業連合国は商業主体の国だけあってあっちこっちに植民地を抱えていたために本国を落とされたくらいでは国が滅ぶまでには至っていない。

 だからこそ残党が色々と動き回るので、警戒しないとまずいとフランから俺は聞いていた。


 そのフランが俺に紹介してきたのは、フランの実兄で此度の特使を努めている人だとか。

 その人と立ち話で挨拶をする羽目になった。

 まだ俺達は外交をするまでにはハード面で整えられていない。


「使徒様。

 お初にお目にかかります。

 私はフランの兄に当たるフォリント・ネザートと申します。

 此度船団の団長を努めております」


 そう言って、フランの兄が挨拶してきた。

 公式というのか、既に外交が始まっているらしく立ち話ではまずいということで、この浜に作った一番大きな屋敷?というか掘っ立て小屋に毛の生えた程度の作りだが、そこに案内して会談が始まった。


 彼らとは既にフランやダーナとはここで会談を済ませているので、俺との挨拶程度の会話くらいしか外交というのは残っていない。

 色々と話し込んで、今日のところは一旦終りとなる。


 そう、公式の場としての会談は終わったが、非公式と言うかフランの家族としての雑談があるとかで、俺は別の屋敷に案内された。

 その場で、今後についての話をされた。

 何だ、まだ外交が残っているじゃないか。


「いえ、守様。

 ここからは兄の本音ですから、外交と呼べません」


「ええ、私も守様とお呼びしても」


「ええ、お好きにどうぞ。

 もともとから使徒呼ばわりは好まないので」


「それでは……」


「お兄様。

 守様は、たしかに使徒であると同時に大魔法使いでもあります」


「魔法使い?」


「ええ、私を助けてくださったのも、いえ、そこのダーナを助けた時はシードラゴンを倒しての話ですから」


「ええ、本当の話ですわ、ネザート様」


「よしてくれ、非公式な場だ。

 それにネザートだと、フランもそうなるだろう」


「いえ、お兄様。

 私はプレアデスの姫に仕える従者ですから、既に守様のものですので、ネザートの名は捨てました」


「え、そうなのか……確かにお祖父様からはそのようなことを聞いたことはあるが、本当にその姫というのはいるのか」


「はい、既に守様はダーナ様がお仕えになっておりますハイエルフのサーシャ様や天使族のアリエル様がこの地に居りますので」


「え、ハイエルフに、天使族だと」


「お兄様。

 非公式だというのですから、この場限りの話にしてくださいね」


 そこから、この地の現状を話しているようだ。

 その話が一段落した後に、フランの兄は俺に向かって深々と頭を下げてから「妹をよろしく頼みます」と言ってきた。

 流石に既にフランを試食済なこともあり、俺は慌てて頭を下げた。


 そこから明日、残りの船が二隻とも湾内に入り上陸することなど話し合った。

 彼らは俺達に協力できることを探してきたとのことで、手に職を持つ者など入植希望者を多数連れている。

 それに、食料なども積んであるとか。


 ダーナも話に加わり、この地が既に独立した領国であることを伝えて、改めて入植者を歓迎する事を話した。


「独立を宣言しているのか」


「いえ、どことも外交をしておりませんので、この中だけですが」


「となると、我々が初めて独立の宣言を聞いたことになるのか」


「はい、そうなりますが、何か?」


「いや、我々の立ち位置が、現状微妙でな。

 独立の宣言を聞いてもどこまで力に添えるかどうか」


「それでも構いませんわ。

 すでに帝国とは、何度か矛を交えておりますので」


「教国とは……流石に無理か。

 なにせ、こちらには伝説の使徒様が実際にいるのだからな。

 あちらとしては是が非でも認めないだろう」


「ええ、認めることなどできません。

 こちらは創造神様からのおつかいですからね」


 創造神?


 あのカミサマか。

 うん、たしかに一番偉いとか言っていたけど、どうしてもなカミサマのありがたみなど感じられそうにない。

 カミサマの部下に当たると思われるあの神様についても苦労人だとは認めるが、俺の想像している神様像から程遠くにあるんだよな。


 俺がそんな事を考えており家に、兄弟での話はどんどん進んでいき、明日の話題になりそうな祖国奪回の協力についての話になっていた。



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