第63話 プレアデスの姫と守り人
すると、あのガタイのひと際大きいものがシードラゴンだったというのか。
普通では一国相手でも倒せるかどうかの、もはや神話級の怪物だとか。
今までのシーサーペントが30mm機関砲で簡単に倒せたが、あいつだけは無理だったが、その説明ならば納得ができた。
しかし、そうなるとますます腹の立つ話だ。
あの神話級の怪物を倒さない限りこのフェリーを入手はできなかった訳で、序盤に設定されるイベントでは絶対にありえない話だろうに、何をしてくれているのかなカミサマは。
「シードラゴンのことは理解できたが、まだわからいのがプレアデスの姫の責というものだ。
以前にそこのエルムやフランからプレアデスの姫に関する伝説を聞いたことがあるが、その責って聞いた覚えが無いのだが」
「はい、これも我が一族に古くから伝わる話なのですが、プレアデスの姫に選ばれた者は使徒様と夫婦の契りを結び国を興すとあります」
『ぶ~~』
俺は飲んでいた紅茶を思わず噴き出した。
目の前の美少女、俺から見たらまだJKにしか見えない美少女が契りだと。
もっともらしいことを言っているが要は……うん、うれしい話だが、さすがにまずいだろう。
公務員規定に明らかに反する行為だ。
あ、俺、公務員をクビにされたんだわ。
それよりも目の前の少女は契りの意味を知っているのかって、顔を赤らめているよ。
これは絶対に知っているな。
すでに俺はフランやミーシャをおいしくいただいてしまった過去もあるし、いらないとも言えないよな。
いらなくも無いが。
「守様。
初めての姫です」
「いや、姫ならフランもそうだろうし、そこのダーナさんだって第一王女様と言っていたよな」
「いえ、守様。
私たちにとって、使徒様である守様の初めてのプレアデスの姫です。
あと5人探さないといけませんが、6人のプレアデスの姫をめとり建国に祝いをすれば奇跡が起きると聞いております」
「その話は私たちにも伝わっております。
守様はそのためにこの世界に顕在されたのかもしれませんね」
「建国がどうとかは知らないが、文化をどうにかしてくれとは言われているからな」
「言われているとは」
「この世界に送られるときにカミサマにそう言われた」
「やはり守様はカミサマより使命を賜り御顕在された使徒様なのですね」
目の前の少女だけでなくみんななぜか嬉しそうに俺を見ている。
話が脱線したので他の人も紹介してもらおう。
「まあ、建国がどうとかは、今は置いておいて、他の人も紹介してもらえないか」
「すみませんでした使徒様」
ダーナはそう言って、次に先ほど俺に謝って来たドワーフを紹介してくれた。
「わしはハーベスの国で長らく技師長を務めていたドワーフのダートン・ドミニーと申しますだ。
言葉使いは長らく王宮勤めでも治らなかったことでここでもお許し下され」
「俺は別にかまわない……あ、失礼しました」
「いえ、使徒様こそいつも通りに話してくださると助かるのだが」
ダートンがそういうと全員が一斉にうなずく。
「なら、悪いが俺も余所行きを改めさせてもらうが、何分俺の育ちが悪くてな」
すると先ほど泣いていたハイエルフのサーシャも話し方を改めてほしいと言ってきた。
「使徒様から丁寧に話されますと、私たちの方が恐縮してしまい……」
「ああ、それならそちらのみんなも俺のことを使徒と呼ぶのを止めてもらえるか。
呼ばれるたびに嫌なことを思い出すのでな」
そうなのだ、どうしても使徒と呼ばれるたびにあのにやついたカミサマの顔を思い出す。
特に先のイベント以来殴りたくなる衝動を抑えるのが大変だ。
きっと、先の勇者も同じ気持ちだったのかもしれない。
だからタガも簡単に外れたのだろう。
まあ、俺は今更ヒャッハ~なんてするつもりも無いが。
「わかりましたが、それで何とお呼びしたら」
「サーシャさんだっけか、俺のことは守とでも呼んでくれ。
フラン達もそう呼んでくれるから」
サーシャだけでなくダーナもフランの方を見て納得したようだった。
「それでは今後は守様と呼びしますが」
「ああ、そうしてほしい。
次は……」
そこから残りの人たちを紹介してもらった。
立場の上から順番での紹介だったようで、この後紹介された者たちで大物と呼べるのはあと数人の獣人族の人たちくらいだった。
フランと同じ人族の人もいたが、魔法使いと呼ばれる人たちのようで、その長がいたり、あとは、一国から逃げ出してきただけあって兵士も多数いるので、当然将軍を務める者もいた。
後はお役人関係が数人って感じで全部で20名、しっかりと紹介されたが……ごめん、覚えきれなかった。
途中何度も脱線したけど一通りの紹介は終わった。
尤もフラン達はすでに非公式扱いらしかったがみんなのことを知っているようだ、しかし、何だよ非公式扱いって、まるでどこぞのお役所みたいなことをフランは言っていた。
その後はフランとダーナの二人にダートンが時々加わる感じでこの地での生活について話し合ったが、フランがとんでもないことを言い始めた。
「守様。
先ほども言いましたが、守様にプレアデスの姫が嫁いでまいりましたので、本格的に建国の準備を始めます」
「ちょっと待とうか。
建国ってあの5人だか6人だかを娶れって言うやつか」
「はい、最終的にはプレアデスの姫を6人と」
「6人とって、その最後の『と』ってなんだ」
「はい、私も詳しくは存じていませんでしたが、サーシャ様から教えていただいたことによりますと、プレアデスの姫には10人の守り人が付き、守り人はさらに10人の従者つくくそうなんです。
それらすべてが守様をお守りするために全てを捧げる者たちになります。
私の家に古くから伝わる話にもありましたが、私がその守り人のようですね。
尤も私の仕えるのはサーシャ様ではなく人族にいる聖者様らしいのですが」
「守様。
私はサーシャ様の守り人です。
良しなにお使いください」
そう言ってきたのはダーナだった。
黒エルフ族のダーナははいエルフのサーシャの守り人になるらしい。




