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プレアデスの伝説 姫たちの建国物語  作者: のらしろ
第四章 建国の準備
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第57話 カーフェリーで良かった



 ケリー達を艦橋から送り出した後、俺は一度下の倉庫に向かい偵察専用のドローンを持ってきた。


「あっちの船に飛ばしているドローンの監視は頼めるか」


 俺は艦橋にいた騎士の一人に向こうの船を監視しているドローンの面倒を頼んだ。

 まだバッテリーは問題ないだろうが、無くなりだしたら警告が出るので、任せても問題ない。

 そろそろドローンの扱いも勉強させようかと、こういう時に考えてしまう。

 しかし、ケリー達はだいぶ慣れたと言ってもまだこの船の扱いに習熟したとは言い難い。

 もう少しこの船に慣れてもらってからかな。


 俺は霧が徐々に晴れてきたこの海域でもう一つのドローンを飛ばした。

 先ほどまでは全く見えなかったのだが、だいぶ霧も晴れておぼろげながら向こうに船が見えてきた。


 あれ、コンテナ船でもタンカーでもない。 

 絶対に客船だ。

 正直見えてきた船を観察するようにじっくりと見て、俺はひとまず安心した。

 ここからだと大きな客船に見えるが、豪華客船てことは無いはずだ。

 なにせ俺がカミサマに会った時に教わったことでは『付近を航行する一番大きな船』と言ってた。


 俺たちが横須賀に向け船を走らせていたので、当然付近を航行する大型の船については全て船のレーダーで捉えていた。

 向こうの世界ではすでにインターネットなどでもそういうサービスがあるのだ。

 そのサービスで確認した限り大型の豪華客船は無かった。

 東京島嶼部に向かう客船か、九州方面に向かうカーフェリーくらいしか客船は知らない。


 一番多かったのがコンテナ船で、これは大型な船が主流だ。

 次に多かったのがタンカー、数はそれ程でもなかったが大型の船に自動車運搬船もある。

 島嶼部に向かう船はあの辺りには居なかったはずだから、客船ならばカーフェリーしかないが、俺にとってはありがたい。


 今見えている範囲で考えても、大型船であのシルエットはあたりを引いたようだ。

 一番大きな船と言っていたからタンカーの危険性が一番高かったが、あの辺りの範囲にいなかったのだろうか、それともあの神様の援助があったのか正直ほっとしている。


 もう一つの可能性ならば正直俺はモチベーションを保てそうにないから、カーフェリーであってくれ。

 前に連れてこられた勇者のための豪華客船ならば正直嬉しいが、そうなるとそれよりもいろいろと劣る船を探すミッションが終わらない。

 それもタンカーやコンテナ船の可能性が高く今俺がおかれている状況には全く役に立たないものばかりだ。


 おお、ようやくドローンも船の上空に着いたようだ……ゲッツ!

 やったね。

 俺は賭けに勝った。

 煙突に描かれているマークはまさしく東北太平洋フェリーのマークだ。


 それに俺はあの船を知っている。

 俺が海保の研修中に停泊中のあの船に先輩たちと一緒に立ち入り検査に入ったことがあるやつだ。

 確か名前は『北斗』そう『北斗』だ。

 姉妹船もあるので、『北斗』に決まりって訳でもないが、俺のとってはどちらでも構わない。

 同系船なのだから名前など気にしてはいられない。

 となると、これからあの船に乗り込む必要があるな。


 俺は一度ドローンを戻してからケリーに無線で連絡を入れる。

 ドローンを回収した後に一度ケリーに無縁を入れた。


「ケリーか。

 俺だ、守だが今話しても大丈夫か?」


「はい、ボートは今部下が操縦してますから問題ありません」


 まだケリーは救助する船にも着いていなかった。


「今、先ほど話した人の乗る船に到着して、梯子を下ろしてもらっております。 

 しかし酷い有様ですね。

 これでは、曳航でしたっけ。

 あれは無理そうです」


「ああ、俺もそう思う。

 ケリーから見えているかは不明だが、先ほど発見した船な。

 あれ、カミサマが俺に遣わしたもののようだ。

 これから回収に向かう」


「これからですか」


「ああ、あの船が使えるようならば今俺たちが抱えている問題は一挙に解決する。

 あの船ならば今助けを求めている人全員を一遍に運べるはずだ」


「え、先ほど聞い話では1000名を超える人数だとか」


「ああ、だが大丈夫だ。

 あの船は俺の知る限り乗客数が1000名弱だったはずだ。

 それに乗員数も100名まではいかなくとも相当数乗せていたはずなのだから問題ない」


「ですが、ここの集まる船は全部で三隻ありましが……」


「ああ、でも先ほど言った乗客の話は、快適に過ごせる数だ。

 多少は窮屈な思いをさせるが乗せるだけなら何ら問題ない。

 下手をしなくとも5000名くらいは運べるはずだ」


「5000ですか」


「ああ、でも正確な人数が知りたいか、そのあたりを調べてくれ」


「わかりました」


 俺はケリーと話を済ませると、自分で操舵輪を握り船を動かした。

 艦橋にいた騎士たちは自分たちが操縦しますと言ってきたのだが、フェリーに乗り込むために微妙な操船が必要になるので、俺は説明しながら操縦している。

 一度近くに止めてからボートという選択肢もあるが、さすがにあの大きなフェリーだ。

 水先案内人乗船用のタラップでも降ろしていなければ乗り込むのに苦労しそうなことになる。


 念のためにパイロット乗船口近くにこの船を横付けした。

 水先案内人乗船タラップは無かったけど乗船用の梯子は降ろされていた。

 そういえばこのフェリーは入港のためにいちいち水先案内人を乗船させていなかったはずだ。


 頻繁に同じ港に入港するものだから、そのあたりを省略されているので、初めから立派?な乗船タラップなどついていないようだ。

 それでも法律もあり、また、ほかの港に向かう場合などに備えて最低限の乗船方法は確保されている。

 今回の場合それが梯子だっただけだ。


 俺は護衛のために一人騎士を連れて梯子を使ってフェリーに乗り込んだ。

 その際、騎士が着ている救命胴衣は脱がせた。

 邪魔になりかえって危なそうに見えたので。

 それに、今から使う梯子から落ちたら船の間に挟まるので、まず命は無い。

 とにかく梯子から落ちないことが肝要なのだ。

 尤もそんなことはついてくる騎士には伝えていない。

 伝えると緊張して危なくなりそうだったのだ。




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