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プレアデスの伝説 姫たちの建国物語  作者: のらしろ
第五章 飛躍のために新たなる挑戦
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第87話 この世界でのカミサマについて



  俺達はバイクで来たが、流石にすでにバイクはサーシャとフランだけでいっぱいになっているので、俺はバイクをケリーの部下に預けて天使族の長と一緒に歩いて中継に拠点を置いてある場所まで向かった。

 歩いていくので1時間を費やしたが、俺の他は皆健脚揃いだ。


 正直海の男を自負している俺だけが仲間外れの感はある。

 正直未舗装の獣道のようなところを1時間も歩けばくたくたになったが、流石に初めてのお客様の前だけあって俺は見栄を張るわけでは無いが頑張った。


 中継の拠点に到着すると天使族の人たちは珍しいものばかりと驚いているようだ。

 それを丁寧にサーシャが説明していく。

 一通りの説明を終えたのを見計らってフランが俺に言ってきた。


「守様。

 そろそろ車で向かいましょうか」


「フラン、悪いがフランはバイクで付いてきてくれ」


「はい、そのつもりでした」


「サーシャ。

 車に乗ってくれ。

 天使族の方にも説明を頼む」


 フランはケリーの部下の運転するバイクの後ろにまたがり先に浜に向かった。

 サーシャは天使族の人たちに車について簡単に説明したあと、天使族の姫に当たる人と一緒に後ろのシートに座った。

 天使族の長は俺の隣りに座ってもらい、ケリーとダークエルフの一人が荷台に乗り込んで出発の準備が整う。


「では、我々が拠点をおいている浜に向かいます。

 スピードが出ますので、くれぐれも大人しく座っていてください」


 本当はシートベルトを使わせたかったが、全く未知のものに乗せるのに、体を固定しては返って危ないと俺は考えた。

 いきなり拘束されるような感じを与えたくない。

 シートベルトは体を拘束するものだし、この時代では、拘束はそのまま罪人か捕虜扱いになりそうだし、そのあたりを考えてのことだ。


 なので運転も慎重にならざるを得ない。

 まあ、ただでさえ道なき道を走らせるのだ。

 速度もせいぜい低速の30km/hも出さればいいところだが、それでも1時間もあれば浜に着く。


 俺達が戻ってきた浜ではちょっとした騒ぎになった。

 バイクと一緒に車が戻ってきたのが目立ったのか、ドワーフだけでなく作業中の獣人たちまでもが集まってきた。

 流石に、騒ぎになって集まった人達を見た天使族は驚いて少し怯えてすら見える。


 これはまずかったかな。

 先に触れでも出しておけばよかったと俺は後悔したが、今更なのだし、なによりサーシャとフランがやや暴走気味だ。

 

 すぐにケリーを走らせてダーナを呼んでいる。

 俺達はそのままフェリーの中に向かう。


 いつものごとくフェリーの食堂に天使族を通してから、ダーナに主だった者たちを集めてもらった。


「すみません。

 我々の主な者たちを集めております。

 それまでなにかお飲み物でも」


「飲める水などがあれば……」


 流石にこの世界では工場などの公害で汚れたなんて無いだろうが、いつの時代でも飲料水は貴重のようだ。

 俺のそばにいつの間にか控えているミーシャにお冷と、紅茶の用意を頼んだ。

 そのついでに軽くつまめるものとしてクッキーを探すようにお願いもしてある。


 菓子類はフェリーの売店に置いてあるはずだ。

 これがカミサマの言っていた一人目の勇者に与えたという豪華客船になるとそうもいかないだろうが、こういう場面では庶民的なフェリーの方がかえって使い勝手が良い。


 準備も整い、俺達の分まで紅茶を運んできたので、俺は最初に一口飲んでから天使族に人に向かって挨拶を兼ねて紅茶を進めてみた。


「これは、お茶と言われる物の一つで紅茶といいます。

 お好みでミルクや砂糖を入れて飲みますが、私はストレートが好きなのでそのまま飲みます。

 よかったら飲んでみてください。

 また、目の前にあるものは菓子類の一つで甘い食べ物です。

 ご一緒にどうぞ」


 俺に進められるまま天使族の人たちは恐る恐る口にした。

 天使族の姫は一口紅茶を飲んでから驚いたように声を出す。


「苦い……でも香りがいいですね」


 それを聞いたフランがすかさず姫のフォローにはいる。

 ミルクと砂糖を入れてから、姫に進めている。

 そんな様子を勝ち誇ったかのような目をしてサーシャが見ていた。


 そういえばサーシャも初めてのときは同じ様子だった。

 フランたちは国でも紅茶を飲む文化があったのか、別に普通に飲んでいたが、流石にコーヒーの時は驚いていた。

 あまりの苦さに、それ以降口にはしていない。

 俺は紅茶が好きでよく飲むが、それでもコーヒーが飲みたくなるときもある。 

 そういえば、ダーナの部下で元ハーベスト国の技師長はコーヒーをすぐに気に入ったようで、その後は機会があればいつでもコーヒーを飲んでいる。

 今日もここに呼んでいるから彼にはコーヒーを用意させよう。


 紅茶を飲みながらダーナたちが集まるのを待った。

 その間でも、サーシャやフランがしきりに天使族の姫に話しかけている。

 漏れ聞こえてくるのは『プレアデスの姫』についてのようだ。

 伝説がどうとかで、お互いに伝わる伝説の際に付いて何やら真剣に話しているようだ。


 そもそも、その伝説ってあのカミサマ関連なんだろう。

 どうしたっていい加減なものだろうにと思うのは俺だけだろうか……多分俺だけだろうな。

 直接カミサマを知るなんて日本にいた時でも考えられないくらいのことだ。


 この世界でもカミサマを見た者はいないらしい。

 ただ、カミサマからのお告げを聞くことのできる者はごくごく少数ながら居るらしく、その者たちから色々と聞かされて『プレアデスの姫』なんてものが出来上がったようだ。


 だからなのか、日本よりもカミサマが身近に感じる人が多くいるように思われる。

 あ、日本に限らず、元の世界では昔はどこもそんな感じだったとか聞いたことがあるな。

 ただ俺は科学が万能だとは言わないが、カミサマに頼るのもどうかとは思う。

 直接カミサマの存在を知った今では、絶対に頼っても良いことが無いと断言できるが、日本に居た時でも日本人の多くが頼っているとは無いと思うが、それが一番良い付き合いたかなのかも知れないとしみじみ思うことがある。


 正直、この世界でもそんなカミサマに振り回される必要はないだろうとは思うのだが、みんなをまとめる共通の指針という部分では役に立っている。

 昔の日本でも、いや、元の世界でも、そういう感じで信仰が人々をまとめるものに役立ってもいたし、何より道徳や規範などの共通の指針にもなっていたので、あながち信仰が間違いとは思わない。


 それに、もとから俺は神様を否定はしていなかった。

 頼り切るのがまずいとは思っていたが、それも昔の話だ。

 直接カミサマの人となりを知った以上、神の存在を否定はできない。

 肯定はしたくはないが、カミサマに人となりというのも変な感じか。


 どうでもいいが、そのために俺が生贄にされている現実を受け入れざるを得ない……決して俺は生贄が嫌だとか悪いだとかは言うつもりがない。

 なにせそのおかげで良い思い、この場合気持ちの良い思いをさせてもらっているのだから。

 そういう意味でも今のこの状況はカミサマからのご利益だと思っておこう。


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