第85話 今度は軽自動車
なので、浜や中継の拠点で手隙が出ると道を広げてもらっている。
フェリーにはトラックの他に指令車や悪路走破用の車もいくつかの種類積んであった。
そもそも戦闘に行くために用意されたわけではなく、災害救助を目的に用意されていたために軽自動車で悪路走破に特化した車を改造したのがいくつか積んであるので、俺は今それらを浜におろしている。
これならば、ブルを扱う連中にも特別な訓練なく使えそうだし、拠点整備どころか島の探索も捗るだろう。
トラックが使えれば、使い勝手もいいのだろうが、今のところは荷台を広げる改造を施された軽自動車でそれほど問題はない。
大体が今準備している探索にための拠点だって、人力で準備を始めようとしていたくらいだ。
今バイクで物資の搬入を始めたが、車を使えばそれこそ一回で済みそうなくらいだ。
そもそも、これはその方面ではかなり有名な悪路用の軽自動車だ。
それを一台出して、準備を始めた。
流石にバイクを出したときのようには騒がれなかったが、それでもこういう物には目のないドワーフたちが集まる。
「これは、船の中にたくさんあるものと似ているな」
「ああ、だけど小さいような気が……」
「ああ、これもトラックと似たようなものだが、そもそも使用する目的が違う」
「目的?」
俺は、集まった連中に俺の板世界での車について簡単に説明後に眼の前の軽自動車についても説明を始めた。
「これはそういう用途に使われるもので、本来は人を運ぶためのものだ。
船にまだたくさん積んであるあれらはトラックと呼んでいるが、あれら物資を効率的にたくさん運ぶためのものだ」
「それを使えば物資に移動が格段に捗るな」
『ああ、だが、そのためには道の整備が欠かせない。
舗装までは必要ないが、それでも平で邪魔な木々がないことが条件だ」
「だから、いま奥に進むためにブッシュをどけているのか」
「いや、あれだけでは足りないな。
もう少し広げないと、これだって怪しい。
無理やり通れなくもなさそうなのだが、できれば簡単に行き来できるようもう少し道幅を広げたいが」
「それなら俺達が手伝うよ」
「そうか、手伝ってくれるか」
「ああ、だから……」
ドワーフたちは俺が浜に出した軽自動車を使いたいらしい。
別に構わないので、順番に簡単に使い方を説明していく。
すでに操作だけなら、これ以上に難しいブルドーザーやパワーショベルすら扱えるようになっている連中だ。
特にパワーショベルの操作は自動車の比ではないくらいに難しい。
それを器用に簡単に扱えるようになるのだから、この世界の種族特性と言っていいのかわからないが、とにかくすごい。
ドワーフたちが楽しそうに軽自動車の運転を代わる代わる始めたので、もう一台浜に出して、それを使うことにした。
ちょうどケリーの部下が戻ってきたので、手伝ってもらい食料などの資材を船から軽自動車に積み込んで、無理やりになりそうだとは思いながらもその軽自動車で中継の拠点に向かった。
やはりというか、途中で三箇所ほど厳しかった場所があったので、その場で、チェーンソーを使って簡単に邪魔なブッシュをどけながらの移動になった。
中継拠点ではダークエルフたちがバイクの練習に夢中だった。
そのうちの一人が俺等に気がついて、練習とやめた。
「守様。
おかえりなさいませ」
「守様。
それは……」
「ああ、物資を運ぶのにバイクよりも便利だったので、これを出した」
「え?」
「ああ、みんながここまでの道を整備してくれたので、バイクじゃなくともこれくらいならば使えそうだったのでな。
これなら物資を運ぶのに一人でもできる」
そう、バイクで物資を運ぶのに現在は後ろに乗せた人に物資を担がせての移動となっている。
リュックを担いで一人で運転もできなくもないだろうが、ただでさえジャングルの中だ。
運転しづらいので安全を考えてのことだ。
もし途中でなにかあってもふたりとも動けないようなことにはなりにくいだろうと考えてなのだが、二人同時に事故に合うこともあるから果たして安全かというとかなり怪しい。
まあ、彼女たちがバイクに乗りたがっていたことのほうが二人乗りの理由としては大きいかな。
そんなこんなでこの中継拠点の整備で2日を使ったが、その後に島の探索を再開した。
今度は、この中継拠点からダークエルフの二人が先に徒歩で進み、問題ないことが確認後に、草刈り部隊がブッシュを刈っていく。
その後にバイクに乗り俺が、他の数名と一緒に進んでいくといった形でどんどん内陸部に進んでいく。
浜での拠点の整備は、すでに村作りのレベルまでになっている。
そして俺のしている島の探索も順調にその活動のための拠点を動かしながらどんどん奥に進んでいった。
当然、物資を運ぶのに浜との往復がなされるのだが、拠点をおいている場所と浜との移動は軽自動車に任せているので、自動車が通る道は轍もできるがどんどん道らしくなっていく。
1週間ばかりが過ぎた頃に眼の前にそびえ立ち岩山のような場所まで来た。
浜と拠点までの移動が自動車で簡単にできるようになると、俺のそばにはいつの間にかサーシャやフランまでもがいるようになった。
俺は毎日のように浜に戻ってから休むようにしているのだが、それでも不満があったようだ。
最後に拠点をおいた場所からここまでは歩くと1時間はかかろうかという距離なのだが、そこは一緒にいる者たちが、すっかり俺の持ち込んだ機器類の扱いに長けてきたこともありブッシュを刈りながら道を作ってくれたので、バイクで俺とサーシャのフランは来ていた。




