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プレアデスの伝説 姫たちの建国物語  作者: のらしろ
第一章 プロローグ
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第4話 だれもいない船内



 急ぎ艦橋に飛び込むと、そこには……誰もいなかった。

 知っていたよ。

 さっきの『カミサマ』との会話が夢でなかったことを。

 しかし、だれもいないのに船は動いている。

 さすがにまずいと思い、船を止めるために操舵輪(そうだりん)そばの速度調節装置に急ぎ向かった。

 しかし、すぐに何かに躓いた。

 危うく転びそうになりながらも足元を確認すると、服が俺の足に絡まっている。

 足元の服を端に寄せながら何で服が落ちているのか理由を考えた。

 艦橋の床を見渡すと、服の山が6つほど。

 それも通常操船時に当直がいるあたりに服の山ができている。

 船長席には、椅子の上に服の山がある。


 ?

 ……これって、何?

 『生き物以外』……俺の乗っていた船から生き物だけを本当に除いて複製してきたとしか思えない……となると、この服は当直たちが着ていたものの複製か? ……!

 え、そうなると……俺は急ぎ服を丁寧に種分けする。

 やはりあった。

 あの生意気な操舵手はこんなエッチな下着を着ていたんだな。

 俺は誰もいないことを良いことに下着を手に取り鼻の前に持ってきて匂いをかいだ。

 クンクン、何も匂わない。

 そりゃそうだ。

 複製と言っていたことだしな。

 流石にあの『カミサマ』は匂いまで複製してくれない。

 チッ……使えない。

 余計なことに時間を取られたが、すぐに俺は船のスクリューを止めた。

 すぐに停船させるのならばスクリューを逆転させるなりの措置がいるのだが、少なくとも見渡す限り何もない海域だ。

 これで問題はあるまい。

 次に、レーダーの前に行って周りの状況を確認する。

 当然、レーダーの前にも服の山がある。

 当分はこれらを片してからだな。


 レーダー上はきれいなもので、何も映っていない。

 あの『カミサマ』が俺によこしたという大型船の影すらない。

 そういえば、この船横須賀までの燃料しか積んでいなかったはずで、もうじき横須賀に到着するところまで来ていたはずだ。

 俺は慌てて燃料関係の確認を行った。


 大丈夫だ。

 原理はわからないが燃料は問題なさそうだが、これがいつまで続くのか不安は大きい。

 そういえばあの長たらしい要領を得ない説明の中で補給については気にしなくともよいと言っていたようだが、それって食料についてもなのかな。


 この辺は後でゆっくりと確認はしておこう。


 まだ船は惰性で動いてはいるが、一応動力を止めてあるので操船を気にせずに付近を双眼鏡で確認する。


 レーダーにも映っていないのだ。

 確認するまでもなく、何もない。

 あるのは眼下に広がる大海原だ。

 よかった、本当に身一つでここに落とされなくて。

 あの時の俺の回答に感謝しよう。

 あの時の問答に間違いがあればと思うとぞっとする。

 この大海原に身一つで放り出されていただろう。

 そうなればそうなれば間違いなく死んでいた。

 いや、これまでのいきさつから生きるのを放棄していただろう。

 簡単に心が折れる。

 グジョブ!


 少し考えてから、まずは船内の服を片付けることから始めた。

 とにかく何をしたらよいか全く思い浮かばない。

 できることをしながら心を落ち着かせることから始めよう。


 結局2時間ばかり船内を見回り、とりあえず乗員全員と思われるくらいの服を回収し終えた。

 さすがに異世界だと思われる以上、捨てる選択肢はないが、女性ものだけあって使える気がしない。

 男性物もあるにはあるが。正直使いたくないし、使えない。

 あいつらとは住んでいる世界が違いすぎた。


 疲れたので艦橋に近い海図室のソファーで横になる。

 さすがに俺一人しかいない船内で、何があるのかわからない状態で艦橋からは離れたくはない。

 寝るつもりはなかったのだが、横になったとたんに寝てしまったようだ。


 また、夢を見る。

 今度は別の神様が現れてきたようで、しきりに詫びを入れられた。

 その後、俺が気にしている補給について、今度はきちんと説明された。


 燃料や、消耗品、それに食料などについてはこの世界に充満している魔素を勝手に取り込み補充されるので、それをチートの代わりにしてほしいと謝られた。

 この神様は、たぶん最初にあった『カミサマ』の部下になるのか、上司の後始末に追われているようだ。

 お互い上司運に恵まれていない同士仲良くできそうだったので、俺が置かれている現状についてはあきらめている。

 それでも当面の方針として付近を捜索して本来俺に与えられるはずの船を探してほしいと言われた。

 その際にイベントも発生するだろうが、好きにしていいとも言われた。

 この神様、ついにイベント呼ばわりし始めたよ。

 そんなこんなで、最初に説明された時よりも有意義な時間を夢の中で過ごして俺は目を覚ます。


 昼過ぎ、船内時計は15時を示しているから、俺は何も食べずに3時間ばかり寝てしまったようだ。

 一度艦橋に戻りレーダーを確認して何も無いことを確認してから一度食事のために食堂に向かう。

 優秀な筈のこの船のレーダー上にはやはり何も捉えられていない。


 まずは腹ごしらえだ。

 食堂ではテーブルの上に食いかけの料理が皿ごと並んでいるが、とりあえず見なかったことにして、配給台の前に行き、俺の分の昼食を選んで食べた。

 10分とかからずに早食いして、すぐに艦橋に戻る。

 もともと食うのは早かったのだが、だれとも話すこともないし、何よりボッチ飯は悲しい……もとい、艦橋に誰もいないことが不安だったので、すぐに艦橋に戻った。


 戻るとすぐにレーダーを確認する。

 次に海図室にある航海用電子海図を確認するも役に立たず、エラー表示のみあるだけだ。


 『さてさて、どうするべきかな』

 俺の乗っている船は海上警備庁の最新型巡視船とほぼ同じ作りで、装備については最新のものばかりだ。

 武器についてだけ海上警備が目的ではなく、はっきり言うと戦闘を目的にしている以上強化されているが、いわゆる迎撃用の自動機関銃や自動装てんの主砲、それにヘリコプターが後部格納庫にはある……が、果たして俺に使えるのかな?


 まあ、操船については省力化の権化でAIでも問題なく操船できるシステムになっている。

 今乗っているこの船はそれを完璧に複製されていると信じて操船システムに命令を入力していく。


 現時点かららせんを描くように付近を哨戒していくことにした。

 とにかく海図もない海域で、幸いなことに付近には島影一つないので俺は海上の三角波だけを注意しながら船を動かすことにする。

 一応船内のセンサーを使って水深を図るが50m以上あるので、少なくとも当分は座礁に心配はなさそうだ。





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