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プレアデスの伝説 姫たちの建国物語  作者: のらしろ
第六章 新たな仲間
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第115話 女性の涙と急ぎの帰還





 士官食堂から出て、俺と騎士の二人はそのまま後部デッキにつながる格納庫に向かった。


 この格納庫には、常時二機のヘリが保管されている。

 一機が攻撃ヘリで、もう一機が兵士輸送用のオスプレイだ。

 この船のコピー元になった船は日本の海上警備庁の大型巡視艇が元になったものだが、それはあくまで船の運用面だけの話で、武装面ではアメリカで艤装されている。

 そのために、とにかく物騒な作りになっており、まさにそれはアメリカ海兵隊仕様となっている。

 なので、オスプレイを積んではいるが、これも攻撃ヘリ同様に試作機で海兵隊の研究用になっていたとか。


 もともと攻撃ヘリなどの運用は陸軍で行い、海兵隊では持っていなかったそうだが、そこは民間軍事会社だということで、とにかく詰め込めるだけの武装を積んでいたから、オスプレイも、海兵隊仕様より二回りも小型になっている。


 久しぶりに、格納庫からヘリを出してと。

 今回は二人なので軽い攻撃ヘリを出したが、これって重武装なので思ったほどには軽くない。


 実際に、お隣に止めてあるオスプレイとそれほど重量の差はなかった。

 乗せることができる乗員数では圧倒的にオスプレイの方が優れてはいるが、武装面で、ほとんど積んでいないので、それほど重量がかさんでいない。


 武装って本当に重いものだな。


 でも、俺と二人での探索にオスプレイを出すまでもないというか、貧乏性なためどうしても乗員数で適当な方を選んでしまうのは仕方がない。


 すぐにヘリを飛ばして、他の遭難者を探してみる。

 船のレーダーからは他に船は見つけていないこともあり、海上に人が浮かんでもない限り20km周辺にはいないだろう。

 もし、他に人がいれば、少なくとも救助した人たちが同じボートにでも引き上げているだろうから、海に浮かんでいることは考えにくいがそれでも高度を落として探してみた。


 20kmの飛行なんてあっという間だ。

 重点的に探す理由も考えにくいこともあり、一旦高度を取ってさらに先に進んでみたが、目視でもレーダーでも何も見つけることはできなかった。


「守様、どうしますか?」


「まあ、予想はしていたが、何も見つけられなければ戻るしかないだろう」


 俺はヘリを巡視艇に戻して、もう一度士官食堂に向かった。

 救助した人のうち3人の意識が戻っていたようだ。

 意識の戻った女性の一人が俺に話しかけてきた。


「あなたは……?」


「この方が、大魔導士で使徒の守様です。

 プレアデスの姫の旦那様でもあります」


 俺が答えるよりも先にミーシャがどや顔で答えているが……その回答って、どうなん?

 この後色々とめんどくさいことにならないかな~。


「あなた様が……使徒様であらせられるのでしょうか。 

 どうしましょう……。

 あ、これは失礼しました」


 彼女はそういうと、慌ててベッドから降りようとしていた。

 点滴の方は、さすがに俺が措置してからは二時間以上の時間がたっており、とっくに注射針事外されていたけど、まだ本調子でないのか、よたよたして見た目に危ない。


 俺が慌てて彼女を抱きかかえて、もう一度ベッドに座らせる。


「大げさにしないでくれ。

 うちの連中は俺のことを色々と持ち上げるから、とにかく大げさになって仕方がない。

 それより、そのままで話を聞かせてくれ」


「ですが……」


 相手もなかなか俺の言うことを理解してはくれそうにないので、俺は勝手にどんどん話を進める。


「それよりも、なんで漂流していたのか教えてほしい」


「漂流……?」


 漂流という言葉が通じていないようなので、俺は詳しく助けた時の状態を説明してからその理由を聞いてみた。


「はい、私は教国で主任侍祭でした。

 ですが今の教国のあり様について枢機卿を諌めたところ他国への巡礼をいきなり命じられ船での移動中に気がついたときにはあの小さな船の中にいましたが、理由についてはなんとなく理解はしております」


「政争に巻き込まれて負けたというわけか。

 あ、宗教組織だと政争とか言わないかな」


「いえ、使徒様。

 使徒様の言われる通り、私は教会内で枢機卿に負けたのでしょうね。

 しかし、邪魔な私を……」


 彼女はそこまで言うと泣き出してしまった。

 これ以上、話も聞けそうにないし、何より俺が泣かせたような気がしていたたまれなくなったので、俺は逃げるように士官食堂から離れて艦橋に向かう。


 艦橋で、ケリーに戻ったことを報告後に、状況を聞いてみた。


「守様が離れてからは、何も発見はありません。

 また、船も順調に一の浜に向けて巡航で操船しております」


「そうか、だがまだ助けた者たちも体調が万全でもなさそうなので、ここは少し急ごうか」


 俺はそう言うと、船を巡航速度から戦闘速度まで加速するよう指示を出す。

 戦闘速度は最大速度までは行かないが省エネの巡航速度よりは3割近く早くなる。

 でも燃費がとんでもなく悪い。

 巡航時に比べ5割も悪くなるので、必要でない限りはまず出さない速度だ。

 ちなみに、これ以上の最高速度ともなるとそう出せる場面ではなく、燃費もそうだがそれ以上に寿命というかエンジン負荷がとんでもないので、出せる時間に制限が設定されている。


 でも、今の俺たちに燃費って関係あるのかな。

 まあ、でもこの船もあのカミサマがコピーしたものだから、そのあたりの制限?も守っておく方が安全なのだろう。


 でもあれだ、戦闘速度を出して帰還しているのは、決して女性を泣かせて面倒なので、早く帰りたいわけではないが……そんな気持ちも少しはあります。


 あれって、俺が泣かせたんだよな。


 しかし何だな、この世界でも政争は盛んなんだな。

 戦争もあちこちで起きているのに忙しいものだ。

 まあ、人間がいれば、組織があれば政争も起こるか。

 それも負ければ命まで取られそうな物騒な政争が……俺も、命まで直接取られたわけではないが、あれも同じか。


 俺達は急いだこともあり、日が沈む前には一の浜に到着して、フェリーに巡視艇を横づけしてから、救助した5人をフェリーに移した。


 流石に俺が士官食堂から逃げてから3時間過ぎていたこともあり、救助した全員に意識は戻っており、歩けるくらいまでは体調の方も回復していた。


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