第50話 発見、アンタレス教国船
フランたちと話し込んだがそれでも割と早い時間に基地を置いている浜から出航した。
俺とケリー達昨日から船に詰めていた者たちは、朝食を摂っていなかったのでミーシャに頼んで簡単に食事を用意してもらった。
目的の場所が決まっているので、ゆっくりと周りを探索しながらの必要もないので、巡航速度で船を進めている。
それこそ順番に食事をとっているだけで目的の場所を望遠鏡で目視できる位置まで来ていた。
遠視カメラでそのあたりを観察するとレーダーでとらえた影は島というよりも岩礁のようだ。
あんなのでもレーダーには影を落とすんだと感心していると、レーダーを監視している騎士の一人が声をかけてきた。
「守様、これって」
俺は騎士が見ているレーダー画面を覗きに行くと、そこにはどう見ても船と思われる影があった。
「うん、これで三隻目かな。
多分帆船だろうな」
「調査しますか」
「ここもおおよそのことも分かったことだし、この帆船も調べてみるか」
前に見つけたレーダー上に映った怪しげな影はいわゆる岩礁って感じの物だったが、そこではない所にレーダーが船の航跡をとらえていた。
しかし、レーダー上での監視でも普通に船を走らせているようには見えない。
無風か微風ならばわかるが現在このあたりの海上は風速4mの風が吹いている。
これくらいならば気持ち良く帆船を走らせることもできそうだと思うが、動きがおかしい。
そうなると、難破している可能性もあるし、調べない訳にもいかない。
別に俺は日本の海保を首にされているので、いちいち見つけるたびに救助しないといけない訳でもないがって、遭難している船は助けることは国際条約上でも義務化されていたはずなので、やはり助ける義務はあるのか……いや、ここは異世界だから俺のいた世界の国際条約や、国際法規など知るかって無視しても良いが、やはりなじめないと言うこともあり気持ちも悪いし、今まで助けたことで酷いことになっていない。
それどころか、仲間も増えて……ムフフ……乗船の儀とやらで楽しめもしたし、やはり助けるか。
「見つけたのならば、調べようか」
「そちらに向かうのですね」
「ああ、敵性の可能性もあることだし、見通しギリギリまでは近づくが、助けが必要かどうかについてはその際調べることにしようか。
海賊の可能性もあるのだろう」
「はい、私は船乗りではありませんから詳しく知るわけでもありませんが、この辺りも海賊が出没しても不思議はありません」
ケリーが俺の疑問に答えてくれた。
「とにかく近づこう。
目標手前2kmくらいまでは近づいても問題ないだろう」
「そうですね」
一応みんなの同意も取れたことだし、近づくことにした。
20分も船を走らせれば目標としたポイントまで到着できた。
「守様。
船を止めましたが、いかがしますか」
「ここからドローンを飛ばして調べてみるよ」
「ドローン?
ああ、守様の魔法具ですか」
説明も問答臭いので、魔法具としてあるドローンを飛ばすことにした。
ドローンを船に近づけてモニター越しに観察を始める。
「メインマストがおられておりますね」
ケリーが目標とした船の不可解な様子の原因を見つけた。
「似ていますね、先日助けた船と」
「ああ、航海日誌を読んだけど、シーサーペントにやられたのかもしれないな。
他の船を襲っているシーサーペントから逃げたと書かれていたから」
「逃げたのに襲われたのですか」
「ああ、その航海日誌の続きに、逃げ切れなかったとあった。
それに、俺たちが倒したシーサーペントは他の船をその前に襲っていたようだともあったしな」
「あ、隊長。
あれ見てください」
一緒にモニターを見ていた騎士の一人が騒ぎ出す。
「どうした?」
「船尾に掲げられている旗を見てください」
「あ!」
「どうした?」
俺はケリーに聞いてみた。
「あの船は敵です、いや、敵でした。
我が国を襲ったアンタレス教国の国旗がありす。
あの船は敵でした」
「あれ見てください」
俺とケリーが話していると別の騎士が声を上げる。
「あれは……」
俺もモニターを見たが、どうも船上では奴隷たちがかなり乱暴に扱われている。
ケリー達騎士の顔がこわばっている。
俺が、ハートポンド商業連合に所属か、雇われている身分ならばすぐにでも仲間を助けに行くよう要請してきたのだろうが、フランからも俺等が別の国を立ち上げるといった以上、俺に彼らを助けてほしいとは言い難そうだ。
「ケリーと同じ国の者たちなのだろう」
「はい、多分ですが敗戦した祖国から奴隷として無理やり……」
「俺は奴隷制度になじみがないから知らないことが多いので教えてほしいのだが、敗戦で無理やりって、合法なのか」
「合法と言いますと……」
「あ、そうだよね。
負けたのだから、その国の法律なんか適用されないか。
しかし、国際法上後で絶対に問題にされるぞ。
ハーグあたりが騒がしく……」
「守様。
一般的にですが、そういうことの方が多いと言いますか、まず奴隷として連れ出されますね。
私たちの国でも……」
ケリーの説明はどこでも同じようなのだが、勝てば官軍じゃないが戦勝国が敗戦国から人民を奴隷として連れ出すのが当たり前のようだ。
だから、最後まで説明できなかったのだろう。
「まあいいか。
とにかく目の前で難破している船がある。
それをどうにかしようじゃないか」
「え?
彼らを助けるのですか」
「ああ、だが無条件ではないぞ。
ケリー達と同じ国の人たちは解放してもらうし……どうしようかな。
手向かうようならば捕虜とするのも良いか」
俺がそう言うと、皆不思議そうな顔をしている。
唯一ケリーだけが俺に聞いてきた。
「仲間を助けて頂けるのですか」
「ああ、ハートポンド商業連合から連れてこられた者たちを俺たちが預かろうと交渉をしよう」
「相手はそれを受けるはずはなりませんが」
「抗戦するようならばフランの時と同じだ。
船を沈めてから助けても良いしな。
だが、それって面倒なんだけどとにかく近くに行って交渉だ」




