第65話 フェリーでの夕食
アルコールが入ったためか、その後はかなり打ち解けての話し合いができた。
尤もアルコールを入れたので難しいことは決められないが、それでも、ここも新たに仲間に入れた1800名を加え、捕虜も400名以上いるのでそろそろ組織でものを考えないといけない頃になっている。
本当は捕虜を捕まえる以前にエルムたちを受け入れた頃から考えないといけなかったと思うが、俺もカミサマからの宿題もあったので、それどころではなかった。
カミサマからの宿題もとりあえずこのフェリーを見つけたことでしばらくは強制クエストも発生しないだろう。
しかし、本当にまいった話だった。
シードラゴンの退治が強制クエストだったのだなんて。
仲間が誰もいなければムリゲー以外にないだろう……ひょっとして船に積んであるヘリを使えば……ありえない話でもないな。
多分今の俺なら使えるだろう。
いや、初めから使えていたのだろうが、そんなの知るかよって感じだ。
祝福で操作方法が簡単にマスターできるなんて聞いていなかったぞ。
でも、コブラだっけか、そんなのもあの軍艦に積んでいたな。
あれ、二人乗りの攻撃ヘリと海保などが救助用に使っている中型ヘリもあったし、ひょっとしてこのフェリーもヘリを使って探せって感じだったのかな。
そういえばこのフェリーにもヘリポートもあるし、このフェリーに乗り込むのもヘリからを想定していたのかもしれない。
考えれば考えるほど腹が立ってきた。
そんなこと説明も何もなければわかるはずないだろうに。
まあ、アルコールが入った話し合いだったが、それでも今後について方針を決めた。
建国がどうとか言っていたけど、とりあえず自治政府って感じで組織化することに決まったようだ。
政治部門をフランに任せて、ダーナが連れていた役人連中をフランの下に就ける。ダーナを監視役にして獣人の将軍に島の治安と捕虜の面倒を任せることにした。
元からいる連中で、兵士たちはその将軍の下に就けた。
ケリーにはダーナが連れていた船乗りたちも面倒を見てもらうことで海軍さんの長を務めてもらう。
ダートンには、そのままインフラの整備や技術的なことを任せる。
サーシャは俺の嫁だと言い張るので、当分は常に俺のそばにいてもらう。
あ、ダーナもサーシャの守り人だとかで一緒にいることが多くなりそうだ。
将軍の上官になるのだが、常に監視しているわけでもないので俺は了承しておいた。
なんだかんあだと話し合い、明日以降はこのあたりの整備を始めることになった。
まずは整地からだが、そこは俺が力になりそうだ。
何せこのフェリーには力強い見方がたくさん積んである。
俺はアルコールが入りかなり気分もよくなったので、フェリーからみんなを見送ったのだが、この船から出て行ったのは男どもばかりだ。
サーシャは俺のそばにいると言ったことを盾に取り、本日から早速俺から離れないと言っていた。
そうなると守り人のダーナも離れるわけにもいかず、残ることになる。
それで面白くないのはフランだ。
『私が一番長く守様と一緒だったのに』だとかで、フランとミーシャ、それにドーラも残った。
ついでとばかりにエルムとケリーも残ったが、もうどうでもしてくれ。
フランとダーナは日没前に一度浜に向かい仕事をしてきたようだがそれでもすぐにそれも一緒に戻って来た。
まあボートも数はあるけど一緒の場所なら別のボートを出すまでも無いしね。
夕食はバイキングレストランを離れて、スカイラウンジ内にあるちょっとこじゃれた食堂に向かった。
別に料理を作る人がいるわけでもないので、結局自分らで夕食を作らないといけないが、それでもこういう大企業系のレストランって、結構省力化が図れているんだよ。
特別でもないが厨房で料理を作るのが普通だが、それでも冷食などもかなり多用もしている。
俺は冷凍庫で適当におつまみになりそうなものを選び出す。
お、チルドに刺身の盛り合わせがあるじゃないか。
ありがたい。
それならば冷食に魚の煮物を選び、ご飯もあるけど今日は日本酒の気分だ。
それらを準備してテーブルに持っておく。
刺身はこの世界の他の人には受けないだろうな。
なら別物として……やはり揚げ物か。
ここは冷凍ものを厨房で揚げる仕組みのようだ。
衣のついたイカ、エビ、それに豚肉などを揚げていき野菜と一緒にテーブルに用意している。
俺がうれしそうにしていのが不思議だったのか、みんな俺のことを見ている。
準備見できたし、あ、酒用の冷蔵庫から日本酒と、ワインをだしてグラスも用意しておいた。
「さあ、夕食を頂こうか」
「これ、守様が一人で準備されたのですか」
「ああ、この船に限らずだが、特にこの船はお客様に快適に過ごせるようにいろんな料理がすぐに提供できるよう、ほとんど下準備ができているのだ。
俺はほとんど盛り付けだけかな」
「また、お酒を飲みますの」
「ああ、そのつもりで料理も用意したけど」
「私もワインならば飲んだことがありますから、飲ませていただくわけには……」
「すでにワインを飲んでいたとは。
まあ、この世界で俺の国の常識を持ってきてもしょうがないかな。
でも強い酒はだめだぞ、それと量も考えてな」
「はい」
「それなら私も……」
サーシャまでもが言ってきた。
実際サーシャは見た目こそJKだが年齢は俺と同じくらいか。
先ほど着た限りでは俺よりも一つ上だったかな。
「サーシャもフランと同じだな。
それでいいか」
「はい」
その後はみんなで食卓を囲み夕食を摂った。
ここは昼に使った食堂よりは小さめだったが、それでも一組相手では広々と感じる。
明かりは十分に有るので、寂しくも無いが、慣れそうにないな。




