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プレアデスの伝説 姫たちの建国物語  作者: のらしろ
第四章 建国の準備
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第71話 聖遺物 



「そうなのですか」


「話がそれたが、それで俺のいた世界で使っていた服な、制服などと言われるが、それをみんなに渡していた訳だが、この船にもたくさんある。

 それに種類もいくつかあるので、仕事で制服の種類を別けたいと考えているのだが、どうだろうか」


 そこから、適当に選んだ制服を並べて説明していく。


「一番多いのが、これだな。

 これは俺の船にもあったように軍人が着ていたものだ。

 もっとも、ここにあるのはそれを神様が作り変えてくれたもので、新品になるようだが」


 俺は他人が着ていた物を高貴な人たちに渡す失礼を気にして慌てて言い訳を後から追加したが、どうもそれがフラン達にははまったようだ。

 どちらかというと、はまったというよりも……なんといえばいいのか、カルト教団の教主が信者を騙くらかすような感じで神の意向を説明したような感じになってしまった。

 あんなカミサマでも俺をこの世界に送り込むくらいだから、それなりに考えくらいはあるだろうが、フラン達が思っているようなものではない。


「神様からの……それって……」


「聖なる……」


「あ、聖遺物などというなよ。

 あくまで俺をこの世界に落とすために俺のいた世界の物をこちらに持ち込むためにしたことらしいのだから、ご利益など無いぞ

 それに、今君らが着ている服も同じなのだからな」


 俺の一言で、この場が一瞬固まった。

 フランたちは唯々驚いているようだが、後から合流したダーナはフランたちをうらやましそうに見ている。


「そんな、ご利益を神に求めることなぞ……」


 フランがやっとのことで発した言葉がこれだ。

 しかし、これには俺が驚いた。

 え?

 信仰ってご利益を求めるためのものじゃないのか。

 少なくとも日本では『困った時の神頼み』ってことわざもあるくらいなのだが……あ、ことわざならばこの場に合うものとして船の話にもあったな。

 船頭を増やせば船も簡単に陸に上がるって。

 船が陸上に進出するんだぞ、凄いだろうって、そんな訳ないか。


 まあ、ことわざなど、どうでもいいか。


「少し思い出したのだが、先に話した陸での乗り物の件だが、戦用ではないが、このフェリーにもたくさん積んでいるようなのだ。

 これから見に行くが、みんなも一緒に行くか?」


「「「ハイ、ご一緒させてください」」」


 食事も終わったことだし、いつもならこの後デッキで涼んでから就寝となるところだが、今日はみんなを連れて下にある車両甲板に向かった。

 ここからだとエレベータですぐだ。

 俺は移動の際にほとんどこのエレベータを使っていたが、他の者たちは使っていない。


 日中俺と一緒に作業などをしているミーシャなどは俺に移動について使ったこともあるが、一人では使っていないようだ。

 まあ、彼女たちからしたら知らない魔道具扱いで、しかも狭い空間に閉じ込められるとあっては不安があっても仕方がない。

 でも、今回初めてのものもいる。

 日中浜で仕事をしているフランたちだ。

 俺がみんなを連れてエレベータの前までくると、不思議そうにしていた。


「守様。

 扉の前で何を」


「ああ、この先にあるエレベーターに乗って車両甲板に行くので、待っている。

 お、来たようだ」


 ちょうど俺ベータの扉の前にあるランプがついて『チン』と音がした。


「こっちのようだな」


 2台あるエレベータのうち一つが扉を開ける。


 はじめての者も、そうでない者もおっかなびっくりと言った感じで俺に続き中に入る。

 俺が車両甲板と書かれている階のボタンを押すと扉が閉まり、エレベーターが下に降りていく。

 俺にとっては高層ビルにある高速エレベーターでもあるまいし、何も感じなかったのだが、一緒にいる全員には不思議な感覚だったようだ。


 高貴な身分のフランたちごく一部では魔物を使役しての空の移動もあるらしく、同じような感覚を知っているようで、かえって乗っているエレベーターにおびえているようだった。

 それでもほとんど時間を掛けずに車両甲板に着いてエレベーターの扉が開くと明るい部屋があり、その部屋の先に目的の車両甲板が広がっている。

 俺は、どんどん先に行くと、皆は慌てて俺についてきた。


 前に、テントなど一人で探しに来たことはあったが、今ここにあるのが本当に土木工事に特化したようなラインナップで、これを使わない手は無いと、改めて思っている。


「守様……これは」


「ああ、先に話した陸の上を走る機械だ。

 確か前に魔動車がどうとか言っていたよな。

 ここにあるのは全部が魔動車の一種だ」


「それにしても大物ばかりですね」


「ええ、私の知る魔動車とは似ても似つかないようなものまであります」


「ああ、あれは工事などをするためのもので、そろそろここで使ってみようかと考えている」


「え?

 ですと、私たちにも……」


 ケリーが俺に聞いてきた。


「ああ、ボートの様に簡単ではないが、そのうち覚えてもらうことになるかな」


「あの~」


 俺とケリーの話を聞いていたダーナが俺に何か言いたそうにしていた。


「どうした、ダーナ。

 俺に言いたいことがあるのなら、遠慮なくいってくれ」


「はい、その、陸の上で、それも差しさわりが無いようしたら私たちも……」


「ああ、そうだな。

 ダーナやそれにフランの部下たちの方がこれらを使うには都合がいいのかもしれないな。

 どちらにしても、ここから降ろすのに一苦労しそうだが、フェリー内の片付けもひと段落付きそうなので、明日からまずは降ろすことから始めるよ」


「そうですね、あんな大きなものを運ぶのは……できるのですか」


 誰かがやっと気が付いたようで、流石に人の手で運べるものでもない。


 一応、明日以降についての作業手順を説明しておいた。

 と言っても、今の俺はどうやってこれらを降ろそうかと思案の最中なのだが。

 岸壁のある場所でしか、フェリーは車を降ろさないが、どう考えてもこの島にはそれに適した場所……場所くらいはあるだろうが、それでも工事は必要だ。

 その工事のためにもここにある建機類が大活躍するが……て、堂々巡りになっている。

 まずはこの浜に降ろすことから考えないといけないな。


 翌日にはフランとダーナはほとんど日課になったように二人して浜に向かった。

 ただ、今日だけはいつもとは違い俺たちと一緒にいたそうにはしていたのだが、俺は二人を止めることなどしていない。

 多分だが、俺が声を開けるとこの場に無理しても残っただろうとは思うが、正直言って、俺以外では今のところこの場にいても大した仕事は無い。

 俺だって、まだどうするか決めていないので、仕事ができるか相当怪しい。


 まあ、いつまでも食堂にいてもしょうがないので、この場に残ったミーシャやサーシャを連れて昨日と同じように車両甲板に向かった。

 ケリーはケリーでもう一隻の船の方で仕事があるらしく俺に申し訳なさそうに行き先を伝えてから俺たちと離れて行った。




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