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プレアデスの伝説 姫たちの建国物語  作者: のらしろ
第五章 飛躍のために新たなる挑戦
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第84話 バイク



「守様。  テントをお持ちしましたが、いかがしますか」


「ああ、ありがとう。

 これから準備している場所まで運ぶつもりだ」


「これから運びますか。

 なら、ご一緒いたします」


 浜に降ろしたテントをもう一度担ぎなおしてジャングルに入っていこうとしたダークエルフを俺は止めた。


「ああ、ちょっと待ってほしい。

 これから行くのに、これを使おうかと考えている」


「これって、守様がいじっている魔道具ですか」


「ああ、バイク、またはオートバイと俺たちは呼んでいるものだ。

 誰か一人だけ俺の後ろにテントを担いで乗ってくれ」


「後ろにですか……どうすれば」


 そうだよな、見たことも無いものに乗れと言われても困るよな。

 俺は、すぐにバイクにまたがりダークエルフに声をかける。


「馬の背に二人で乗るつもりで、俺の後ろに乗ってくれ」


 一人だけ前に出てきたので、彼女を後ろに乗せてバイクを少しその場で走らせた。


「「「わ~~」」」


 先ほど来扱っていたドワーフたちから歓声が上がる。


「これは良いものだ」


「うん、便利なものだな」


「ああ、あのブルドーザーとか言ったやつか、あれも便利だとは思うがこれはまた、違う感じで使い道がありそうだ」


「何、当たり前のこと言っている。

 だからこそ守様がこの場にお出しになったのだ」


「おお、それもそうか」


 何やらドワーフたちで盛り上がっている感じなのだが、ダークエルフたちの間でも別な感じで騒がしい。


「私が最初に守様とご一緒します」


「今、乗せてもらったばかりじゃない。

 ここはリーダー役の私が……」


 こちらではどうもヘリの時と同じように乗りたいらしく、順番で揉めていそうだ。

 一応、ダークエルフ間での揉め事が収まったのを見て、俺の後ろに乗せる者にテントを担がせた。

 大型のテントなのだが、しまった状態ではリュックのように担げるようになっているやつだ。  こういう場合に非常に便利だ。


 バイクを走らせて、今切り開いている拠点設置予定の場所に向かった。

 下草を刈って歩きやすくなっているが、当然舗装道路のように平らでもないので速度はあまり出せない。

 災害救助現場で使うために改造されたバイクだけあって悪路走破には問題はないが、それでも慣れていない俺の運転では速度も出せて30kmくらいまでか。


 浜からあの場所まで20km近くはあるので、なんだかんだと言って30分以上はかかりながらも目的地についた。


 目的地ではえらく緊張した空気が流れていた。

 よくよく事情を聞くと俺の乗ってきたバイクのエンジン音に驚いた者たちが付近を警戒していたのだとか。

 申し訳無いことをした。


 尤も、すでにエンジン音はブルドーザーなどで皆聞いたことがあり、そのことも考慮に入れてすぐに攻撃は控えていたとかで、正直俺はかなり危ないことをしたようだ。  下手をしたらバイクを見つけて即攻撃なんかあったかもしれない。


 うん、あまりに間抜けな話になるところだった。

 陸でのことはどうしても後手に回るな。

 そもそも海の男である俺には無理なんじゃないだろうか。


「守様」


「ああ、悪い。  考え事をしていた。

 それよりも運んできたテントの設置を頼んでもいいか」


「ええ、早速。

 で、守様は」


「ああ、護衛についてくれたダークエルフたちとの約束があるので、全員を連れて来る。

 尤も一人ずつにはなるがな」


「え?  お一人でお戻りになるので」


「ああ、だが問題ない。

 一度通った道でもあるし、かなりの速度で移動できるので、何かあっても逃げ切れる」


「ですが……」


「いつまでも護衛を付けないとだめなようでは拠点になんかできないぞ」


「それでも……」


「ああ、わかっているよ。

 まだ森を完全に把握していないことは。

 だから気をつけながら動くし、何より今はそれしか手段がない」


「そうですが……」


「ありがとう、心配してくれて。

 すぐに戻る。

 そうだな……一時間しても戻らない場合は探してくれ。

 もし何かあっても痕跡だけは残すさ」


「そんな……ですが、往復で1時間ですか。

 了解しました。

 ですが、わかりました。

 お気をつけて」


 俺は一人で浜に戻っていった。

 なんのことはない。

 最初こそ時間がかかったが、最後には往復するのに20分で済んだ。

 全員を連れてくるのに2時間もあれば済んだ。

 バイクを使ったことで、ケリーたちも興味を示して、バイクが数台あるのならば自分たちも使いたいとまで言ってきたので、翌日には交代でバイクの練習をさせた。


 最初はケリーたちに練習をさせると得手不得手があるようで、上手にブルドーザーなどを扱っていたものでも二輪のバイクは苦手な者もいたが、それでも俺の言う日本の機器に早くから触っていたケリーたちは、割と簡単にバイクの運転技術を習得できた。


 尤も、動かすだけという限定付きだが。

 そう、街乗りでのテクニックや、倒れたバイクを起こすことなどあれ反則って感じで本当に力技だった。


 たしかにそういう者もいるが、バイクを起こすのもコツがあり、非力な女性でも大型免許を持つものがいるように誰もができること……らしい。

 俺、免許を持っていない。

 あ、バイクの免許だけど持っていないのは、自動車は大型まで取らせられたし、当然船舶の免許も持っている。


 まあ、この世界では何ら意味をなさないし、何より俺はカミサマの加護だか知らないが、触るだけで習得できるらしいから、本来絶対に無理なヘリも操縦できるんだから。


 それでも、浜の拠点に続いて、島中央探索のための中継ポイントに仮設の拠点を設けることができた。

 当分は、バイクの扱える者が、バイクで資材を運んでいるが、そのうち車を使いたい。




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