第76話 攻撃ヘリ
「フランを訪ねてくる人たちについては追々考えて行こう。
基本俺たちは貿易はしていきたいが、他国との戦争にはかかわらない方針で行きたい。
そんな感じでいいかな」
「それでいいと思います」
フランは何ら悩みなくそう答えてきた。
フランが問題なければ他の者たちは問題ない。
ほとんど部外者になるからだ。
「それで、守様はこの後如何する予定ですか」
「ああ、今話していて思い出したのだが、明日も巡視艇の方で作業をしていく。
しかし、湾内から動かすつもりも無いので、みんなは好きにしてくれ」
翌日になってから、昨日考えていたヘリについて調べることにした。
フェリーから巡視艇に乗り換えて、さっそく後部格納庫に向かう。
ヘリポートに続くシャッターはまだおろしたままで、二機停めてあるヘリに触ってみた。
急にたくさんの情報が頭の中に無理やり放り込まれたような感じで、激しい頭痛が俺を襲う。
その場で思わず膝をついてうなってしまった。
すると最近常に俺と一緒にいるサーシャが俺に駆け寄ってきて、心配そうに声を掛けてきた。
「守様。
如何しましたか。
どこかお具合を……」
「ああ、サーシャか。
大丈夫だ」
「とても大丈夫には見えませんが」
「ああ、俺の権能というか、スキルだな。
カミサマから頂いたスキルによって、これらの使い方が頭の中に無理やり押し込まれたような感じだな。
それにしても、あのカミサマもどうにかしてほしい。
俺だったからいいようなものだが……それでもか」
俺でもヘリについての簡単な知識はあったが、もし、俺が子供とは言わないが、全くの文系人間でヘリについて全く常識を持ち合わせていなければ頭がパンクでもしたんじゃないだろうかという感じに知識を放り込まれた。
さすがに頭がまだ痛いよ。
それでも、分かったことがある。
俺の予想通りに、俺でもヘリが使えそうだ。
でも、ブルの様にケリーたちには教えてることができそうにないな。
いずれ、パイロットもこの世界の住人を養成でもしていきたいが、いつになることやら。
でも俺が頭を痛くするだけあって、十分に成果はあった。
さすがに今の状態でヘリを飛ばしたいとは思わないが、午後くらいまで休めばどうにかなるかな。
一旦、巡視艇の艦長室に入り、横になって休むことにした。
すぐにミーシャが温かな紅茶をもって部屋に入って来たので、ありがたく紅茶を頂いた。
多分、サーシャあたりが心配してミーシャに頼んだのだろう。
しばらく横になって、昼頃まで休んでから今度は巡視艇にいた当番の騎士たちを連れてもう一度後部格納庫まで行き、シャッターを開けてみんなでヘリを外に出した。
さすがに人数も少なかったこともあり、外に出したのは攻撃ヘリのコブラだけだが、これはスリムな見た目だが、やたらと武器がついているので思ったほど軽くは無かった。
良かったよ、これなら俺一人でもどうにかなるかと思ったのだが、騎士の二人に俺とミーシャまで頼んでの作業になった。
途中からサーシャまで手伝ってくれたのだが、あまり彼女の加勢は意味を感じなかった。
後で聞いたところではサーシャは強化魔法も使えるし、強化魔法の一種だとか言っていたようなのだが、重量を軽くする魔法も使えるとか。
魔法を使ってもらえばよかったと、そのことを聞いた時に俺は思った。
サーシャもそう提案してくれたらよかったのにとも思ったのだが、気が回らなかったのだろうな。
何せ、だれもが見たことに無い機械だ。
ブルやパワーショベルなどは最近浜で使っているが、それらも見たことは無かっただろうが、似たようなものはあるらしい。
この世界にも魔動車だとかがあるらしい。
だが、ヘリはそれらとは見た目から完全に違うから、どうしていいのか分からなかったらしい。
それに、サーシャも俺と同様にそんなに重いとも思わなかったとか。
まあ、そうだよな。
俺は、とりあえず手伝ってくれたみんなには俺を言ってから、ヘリから離れるように促した。
「これを動かすのだが、周りにいると危ないのでとりあえず端に寄っていてくれ。
そうだな、この線より近くには寄らないでほしい」
俺は後部甲板に描かれているいくつかの線のうちで一番外側の線を指してお願いしておいた。
その場にいた皆は理解してくれたのか、ぞろぞろと端によって行くが誰もがここから離れようとはしていない。
やはりヘリが珍しいらしく、興味津々と言った感じだ。
俺は、まずヘリのローターを広げてから、外周を回り簡単にチェックを行ってからコックピットの中に入る。
スイッチを入れて計器類を確認後にいよいよエンジンをスタートさせると、やはりものすごい音で、周りにいた皆は驚いている。
浜の方でも何やら騒いでいるようだ。
これは後で説明しておかないとまずそうだな。
しかし、俺はとりあえず一度ヘリを飛ばしてみたかったので、そのまま出力を上げていく。
ヘリはゆっくりとだが、順調に高度を上げて行った。
甲板から10mも上がれば浜からでもヘリは良く見える。
さすがに大きな音を立てながらだから浜はちょっとした騒ぎになっていた。
俺はあまり周りを刺激しないようにゆっくりと高度を上げていき100mくらい上がった段階で、島を一周する進路でヘリを操縦していく。
どんどん高度を上げてながら速度も上げていく。
操縦方法は頭の中に無理やり押し込まれたようなもので、操縦は問題なさそうなのだが、いかんせん経験が全くないので、よくわからないというのが今の正直な感想だ。
だから慎重のうえにも慎重な操縦を心掛けているし、結果的に攻撃ヘリにもかかわらず大人しい操縦になっている。
高度も計器上で500mを超えている。
ここまできて俺にも余裕が少し出てきたので、ゆっくりと周りを観察する余裕が生まれてきた。
この島は巡視艇で一周しているので大きさなどは理解しているつもりだったが、真上から見るとでは今まで持っていた印象とは少し違ってくる。
もう少しスリムな島だと考えていたのだが、中央付近は十分な幅もあり、結構大きな島のようだ。
俺が考えるに淡路島位の大きさはあろうかという感じだ。
それに、ここから見渡す海上では南には島影一つ見えてこないが、逆の北には島なのか陸地の一部なのかよくわからないが、それらしい影が確認できる。
そのうちそちらの方にも確認が必要だろう。
今はこのヘリの操縦の習熟が必要だ。
何せこのヘリは攻撃ヘリなのだ。
ただ操縦すればいいものでもない。
敵と対戦するようならば武器も使って攻撃しなければ俺たちは人的において圧倒的不利な状況だけに、有効な使い方をしていかないとまずそうだ。




