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第44話 初めての海洋魔物との遭遇




「ケリー、悪いが操船を代わってくれ」


「わかりました」


「近づくだけでいいぞ。

 2kmくらいまで近づけば戦える」


「そんなに遠くからですか。

 ならすぐにでも」


 そう、急いだことから、目標としている怪物まで距離にして3kmは切っていた。

 俺も急ぐか。

 艦長席について、例の機関砲の準備を始める。

 カメラ照準を起動して、連射モードですぐにぶっ放した。


 確かに近代兵器だ。

 それも、あのアメリカさんが使っている物と同じ武器だからちゃちなものではない。

 先ほど聞いたところでは、あの怪物、ケリーの部下がシーサーペントとか言ったか、うろこが固いので攻撃が難しいらしいが、近くから撃たれた20銃弾を防ぐほどでもなかった。

 防弾チョッキ程度かそれよりも防御力は弱めのようだ。


 3秒ほどぶっ放していると、甲板がすごいことになっている。

 薬きょうがやたらと飛び散っているが、甲板には誰もいないのでやけどの心配は無いか。

 で、あの怪物かどうかというと……頭に数発あたったのが良かったのか倒したようだ。


「「「……」」」


 環境が一瞬で静まり、僧舵輪を握っていた者まで呆然としている。

 さすがにちょっとやばいので、俺が操舵手のそばまで行くと、みんな我に返り、ケリーなどが興奮気味に俺に聞いて来る。


「守様。

 今のは何ですか」


「守様の魔法ですか」


 フランまで驚いたように俺に聞いて来る。


「魔法ではないが、見たのは初めてなのか」


「いえ、今までこんなすごいのは見たことがありません。

 土魔法系のストーンバレットが、似たような効果があることは聞いたことがありますが」


「そうなのか……あ、でもみんなを助けるときにも使ったぞ。

 まあ、あそこまで派手には撃たなかったが。

 単発で数回だったか、海賊船のマストを狙ったけど、気が付かなかったか」


「あ、そういえばあの時に急にマストが折れましたが……」


「ああ、ミーシャに頼まれて海賊船に混乱を起こすためにマストを折ったが、そうだよな、撃たれただけではわからないか。

 音も聞こえなかっただろうからな」


「そういえば、ものすごい音もしていましたが」


「ああ、そういうものだ。

 あれはそういう武器だと思ってほしい」


「守様。

 他にも武器というものがあるのですか」


「ああ、この船は戦船だ。

 武器はたくさんの種類が積んである。

 ただ、使い勝手がいいとは言えなくてな。

 当分、使うとしてもあれだけだな」


「もう、あれだけでも十分のような気がしますが」


「そうですよ、守様。

 シーサーペントをああも簡単に倒せる武器ならば、あれ以上の物はいらないでしょう」


「そうなのか、なら安心だな。

 それよりも襲われていた船に近づくか」


「そうですね、あの船もマストを折られておりますから動けないでしょうし、そのまま放置という訳にもいかないでしょうしね」


 俺たちは、相手を警戒しながら相手にも警戒させないように速度を落としてゆっくりと船に近づいて行った。

 500mを切ったころになって、相手の船に変化が現れる。

 メインのマストがぽっきり通れているのは近づく前からわかっていたが、残っているマストに二枚の旗が掲揚されてきた。


「何か、向こうの船に旗のようなものが掲げられてきたが、何か意味がある行為なのか。

 こっちも旗を掲揚しないとまずいのかな」


「あれは、わが国の国旗です」


 総舵手が声を上げてきた。

 するとエルムも望遠鏡を使って旗を確認してから、俺に話しかけてきた。


「私のいた国の国旗と私の家の紋章が掲げられました。

 同盟国や関係国ならば救助の要請になりますし、敵国ならば攻撃される前に旗を降ろすことで降伏の意味を成します。

 守様はいかがしますか」


「いかがするって言ってもな、この船に掲げられている旗ってな~」


 俺は今の今まで意識はしていなかったか、国際法にもあるように所属する国旗を揚げていたってか……アメリカさんの国旗が船尾に掲げたままだった。

 俺一人しかいなかったし、降ろす暇も無かったしな。

 しかし、どうするかな。

 エルムの知り合いの可能性があるという話ならば助けるしかないだろうが、とにかく向こうとコミュニケーションを取らないと始まらない。

 この世界で国際信号旗が使えるとも思えないし、ケリーたちを派遣するしかないか。


「フラン、向こうと話さないとこの後のことを聞けることができないが、ケリーを派遣して相手の要望を聞くことはできるかな」


「ケリーですか。

 ケリーはどう思いますか」


「フラン様。

 守様の言われるように我々騎士が向こうに渡り話を付けてまいります」


「守様。

 ケリーがいくのでしたら、私も一緒に参ります」


「フラン様、それは……」


 フランが言うには、自分の家に関係する船になるので、ケリーだけよりも自分が行く方が話が早いと思ったらしい。

 確かに、雇用者の娘が行けば誰かしらフランの顔を知るものがいてもおかしくは無いだろうし、たとえ誰もフランの顔を知らなくともフランの自己紹介で立場を明確にすれば相手も無下にはしないとは思うが、危険が無い訳ではない。

 俺の考えを見抜いたのかフランが俺に言ってきた。


「もし危険があれば守様はあの武器で私たちを助けてくださりますよね」


「ああ、あの船程度ならば鎮めるのも造作も無いことだ。

 それに、騒ぎに乗じて逃げ出すのは経験済だしな……わかった、フランの提案を受けよう。

 ケリー、悪いがそうしてくれないか。

 フランには無線機を持たせるから、それでこちらと意思の疎通を図ろう」



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