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プレアデスの伝説 姫たちの建国物語  作者: のらしろ
第四章 建国の準備
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第54話 航海日誌



「今日はどこに向かいますか」


「前に見つけた岩礁をもう少し調査したい。

 その後についてはその先の少し船を進めるかな」


「わかりました、ではそこまで私たちが操縦いたします」


「だいぶ慣れたね。

 なら任せたよ。

 船長室にいるから、何かあったらすぐに知らせてほしい」


「はい、お任せください」


 俺は船長室で前に入手した航海日誌の解読を始めた。

 前に航海日誌を読んででいたが、今度は船長日誌に目を通す。

 いや~、海図だけでなく航海日誌も簡単に調べられるって本当に助かる。

 それに先日拿捕したアンタレス教国の軍艦かな、積んでいた大砲の数からして主力艦だと思うが、その船からも海図や航海日誌を押収してある。

 こっちは写真でスパイさながらに情報だけを抜き取るような真似をせずに現物をそのまま頂いた。

 こっちの方も次に確認だ。


 船長の日誌も特に変わり映えしない情報しかなかった。

 一つだけ気になるのは、航路から外れた場所で魔物に襲われる船があるとかないとかだ。

 目の前で魔物を退治した俺からすればさもあらんって感じなのだが、船長が拾ってきた噂では怪しげな場所で、多数の魔物が出てくるとか。

 多くの船が襲われて沈んだとあったが、それならなぜその情報を知っているのかとなる。


 船長も同じ疑問を持ったようで、航海日誌には次のように書いてあった。

 『遠くに襲われている船を見つけたが、あまりに魔物の数と襲っている魔物がシーサーペントのようなやたら凶暴なものなので、襲われている船には悪いが逃げ出した』と噂を教えてくれた人から聞いたとあった。

 情報を持ってきた人も又聞きのようで噂半分以下だなと判断したようだ。

 まさか自分が襲われるとは思わなかったと最後に書かれていた。


 これは俺が助け出した後に書かれたようで、出発前日のもののようだ。

 俺がお礼代わりに見せてもらった時に写真で収めたものだ。


 本当は古い情報も欲しかったが、俺は運がいい。

 アンタレス教国の船から押収したのは現物そのままだ。

 俺の携帯カメラで撮った船長の航海日誌から離れて、いよいよアンタレス教国からの情報だ。

 あいつらは直近で魔物と対峙していたので、そのあたりの経緯についても書かれているだろう……俺の願望だ。

 何せ助けたハートポンドの船長の日誌にも戦闘の経緯については書かれていなかった。

 まあ、あいつら実際に戦っていれば記録に残す余裕なんか無かったか。

 あれ、条件はアンタレス教国も同じか。

 まあいいか。

 

 俺は直近に近いページから読み解いていく。

 最初のページからおかしな表記から始まった。

 確かに航海日誌に魔物だとか書かれていたら、すぐに艦橋から追い出されるだろうが、それはあくまで俺のいた地球の話だ。

 ここは魔物にも生存権がある世界だ。

 尤も魔物には人権などないようだが。

 それで、書かれている内容はというと、急に霧が立ち込めたかと思うとすぐにシーサーペントからの体当たりを受け、最初の一撃でジブマストがおられたとあった。

 誤解があったようで、折られたのは一番船首に近いマストだったのだが、それでも俺が後でそのマストを全部折ったが、航海日誌にはすぐに船長が魔物に向けマスケット銃をぶっ放してから、大砲の準備をさせたとあった。

 そこで記録が終わっている。


 霧の中で襲われたとあるが、俺は気象データを過去にさかのぼり調べても霧の出るような条件は無かった。

 ひょっとしなくとも何でもありの世界だ。

 魔物が霧を発生させた……流石にありえないだろう。

 まあいいか。

 少し前の出来事も調べてみるとこれまた怪しげな記載があった。


 『船長が、言うにはこの辺りはハートポンドの連中が良く使う航路だから、奴らの護衛艦と鉢合わせしてもつまらないから南に進路を変更させた』とあった。

 前に助けた船長の日誌には航路から外れると魔物がいるとあった……関連性があるなというよりも繋がったけど、これってできすぎていないか。


 どうも物語の中を泳いでいるような感じだ。

 泳いでいるというよりもおぼれていると表現した方が良いかな。

 まあ、そうなるとフラグって呼ぶんだっけか、次は俺か……「守様!」

 そう叫びながら一人の騎士が俺の部屋に掛け恩で来た。


「レーダー上に初めて見る影が……」


 そら来た。

 早速フラグの回収かよ。

 俺は騎士と一緒に艦橋に戻った。


「守様。

 これです。

 これを見てください」


 レーダーの前にいた騎士が俺に報告してくる。

 俺もその画面を覗くと、明らかにレーダー上におかしな影があった。

 複数の影が動いている。

 大きな塊を囲むようにいくつかの影が動き回っているようだ。


「何でしょうか、これ」


「うん、これって、真ん中の影を周りが襲っているように俺には見えるな」


 そうなのだ。

 現代戦においてこのようなフォーメーションはありえないが、帆船の時代ならばわかるような気がする。

 実際に見たのは初めなのだが、多分帆船時代の交戦の様子をレーダーで捉えたのは俺が初めてだろうな。

 学生時代に習ったことが無い。


「ど、どうしましょうか?」


「様子を見るために近づくしかないな。

 そうだな、この辺りだと20kmは無いか」


「わかりました。

 問題の場所に向かいます」


「操舵輪を握っていたケリーが俺のつぶやきに応えてくれた」


 それから少し船を進めると、今度はケリーから声が上がる。


「守様、前を、前を見てください」


 そう叫んでいたので俺は急ぎ艦橋の窓から前方を見る。


「あれ、おかしいでしょ」


 俺は思わずつぶやいた……いや、叫んでいたかもしれない。

 目の前、1kmくらい先に雲のような霧が立ち込めている。

 明らかに、そこからキリですよって感じだ。

 普通もう少しやりようがあるでしょって自然に向かっていっても無意味か。

 でも、霧が深い場所を航海もしたことはあるが、それでも霧は徐々に濃くなっていき最後には1m先も見えないような濃い霧の中も経験はあるが、目の前に広がる霧はおかしい。

 まるでファンタジー世界だ。

 ……あ、ここもある意味ファンタジー世界の中か。

 神様に連れてこられた時点で諦めるしかないな。




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