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第38話 謎の島影


 

 ここでの昼食は簡単なものでパンといくつかの副菜にスープ、副菜もなぜかから揚げが多くあるので、冷凍のサラダを出すように伝えてはある。

 本当に補給に心配のないことがどれほどありがたいことか。

 同じ副菜ばかりを消費していてもなくならない……これってある意味呪いでは。

 そろそろメニューについてもこちらから指示を出そうかとも思っている。

 だから想像がつくかもしれないが、連中が食事中では話し合にならない。

 尤もほとんど全員が早食いのために、俺もそれほど待つことなく目的の話し合いができる。


「そろそろいいかな」


「はい、今皆様にお茶のお代わりをお持ちします」


「ミーシャが俺に呼び掛けに答えてお茶の準備を始める」


 もう話し合いの前のルーチンになっている。

 俺はさっそくみんなに話しかける。


「先ほど艦橋のレーダーで影を見つけた」


「また船ですか?」


「いや、影の大きさから見ても陸のようだが、まだよくわからない。

 前のような岩礁なのか、はたまた陸地なのか。

 陸だとしても、島というのも考えられる」


「それどういう」


「こちらからでは陰でしか見えないので、陰に隠れたその先はわからない。

 地続きだとも考えられるが、一部しか見えていないので島だという線もある」


「それでは……」


「ああ、確かめるつもりだ。

 なので、何が起こるか分からないので、この後の訓練や作業は中止してくれ」


「はい、で、私たちは……」


 騎士たちを取りまとめているケリーが俺に聞いてくる。


「皆は艦橋隣の海図室に集まってほしい。

 あそこならば情報も簡単に共有できるし何より集まっていた方がいろいろと楽だ」


 昼食をとってから、さらに話し合いをしても1時間もかからない。

 まあ、先ほどのことが話し合いと言えるものかは置いておくとして。

 十分な食後の休憩後に海図室に集まってほしいとだけ伝えて俺は艦橋に戻る。

 俺の後からエルムとフランがついてきた。


「二人ともゆっくりと休憩でもしていてよかったのに」


「いえ、守様が仕事をするのにそんなことはできません」


「仕事?

 まあ、そう言えなくもないが、仕事と呼べるものでもないぞ」


 俺は艦橋に入るとすぐに艦長席に着く。

 前にも一度使ったことがあるが、ここからならばCICを使わずとも武器が使用できる。

 尤も使用できる武器と言っても、機関銃程度だがそれでもこの世界ではかなりのアドバンテージがあるのは実証済だ。

 そこで、今度は何が使えるかの検討を始める。


「守様。

 何を始めたのでしょうか」


「ああ、この船に積んでいる武器の確認だな。

 これから向かう場所は、多分陸地だ。

 そうなると、そこを守る砲台もあるだろうし、それもかなり強力な奴だろう。

 何せ、この辺りもかなり物騒なのだろう」


「ええ、そうですね。

 どこになるかは知りませんが、私の国では、少なくとも港を守る砲台はありました。

 話ではかなり強力な防御力がどうとかと聞かされておりましたが、役に立たないこともあるのですね」


「ああ、フランの話を聞く限りだが、守る方向の違いかな。

 海からでなく街道筋から攻められたのだろう」


「ええ、私は守様にそこまで詳しくお話をしましたっけ」


「いや、今の話も含めて、想像だな……いや、軍人としての判断か。

 守っていない方面からの攻撃では、どこも簡単に落とされるものだ。

 今回はかなり巧妙に仕組まれたのだろう。

 フランには耳の痛い話かもしれないが、敵に通じているのも相当数いたはずだ」


「ええ、それは私も感じておりました。

 まあ、今となってはですがね。

 それよりも、守様はその守りの砲台に対して攻撃をするおつもりなのですか」


「いや、逆だ。

 その砲台からの攻撃を防ぐための武器の確認だ」


「そんなものがあるのですか」


「ああ、前にフランたちが乗っていた船のマストを折っただろう」


「ええ、それは守様の魔法ではなくて」


「いや、ここから武器を使っただけだ」


「まあ、あんなに距離があるのに正確に狙いを付けられるものですか」


「ああ、この船は凄いぞ。

 流石『カミサマ』が俺にもったいぶってくれただけはある」


「ああ、この船も神船なのですね」


「なんかちょっと違う気もするが、とにかくものすごい能力を秘めている。

 この船一つで、下手をすると帝国だっけか、その国の海軍を壊滅できるだけの力を持っている。

 尤もそれを使いこなす人が足りないが」


「では、その神力を今回もお使いになるので」


「いやいや、だから、使わずとも済めばいいが、とにかく攻撃されたら防ぐだけの準備をしているだけだ」


 俺はそう言って、作業を続けた。

 まあ、この世界ではこの船に対しても青銅で出来た大砲からの攻撃になりそうだな。

 弾については鋼鉄は無いだろうが、鉄か青銅だとしても、その弾も精々砲丸投げの3倍程度だとして考えてもこの船に装備してあるゴールキーパーの打ちだす弾は30mmもあるのだ。


 ちょっと弱いかな。

 だが、使わないことはない……と言っても常に作動させているのだが。

 当然オートマチック状態だ。


 これならば勝手にゴールキーパーが判断してこちらに向かってくる弾に対して攻撃をしてくれるが、多分大丈夫かとは思うが、他に無いかと探したら、なんとあの有名なアイアンドームの改良型なんてあった。

 これを使うのに人を乗せるために日本に向かっていたようだ。

 地対空の兵器を今回無理やり船に積み込んでいるので、その実証実験も兼ねているというかそれしかないようだ。

 ひょっとしなくとも元の世界で俺たちが派遣されたのって、新たな武器開発の一環だったのでは。


 正直、ちょっと引いてしまった。

 俺は人のためになる仕事として選んだはずが、違う方向にどんどん流れて行っていたようだ。

 救いは防御兵器開発だったことと、その開発そのものに手を貸す寸前にこの世界に映ってきたことか。


 『カミサマ』の言う通り動くのには少し抵抗もあるが、少なくともこの世界の普通の人のためにあることなのだろう。

 うん、俺の描いた未来に近い。

 今はそう信じるしかない。




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