第119話 聖女の捜索
「守様。
ソフィアの言う聖女様ですが、どうも私の祖国にいるという話ですが」
「ああ、まずは難民として逃げてきた者を調べないとな。
『隗より始めよ』ではないけど……あれ違うかな」
「守様、それはなんですか」
「ああ、俺の国に伝わる故事だな。
大きなことでも身近から初めてみをたらという感じかな。
少し違うような気もするけど、要は、ここにも難民を引き受けていただろう。
まずはその人達を調査してみようか。
で、その聖女様の名前などの探すためのヒントは有るのかな」
「いえ、使徒様。
神託ではそこまでは……ですが、聖女様にも神託はおりておりますので、自分ではわかっているかと。
守様が使徒様であることはわかれば自分から名乗り出てくるのでは」
「そんなところか。
でも、聖女の噂位は聞いてみてもいいかな」
「はい、そうですね」
「なら、フランに任せるけど、ソフィアとよんでもいいかな」
「はい、ぜひそのようにお呼びください」
「なら、ソフィアもフランに協力して調査に当たってほしい」
一応、最初の一歩は始まったと言う感じかな。
俺はケリーと話し合うために、フェリーから出て巡視艇に向かった。
早速、翌日から人種のプレアデスの姫、この人だけは特別に聖女様と呼ばれているようだが、その聖女様を探し始める
まずは、フランたちが二の浜に出向き、住民たちに聖女様の噂を聞き取りを始めた。
俺はと言うと、フランの亡命政府の有る植民都市について訪問計画を立てる。
巡視艇で向かえばそれこそ数日、下手をすると翌日には目的地に着けるかもしれないが……。
話し合いの結果、まずは正確な位置を調べるために、巡視艇からオスプレイを引き出して、オスプレイの航続距離の範囲で調べてみることにした。
早速、植民都市が有るという方向へ向かってみることにした。
ケリーを含め、騎士数名が同行することになり、彼女らの準備を待ってから飛び立った。
昼前に出発したので、フェリーから弁当とお茶を、売店から持ち出しての飛行だ。
これはさすがにケリーたちに任せるには俺の方が心配でできそうにはないが、俺が弁当を食べる時間くらいはコパイロット席にケリーを座らせて、レーダーの監視を頼んだ。
それ以外の騎士たちには、海上を肉眼で監視を頼んでいるが、天気も良かったので、かなり遠くまで見通せるが、なかなか見つからないものだ。
今まで色々とこの世界の人たちから付近の海についての情報を得ていたが、ここって内海のはずなのに、それでも対岸が見つかりそうにない。
黒海どころか地中海くらいの大きさを考えておくほうが良さそうだ。
とにかく南方に2時間飛んでは見たものの、薄っすらと大陸のようなものが確認できたくらいだったので、とりあえず今回はこれで戻ることにした。
11時に一の浜に停泊中の巡視艇から飛び立ち、それから4時間かけて戻ってきたので、明るい内に一の浜に戻ってきた。
オスプレイを巡視艇の格納庫にしまってからフェリーに戻るとフランたちが先に二ノ浜から戻ってきていた。
直ぐに、今日の成果について報告を受ける。
「守様。 少なくとも、この島には聖女様はおりませんでした」
「噂も聞いたのですが、それらしいことは……」
「そうか、簡単にはいきそうにないか。
こっちも同様だな。
フランの祖国が亡命政府を作っている植民地は見つけられなかった。
ここからでもかなり遠くにありそうだな」
「ええ、船で一月はかかると聞いておりましたので、ここからでも少なくとも2週間はかかるでしょうね」
「となると、フランの祖国は反対の方向にそれくらいの距離なのかな?」
「どうでしょうか……ケリーあなたはどう思いますか?」
「はい、フラン様、守様。
私は騎士でしたので、船には詳しくはありませんが、私の感覚では逃げ出して数日で捕まったことを考えますと、祖国のほうが、植民都市よりは近くに思います」
貴重な情報を得た。
そもそも、なんで今まで聞かなかったのか、俺の間抜けさを呪いたい。
フランの祖国って、現在占領下に有るのだろう。
ということは敵性の可能性がある船がここに近づかないとも限らない……あ、そういえば海龍だっけか、魔物がいるので、このあたりには近づかないと聞いたな。
……だからか、だから危険性を一切考えなかったんだ。
それよりも島に住む魔物の方を恐れて調べてきたんだ。
まあ、その御蔭で、天使族とも出会えたわけだから、悪かったとは思わないが、それでもフランの祖国の調査もしておくほうが良いだろうな。
「主任侍祭様はなんと言っていたか、聞いた?」
「ソフィアさんですか、彼女は何も」
そういえば昨日名前を聞いたばかりだったか。
なんでも、聖女様の従者だとかで、立場的にフランと同じだったか。
そうなると、俺もそうよばないとまずいな。
「で、これからだけど……一度フランの兄を尋ねる必要があると考えるが」
「ええ、そうですね。
あちらも調べませんと。
それに今回の襲撃の原因ですか、教国が帝国の計略に軽々しく乗った原因も聖女様を巡る件でしょうから、そのあたりを伝えておきませんと」
「ああ、向こうにその情報を渡して、聖女様を保護してもらうように依頼かな。
でないと、仮に聖女様を見つけても……簡単には教国には引き渡したりはしないかとは思うが、祖国と交換ともなればわからないな」
「そ、それだけは!」
俺達の会話を聞いていたのか、後から入ってきたソフィアが大声て叫んでいた。
まあ、『神様』だか『カミサマ』だかの神託を受けた身には、そんなことは許されないだろうな。
『神様』は、話せば状況を理解してもらえそうだが……あの『カミサマ』は無理だ。
あの『カミサマ』は人の話を聞いた試しがない。
どちらにしても、フランの祖国についても調べる必要はあるな。
明日は、そっちも調べてみるか。




