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プレアデスの伝説 姫たちの建国物語  作者: のらしろ
第二章 軍団の誕生
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第14話 海中の救出劇



 一旦ボートを止めて、先ほどまで使っていたロープを拾い、もう一度使う。

 今助けているのは騎士というよりも華奢な体つきからミーシャと同じ使用人の類と思われる。


 素早くロープを手繰り彼女もボートに引き上げ、周りを探す。

 ずいぶん慌てたので、一度冷静に助けた人も確認すると、ボート上には俺の他にはミーシャと最初に助けた騎士、それに今俺が引き上げた女性の3人で、最初に助けた騎士が手繰った先には騎士と思われる女性がボートに近づいてきている。


 最初に船から海に飛び込んだのが確か5人。

 あれ、あと一人いるはずなのだが、俺は慌てて周りを探す。


 すぐに一人完全におぼれて海中に没しようとしている人を見つけた。


 ヤバイ。


 俺はロープの端をボートのフックに取り付け、そのロープをもって、海に飛び込んだ。

 当然ライフガードチューブという棒状の浮き具を抱えて泳ぎ沈みかけている女性に括り付けロープをつないだ。

 これで一安心だ。


 繋いだロープが急に引っ張られるので俺はボートを見ると、助けた女性たちが協力してロープを引っ張っている。


 助かった。

 後は姫たちの方に向かった人たちがどうなったかだが、そうそう簡単にはこのチュートリアルは終わらせてはくれなさそうだ。


 そうこうしているうちに俺たちが船上にいる海賊たちに見つかった。

 船のマストが二つも折られて大騒ぎになっているので、海賊全員の相手をするわけではないがそれでも俺たちに向け何かを投げてくるものがいる。

 流石に危ないので、一旦ボートを動かして、敵からの攻撃を避けながら姫たちを待つ。


 この辺りに飛び込んだわけでもなさそうなので、俺は一度端末を確認すると、姫を連れて中央付近にまでくることには成功したようだが、海賊たちと一部戦闘になっているような感じだ。


 俺がドローンの端末で見守る中、姫と騎士数名が飛び込むのを確認した。

 彼女たちが飛び込んだのが船中央付近からで、今俺たちがいる場所からはかなり離れている。

 急ぎその位置までボートで向かう。


 ボートを操縦していると、ミーシャの悲鳴が聞こえた。


「どうした?」


「騎士様が斬られて海に落ちました」


「海に落ちたんだよな」


 俺はミーシャに確認した。

 斬られて船に取り残されたのならば助けようがないが、海に落ちたのならばまだ可能性はある。

 斬られたとミーシャが言っているから、問題は傷の深さだ。

 臓器にまで達していなければ俺でも手当はできる。

 まずは飛び込んだ先まで急ぎ向かうしかない。


 現場に着くと、辺りに血が浮いている。

 これは急がないとサメが寄ってきそうだ。


 幸い今までに助けた女性たちが手分けして仲間を救助している。

 俺は先ほど使った棒状の浮き具を持ってもう一度海に飛び込む。


 斬られた騎士はすぐに見つかったので、そこまで泳ぎ彼女を助ける。

 急ぎ止血だけでもしたいのだが、とにかくボートに引き上げないとそれもできない。

 俺が気を失っている女性にロープを巻き付けると、ミーシャが声をかけてきた。


「ああ、引っ張ってくれ。

 すぐにボートに上げたい」


 ボートにいる女性たちのうち手すきの人たちが協力してロープを引っ張ってくれる。

 そうしている間にも海賊たちは攻撃してくる

 どうにか、最後の一人、気を失い出血している女性をボートに引き上げ終わるころには、海賊の船長が銃を持ってこちらを狙っているのが見えた。


 すぐにでも止血の処理をしたかったのだが、それも許されない。

 俺は一旦、ボートを今度は全速で動かし、海賊船から離れる。


 俺の船と海賊船との中間の位置まで来たら、俺はボートの操縦をミーシャに頼んだ。

 と言っても今持っている舵をそのままの状態でもっていてもらうだけだが。


「ミーシャ、悪いがここを俺と代わってくれ」


「え、守様。

 私……どうすれば……」


「ああ、今俺がしているように、このレバーを持っていてくれればいい。

 ただし動かさないでほしい」


「わかりました」


 ボートの舵をミーシャに任せてやっと俺が動ける。

 そうして、俺は傷ついた彼女の治療を始める。


 俺の着ている軍服には米国海兵隊採用の応急キットが内ポケットに入っている。

 まさかこれを使う羽目になるとは思っていなかったが、使い方だけはレクチャーを受けていた。

 流石アメリカだけあって、防衛隊の持つ応急セットとは比べるべくもなく、また海上警備庁や警察とは比べるべくもない。


 何せ日本の官憲に至っては応急処置用の物を常備携帯などしていない。

 俺たちが所属していたのは民間の軍事会社だが、中身は海軍諜報部傘下の企業なので、とにかく人命に関するところはとにかくシビアだ。


 人命に関する物の多くが、アメリカで一番経験の豊富な海兵隊に準拠して用意されていた。

 当然それらもコピーしてくれていたので、その応急セットを使い治療を始める。


 彼女からは血がまだ出ている。

 俺は急ぎ彼女が着ている服をセットにあるはさみで切り割き、まずは着ている服を脱がし傷口を確認する。


 20cmくらい刃物で切られたような傷があるが、傷は幸い深くに達していない。

 筋肉に一部達してはいるが、ほとんどは皮膚と皮下脂肪の間で止まっており、傷の大きさからは出血は少ない。


 消毒液を傷口に振りかけて、キット内の止血テープをこれでもかというくらいに張り付けた。

 これでどうにか血は止まるようだ。


 それを見届けると、今度は急ぎ船に戻るためにミーシャとボートの操縦を代わった。

 ボートのエンジンを最大まで吹かしているが、流石に俺を含めると13名が乗っているので、定員を3名もオーバーしているから、思ったほどは速度が出ていない。


 まあ、風も吹いていないし、何より海賊船のマストが二本とも使用不能なので、海賊たちは俺たちのことを追うことができない。


 負傷者がいなければこの段階でチュートリアルのミッションは終わるのだが、治療というミッションが増えたのでまだ終わらない。


 俺の船に戻ると、これまた問題がって言っても、定員オーバーなために舵の効きが悪く、うまく船に接舷ができない。

 これが荒れた海ならばほとんど絶望的だと思えるのだが、幸いなことにまだ海は穏やかだ。

 海賊に追われることが無いが、負傷者の治療を急ぎたいので、俺は半ばぶつけるようにして船に接舷させた。

 かなりショックがあったが、誰もボートから落ちることなく接舷に成功させたようだ。





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