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第43話 新たな影



 翌日になり、昨日から懸案のあったレーダー上に一瞬だけ見つけたという影の調査に出かけることにした。


 出発前に話し合うと、エルムたち学生を中心に昨日作った基地に興味があるようで居残りたいと申告がある。

 エルムが言うには無線というものに非常に興味があり、それを使ってこの船と実験をしたいというのだ。

 フランも、わずか数時間の距離ということもあるので、今回の調査はエルムにフラン、それにケリーとの話し合いの結果、二手に分かれることにした。


 島の残すのはエルムを隊長として主の彼女の生徒たちと、それに彼女たちを護衛してきた兵士にケリーの部下だったものから3人をあてがうことで10名になる。

 10名ならばボートの定員と同じこともあり、何かあっても護衛も十分になりそうなことだし、話し合いに参加した全員の賛成を得た。


 ただ、なにかあってもすぐ戻れないことも考えて、倉庫から携帯食料と水を多めに渡しておくことにしたので、島に人を送る際にボートを二隻出して資材と人を送り出した。

 そのうち一艘のボートは島に残してきた。

 何かあればそのボートを使って海に逃げられるので、少なくとも無線で連絡を受けて俺たちが戻るくらいは時間は稼げるだろう。


 現状の俺たちは総勢26名なので、約半分を島に残して調査に向かった。

 無線では頻繁に連絡を入れている。

 今まで無線機には誰も人を付けていなかったが、今回ばかりはフラン付きのメイド二人を交代で無線機についてもらった。


 船を出すまで資材の搬出やら、細かな相談やらで時間を取られたが、それでも早朝から動いていたので、午前10時には停泊用のブイを浮かべている浜を出ることができた。


 そこから巡航速度で周りを警戒しながら進んでいく。

 前にケリーの部下が発見したという影が浜から東北方向にあったようなので、一旦船をそちらに向け操船させている。

 そう、この船の操船をケリー達に徐々にだが任せているのだ。

 当然、レーダーの監視もケリー達の仕事だ。


 無線についてはフランのメイドのミーシャとドーラが交代して着くことになっているが現在ドーラがその当番にあたっている……しかし、フランが向こうにいるエルムたちと交信中だ。

 ドーラも加わってなんだか楽しそう。

 一応作戦中のはずなのだが、艦橋の雰囲気はちょっとした女子会のような空気が流れている。

 尤も無線周りだけで、流石騎士階級だけあって、騎士たちはいささかも気を許してはいない。

 頼もしい限りだ。


 船を出してから1時間ばかりが過ぎたころだろうか、相変わらず無線周りは楽しそうなのだが、その時にレーダーを監視していた一人が俺を呼ぶ。

 既に見つけたという島影はレーダー上にとらえているので、別件だろうが他の船でも見つけたかな。


 俺は呼ばれたレーダー操作盤のそばに近づく。


「守様。

 こちらにも影が出ましたが、どうにも小さいですが……」


「うむ、これは船かそれとも岩礁かな。

 どちらにしても、小さい方から調べようか」


 俺との会話を聞いていたケリーが俺に聞いて来る。


「進路変更ですか」


「ああ、進路変更、北西に」


 普通、取り舵何度とか表現するのだが、彼女たちは素人だった者たちばかりで、陸者たちの使う表現で言うようにしている。


 俺が、方向を示してから操舵手のそばまで行って、細かく指示を出す。


「速度そのまま」


 船は進路を変えるときに遠心力で少し横方向に振られたが、俺は別にどうということも無いが、フランたちがよろめいていた。


「どうしましたか、守様」


 よろめいたことで、一旦無線を終えたフランが俺に聞いて来る。


「どうも船らしき影を発見したので先にそちらを調べることにした」


 フランは俺の説明に興味を持ったのか、その後は無線機から離れて俺の横にいる。

 レーダーで捉えた影に向けて船を進めているが、きょりにしてまだ8kmくらいはある。

 時間して10数分あれば目的地には就けるが、どんなものかな。


 5分ほど過ぎたころから遠視カメラを使って調査を始めると横からケリーが声を上げた。


「大変!

 船がシーサーペントに襲われている」


「ケリー、あいつは強いのかな」


「ええ、あいつに襲われると危ないですね。

 魔法使いと騎士たちが協力すれば倒せるかどうか。

 一般的にですが追い払えれば御の字と言われております」


「守様。

 冒険者と言われるような者たちの中には倒すことができる強者のパーティーもいるようです」


「フラン様。

 それはAランクと言われるような稀な存在かと」


「倒せるのだな。

 強力な攻撃力があれば」


「ええ、確かに倒せることはできるようです。

 ギルドに素材などが出回りますが、とても高価でもありますが」


「どちらにしても、倒さないと襲われている船は持たないだろう」


「ええ、確かに」


「なら、この船で助けに入るか」


 方針を決めていると、遠視カメラを確認していた騎士が叫ぶ。


「守様。

 船は持たないかも」


「どうした」


「マストが折れました」


「なら、急ぐぞ」


 俺は操船を代わり速度を上げた。




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