第73話 付近の探索を再開します
夕方3時ころには一応の道は完成しておりフランたちに喜ばれたのだが、俺が倒した木の処理は終わっていない。
倒した木の処理でも手伝うかとしたら、フランに止められた。
「守様。
これらについては私たちが……」
フランが言うには、船に閉じ込めている捕虜たちにも仕事を与えないといけないらしく、島の奥に向けての開発に仕事をさせ始めたのだが、俺が建機類を持ち込んだので計画を変えているらしい。
せめて、方針が決まるまでは倒した木の処理をさせ、木材に変えさせることにしたという。
それに、この島には捕虜だけでなく新たに仲間になった人たちも多くいるので、そちらについても考えないといけないらしく、真剣にここまで曳航してきた帆船の利用も考え始めている。
まだ、建国という名ばかりの状態だが、特産品を作り貿易も考慮していかないとまずいらしい。
閉鎖した経済ではダメだとか。
この世界でもブロック経済というのもない訳でもないだろうが、流石にこの島一つというのは俺でもダメだとわかる……わかるが、いきなり建国という方が俺にはおかしく思えるが、流石にそれは口にはしていない。
フランたちの働きを見ていたら、絶対に口にできない。
彼女たちは真剣に建国しようと頑張っている。
俺はそんな彼女たちにできる範囲で精いっぱい協力を考えている。
何せ、俺に課せられた神様からの宿題はフェリーを見つけてとりあえず終わっている。
文化とか言ったものはそう簡単にこちらに持ってこられるものでもないだろう。
俺との生活でフランたちが変わってもらうしか手が無いと俺は考えているが、とりあえず今はこの島での恒久的な生活空間の確保を優先課題としている。
なので、現在俺はケリー達にブルドーザーの使い方のレクチャーをしている。
フランやダーナたちとの相談の結果、ケリー達が覚えたら、それをこの島に生活する連中に教えてくことにした。
最初の覚えるにはブルドーザーは良い選択だと俺は考えていたが、実にいい感じになっている。
フランたちには船の操作についても覚えてもらっていたこともあり、俺の持ち込む機械には割と親和性があるのか、すぐにブルドーザーの操作を覚えてしまった。
今では住人たちから希望者を募り、ブルの乗員をケリー達が教えている。
俺は、ドワーフ族の代表たちとも話して、浜に岸壁の工事をすることにした。
できるだけ、フェリーから資材を使わない方向で、近くの崖を削り、岸壁のスペースを確保していく。
確保が終われば、浚渫工事を行い、水深を確保すれば完成という感じに考えて、現在パワーショベルを使い崖を削り始めた。
ドワーフ族の連中も俺の持ち込む建機に興味があるのか、あっという間にパワーショベルの操作を覚えてしまったので、現在フェリーに積んであるパワーショベル3台浜に持ち込んだ。
ブルに至っては5台が稼働中だ。
流石にこれだけの建機を持ち込めば、整地などの土木作業は格段に捗る。
わずか数日の間に、浜はもちろんのこと、浜の奥に開拓中のエリアの整地は終わっていた。
現在は、この浜と最初の上陸地点との間の道の整備をしているらしい。
人数的にも捕虜の数よりも俺たちの仲間も多いので、捕虜をすべて使い、建設などの作業をしている。
もうこうなると俺の出番は少ない。
俺は、いつものようにケリー達数人を伴い、海図の確認と修正作業を再開した。
「守様。
明日から、また海に出るのですか」
「ああ、そのつもりだ。
この島の周りをできるだけ調べておきたい。
尤も日帰りの予定だから、夜には戻る」
「わかりました。
では私はこちらに残り、作業の続きを監督しておきますね」
「ああ、よろしくな。
それよりもそろそろ捕虜についても考えないといけなくないか」
「ええ、ですのでこちらが一段落したら一度植民都市に行きたいと考えております」
「そうだな……しかし、俺の船ではさすがに直接は無理だろう。
フェリーは言うに及ばずだが、巡視艇の方も流石に……」
「ええ、ですのでそろそろあの帆船の修理も考えております。
あれは、マスト以外問題無いと聞いておりますから」
「確かに、あれなら問題無いか……でも、あの船操船できる奴いるのか」
「ええ、それが頭の痛い所なんですよ。
いない訳ではないのですが、あの大きさの船を動かすとなると人が足りないそうなんです」
確かに、ダーナたちは自分らで船を動かして逃げていたので、全くいない訳でもないだろうが、それでも軍船の乗員と商船の乗員とでは格段に違うらしい。
でも、戦わなければどうにかならないかな。
「もし、向かうようならば俺の船でも近くまで護衛しよう。
もしできるようならば近くまでは曳航しても良いかもしれない。
その方が格段に時間の短縮もできそうだしな」
「それ、良いお考えかと。
早速ダーナたちと相談してみます」
「ああ、よろしくな」
現在俺たち夜間には主だった者たちと言っても女性限定だが、フェリーで生活をしている。
何せ、快適さが格段に違うが、流石に今浜にいる連中全てを賄うことはできそうにないので、それならば指導者だけとして、夜間はフェリーに招いているのでフランやダーナたちとは夜にフェリー内で相談もできる。
明日以降についての相談もここでしていたのだが、ついでとばかりに捕虜たちの処遇についても話し合っていた。
はっきり言って、敵対勢力など邪魔でしかない。
そのあたりについてはフランもダーナも考えていたようだ。
前に助けた人たちは絶対にもう一度こちらを訪ねてくると思っている。
彼らが来れば、預けてしまえと思ってるようだが、肝心のあいつらは待てど暮らせどやって来ない……というよりも、この時代の移動速度を考えるとそれほど待ったうちにはならないらしい。
それに本来ならば労働力として使おうかとも考えていたようだが、その労働力の大部分を俺の持ち込んだ建機が置き換わり、はっきり言って邪魔になり果てている。
そこで、俺の相談が来たわけだが、別に俺たちが奪った帆船については正直使い方を考えていなかったこともあり、自由に使ってもらって問題ない。
船ごと牢獄代わりに使っていたこともあるし、それの有効活用として、ここと他の港との間の連絡船として利用を考えているようだ。
確かに、あの船の形状からして帆船としては割と速度は出るかとは思うが、それでも一番近い植民都市までどれくらい時間がかかるかわからない。
幸いなことに海図も手に入ったこともありことだし、航路開発でもしておこう。




