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第42話 島の外周



 翌日は、誰も上陸させずに船で島を周回してみることにした。

 ケリー達を上陸させている間に周回しても良かったのだが、ケリーは何も言わなかったのだが、フランとエルムが反対してきた。


「今のこの状況で乗員を別けるのはいかがなものでしょうか」


 エルムが言うには、上陸組が不安になるということらしい。

 それに同調してフランも俺に話かけてきた。


「守様。

 ケリーは決して『不安』などと弱音は吐かないでしょうが、私が『不安』になりますので、お考えいただけないでしょうか」 と言うのだ。


 これはケリー以下の騎士たちの気持ちを代弁しているのだろう。

 ケリー達騎士階級の対面を重んじてフラン自身が『不安』と言ってきたが、流石に俺もまずかった。

 気持ちのことを考えていなかった。

 確かに効率だけを考えるならば二手に分かれる方がベストだ。

 作戦行動的にも表立って敵が確認されていない以上効率重視は常とう手段だが、あくまでこれはサポート部隊などがあっての心配が無い場合に限る。

 そうでない場合には上陸部隊は決死隊の覚悟を必要とするが、そこまで効率を重視したいわけではなかった。


「これは俺が悪かった。

 確かに基地も設営できていない状態でサポートなしではさすがにきつかったわ。

 全員で島を周回してから、次を考えよう」


 いつものごとく朝食を済ませた後で、船を動かした。

 ゆっくりと海上から島の様子を調べていくが、結構この島は人を拒む地形をしている。

 上陸できそうなところは先の浜の他には離れた場所に入り江が数カ所あるくらいで、島に拠点を置いても少ない人数でもかなり強固な要塞を維持できそうだ。

 後は島の中の様子だな。

 各入り江からドローンを飛ばして簡単に地形を調べていくと、結構時間を取られて元の浜に戻ってきたのはほとんど日没になってからだ。


 一応昨日停泊した場所にはブイを置いてきたので、その部位を目印に停泊した。

 何せ目の前には浜がある。

 水深など調べなければ座礁の恐れすらある場所だ。

 夕食には依然一度だけ出した和食となった。


 その後この後のことについて話し合った。

 とにかく、この島には人がいなさそうなので我々の拠点を置くことに決めた。

 フランが言うには、誰も居なければ建国を宣言しても何ら問題が無いそうだ。

 令和の世界だと、排他的なんたらがあり、人のいない島など沢山あるが、建国などとんでもないのだが、この世界では問題が無いらしい。

 まあ、この世界の通信事情ならば俺たちが住み着いても排除を決めるまでに簡単に数か月かかりそうだし、資源でもなければ自領をしつこく宣言してくる意味もなさそうだ。


 明日以降に、最初に上陸した場所にテントなどを使い基地を設営することにした。

 翌日朝から付近を偵察して基地の設営に適した場所を探す。

 浜から近くてなおかつ少し高台になっている場所がいい。

 理想を言わせてもらうと、飲料に困らないくらいの水の手があると理想だが、流石にそんなに都合の良い場所が……割とすぐに見つかった。


 マングローブの林の中に入るとすぐに崖に突き当たるが、その崖から水が湧いている。

 調べてみても何ら問題ないどころか売りに出しても良いくらいに美味しい水だった。

 となると、邪魔になるのがマングローブの林になるが、これは外からの目隠しにもなるので、湧き水のそばだけ数本の万グルーブを切り倒して、船に積んである大型のテントを数張り設置した。


 この船の本来の目的だった紛争地に運ぶ予定だったものだ。

 だからこそ、色々とおまけもついている。

 野宿するには問題ないくらいに快適な簡易ベッドの他に野戦病院用の機材諸々。

 それに何より通信手段として強力な無線機まである。

 

 テントや野戦ベッドの設置をケリー達に任せてエルムやフランの手伝いを貰い無線機の設置を行った。

 これで、ここと船とは多少の距離があっても通信ができる。

 後は、動力用として太陽光発電用のパネルの設置とエンジン駆動の発電機をせっつぃて基地の完成だ。

 ここから海に対してはマングローブの林があるので、外からは発見しにくくなっている。

 しかし、ここから海は林の邪魔はあるが全く見えない訳ではないので、問題ないだろう。


 そこまで準備をしていてもその日だけで設置は終わる。

 だが、食事事情のこともあるので、夕方には全員で船に引き上げる。


 ケリーが引揚中のボートで聞いてきた。


「あそこに誰も置かなくて大丈夫ですか?」


「ああ、見張りか。 

 でも、今まで誰も発見できた訳でもないので、問題ないだろう」


「ですが、魔物や野生の動物などが……」


「それもそうだな。

 考えないとまずいか。

 だが、今日は食事もあるし、みんなも体を動かしたのでシャワーも浴びたいだろう」


「……それは……」


 騎士とはいえ、そこは女性だ。

 それのあの暖かなシャワーの気持ちよさを経験したのならわかる反応だ。


「常駐とはいかないが、交代であそこに人は置きたいが、食事もまだ無理だから、当分は通いだな」


「ならベッドは……」


 ケリーの部下が俺に聞いて来る。


「ああ、夜も交代で人を置くことになるが、それも先の話だ」


 俺たちが話しているともう一人のケリーの部下が俺に聞いてきた。


「そういえば確認が取れておりませんのでお話ししませんでしたが……」


 なにやら言い難そうだ。


「なんだ、何でも自由に言ってくれ。

 その先の判断はその任に当たるものがするから」


「でしたら……」


 そこから報告が始まったが、俺たちが船で周回していた時に、ほんの一瞬だがレーダーに影のようなものを見つけたと言ってきた。

 勘違いかもしれないので次にチャンスがあったら確認しようとしていたとか。

「それなら、船に帰ったら教えてくれ。

 明日にでも確認に行こう」




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