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プレアデスの伝説 姫たちの建国物語  作者: のらしろ
第五章 飛躍のために新たなる挑戦
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第78話 見つけた機能



 なので、翌日は朝からヘリをだして操縦訓練を始めた。

 格納庫まではいつも通りサーシャもついてくるが、俺がヘリに乗り込むと、乗りたそうな顔はしていても何も言わずに送り出してくれる。


 二度目のしかも、昨日に続いての操縦なので、昨日よりは操縦にも余裕が生まれる。

 昨日は、とにかく飛ばすのが必死で、それ以外に何も考えられなかったくらいだ。

 確か、島を一周したはずなのだが、何も覚えていないありさまだ。

 進行方向以外何も見えていなかったようだ。

 それは集中というよりも視野狭窄で事故が起こらずに済んで良かったというレベルだと、今日になって反省している。


 その反省の甲斐もあり、今日はヘリを上空200mくらいまで上昇させると周りを見渡す余裕が出てきた。


『もう少し上昇させようかな』


 俺は独り言をつぶやくと、そのままさらに上昇を続ける。

 その間に、ヘリの計器類を確認していく。


『やはり、武器管制の類ばかりだな……あれ?』


 攻撃ヘリであるので、当然のように武器管制に目の前の操作パネルは埋め尽くされているようだが、見慣れない一角が……と言っても、全てが見慣れないのだが、その一角だけが武器の操作に全く関係の無いように思えた。

 俺は記憶を手繰り、頭の中に押し込まれたマニュアルを探す。


『あ、これだな』


 ヘリに乗り込んでからやたらと独り言が増えたが、この際気にしない。


 それよりも、先に見つけた操作パネルだが、これってこのヘリだけに取りつけらたもので、元になった陸軍の装備にはついていないものらしく、別冊扱いで取説が用意されていた。


 そもそも、攻撃ヘリなんぞ海兵隊に無く、陸軍にあったもののようだが、俺は米国海兵隊どころか軍人ですらなかったので、そのあたりの詳しいいきさつは知らないが、どうもこれって海兵隊が陸軍と共同で密かに研究していた試作機のようで、陸軍でそもそもこの攻撃ヘリの運用が無くなったのを機に研究中のこのヘリも研究が中断されて廃棄されたのを持ってきたようだ。

 あの民間軍事会社って、説明では海軍の外郭団体と聞いていたが、陸軍とはあまりつながりは無かったようなのだが海兵隊とも密かにつながっていた感じだ。


 それよりも、この試作機特有の装置は、なんと消音飛行装置だとか。

 海兵隊が敵に近づく時にヘリの存在を気取られないように、あのヘリコプター特有の騒音をどこまでも抑える研究をしていたようだ。

 そんな機能までついている。


 そういえば昔深夜放送で見た映画に同じような装置を使ったヘリの話があったが、どうもその映画から着想を得たのか知らんが同じようなものらしい。

 その映画では装置の詳細について説明が無かったが、別冊の取説には簡単に説明があり、ジェットエンジンの空気取り入れ口や排気口に工夫がなされて、エンジンから発せられる騒音を可能な限り低減させており、さらにローターの回転数を失速ギリギリまで抑えることでヘリコプター独特の音を抑えるとか。


 俺も飛行関係に詳しくないので知らないが、揚力ギリギリがどうとかで、飛行高度の制限が500mくらいまでとか、何でも空気密度の関係がどうとかでどうでもいいが、とにかく500mまでは使えることが分かったので、使ってみることにした。

 いきなりあのやかましかった騒音が全て無くなりはしなかったが、静かになった。

 上空1000mを通常モードで飛行するよりも500mをこのモードで飛行する方が半分程度の騒音に収まるとか書いてあった。


 この騒音レベルならば頷ける。

 これなら遠慮なく島の中に入っていける。

 昨日は操縦に慣れていなかったこともある……というかそれ以外に理由は無いが、今日も島に入るのを躊躇していたのは本当の気持ちだ。

 下手に爆音を鳴り響かせて島にいる動物に影響が出たら大変だと考えていたのだ。


 ここは異世界だ。

 獰猛な魔物がいないとも限らない。

 幸いなことに現在作業している二か所には海陸ともにそれほど脅威を感じる魔物は見つかっていないが、それこそ島の奥に潜んでいたドラゴンみたいな獰猛な魔物がヘリの音に驚いて浜まで出てこないとも限らない。

 しかし、これなら少なくとも飛べる限界までの500mくらいの上空の飛行ならば問題なさそうだ。

 

 そろそろ島の中央付近くらいまで捜索して、島の生態系を調べておかないと安全の確保が難しいとも思えているので、俺の操縦訓練も兼ねて、島を空から探索してみることにした。


 まずは、今いる浜から島に向けそのまま直進して、島を抜け、帰りに少しコースを外して浜に戻ることにして、ヘリを操縦していく。

 鳥のようなものが何種類かいるようなのだが、大物は見えなかった。

 先にサーシャが空を飛びたいと言ってきた時に聞いた話でワイバーンのような大型の飛行魔物が居れば大変だと思ったのだが、この島にはいなさそうだ。

 まだ、ほとんど調べてないのでわからないが、危険魔物は上空からは見つけられなかった。

 尤も、そんな危険な魔物であふれていようものならばとっくにあの騎士たちがその危険性を俺に注意喚起してきただろうから気にはしていなかったが、はぐれ魔物でも今のところは見つかっていない。

 当分は俺の操縦訓練を兼ねて島の上空からそれらを探して回ろう。


 今日のところは無事に島を横切り戻ってきて訓練を終えた。

 島を一周するよりも短い距離ではあったが、消音飛行モードでの飛行だったこともあり、時間的には昨日と比べてもそれほど時間が短かった訳ではなかった。

 距離にして四分の一くらいだったが、半分程度の時間がかかった。

 着陸時の時間が昨日とは比べ物にならないくらいスムーズにできたことを考えると、実際の効率的には三分の一程度での訓練になるか。


 まあ、早めに帰れたことは良いことなので、巡視艇やフェリーに残っている騎士たちを集めて先の心配事である島に生息する魔物ついて話してみた。


「実際には何も見つけてはいないのだが、この島には魔物はいないのかな」


「いえ、守様。

 いないとは言い切れません。

 確かに隔絶された島ではありますが、飛行魔物が来ないとも限りませんし、何より島の中央付近は全くわかっておりませんので」


「ケリーが言う通りだな。

 普通ならば、こういう場合にどうなるのだ」


「はい、居留地を囲むように防壁を作るのが定石です。

 現在、そこまで手が回ってはおりませんが、ドワーフたちが中心になって検討は続けているようです」


「そのあたりについてもいずれ話し合う必要があるが、島の様子を探る意味でも、そろそろ中心部に一回は探索をしたいな」


「ええ、その方が良いですね。

 幸い、今のところここでの我々の必要性はかなり低いので、我々だけでしたら問題無く動けますが……」


「ケリー様。

 ですが、我らには船を守る使命が」


「ああ、そうでしたね。

 船の警備が手薄になりますか」


「悩みどころだな。

 そのあたりについても近々話し合おう」


 そんな感じで、今日も終わった。




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