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プレアデスの伝説 姫たちの建国物語  作者: のらしろ
第五章 プレアデス領国
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第108話 三人目の姫



 使節団は数日、この二ノ浜と、いずれ表玄関となる一ノ浜に滞在し、その後、帆船で帰途につくことになった。

 その話し合いの中で、もう一つの議題が持ち上がる。

 獣人国にいる難民のうち、一部の、他の獣人たちと馴染めない者たちをこちらで引き取れないか、という相談だった。


「難民先で馴染めない、というのはどういうことだ? こっちで引き取ったところで、問題は解決しないんじゃないのか?」


 俺が素朴な疑問を口にすると、ライオンの宰相が重々しく口を開いた。

 どうやら、種族的な問題が絡んでいるらしい。

 獣人国は、人族に故郷を蹂躙された者たちが寄り集まってできた国だ。そのため、国民の中には、未だに人族に対して強い含みを持つ者が少なくないのだという。


「……なるほど。しかし、姫君の受け入れ先が、人族である俺なんだが。それは問題ないのか?」


「ございません!」


 俺の問いは、宰相によってきっぱりと否定された。

 政府上層部や、国の中枢にいる者たちに、そのような感情を持つ者は一人もいない。

 問題なのは、後から流れ着いた一部の者たちだけで、政府としても頭を悩ませている案件なのだとか。


 隣に座るフランやダーナも、すでに向こうで人族の代表として扱われている。その二人が問題ないと判断しているのだ。俺がこれ以上口を出すことでもないだろう。


「わかった。その件は、君たちに任せる」


 俺がそう言うと、ダーナが頷いた。


「では、数日後に使節団の方々をお送りする際に、私の部下を何名か同行させ、具体的な調整に入らせます」


 そこまで決まれば、もう難しい話は終わりだ。

 場の空気は一気に和らぎ、あとはいつもの、ここに集まる者たちと変わらない、ただの宴会へと姿を変えていく。

 ライオンの宰相が、ドワーフたちに勧められるがままに冷えたビールを呷り、至福の表情を浮かべている。


 姫たちも、珍しい料理の数々に目を輝かせている。

 やれやれ、また面倒事が増えた。

 そう思いながらも、この賑やかな光景は、決して悪いものではない。


 俺はグラスに残っていた酒をあおり、これから始まるであろう、騒がしくも新しい日常に、覚悟を決めるのだった。


 翌朝から、忙しくなる。

 俺は一の浜に居る者たちを集めて、すぐに三人目のプレアデスの姫を娶ることを発表して、夕方この場に皆を集めてそれを宣言するとともに、初めて国を上げてのお祭りとすることを伝え、協力を仰いだ。


 集まったみなは、俺の意を汲んでくれ、その場で賛意を示してくれ、そこナタ夕方居向けての準備を始める

 ある者たちは、すでに三箇所となった居住地の一の浜を除く場所にそれぞれl出向き、夕方のお祭りを伝え、皆を集めに行く。

 また、残った全員で会場作りだ。


 俺はフェリーの倉庫から酒などを運び、また、食堂にある食べ物をとにかくたくさん用意しては外のに運び出してもらった。


 そしていよいよ日は水平線の向こうに沈み、あたりが徐々に暗くなる。

 夕暮れの紅さが海面に反射し、まるで絵画のように美しかった。

 その日の夜には、すでに準備が整い、沿岸の広場は灯籠と花々で飾られていた。

 人々は次第に集まり始め、会話の声や笑い声が空気に溶け合う。


「姫君の到着を祝してのパーティーですよ」


 フランが俺に近づき、その口調には少しだけ緊張が混ざっていた。

 彼女は、この場を主催する側としての責任を果たさなければならない。

 会場の集まった観衆から歓声があたり一面にこだまする。

 俺はというと、俺は苦笑いしながら待つしかない。

 ただ、フランには今浮かんだ懸念を伝える。


「ただ、あまり騒ぎすぎると、後の難民問題に影響が出るかもしれないな。」


 だがその言葉は、フランが笑って切り捨てた。


「そんなこと言ってたら、いつまで経っても前に進めなですよ。ここは、今この瞬間を楽しみましょう」


 彼女の熱意に押され、俺も「そうね」と呟くしかなかった。

 その時、遠くから鐘の音が聞こえてきた。それは、姫たちが会場に到着したことを告げる合図だった。


 「来た!」


 ダーナの声が高らかに響き渡る。彼女の指揮のもと、人々は一斉に広場へ集まり始めた。その中心には、サーシャとアリエルが立っていた。

 二人の後ろには、新しい姫であるプレアデスの三番目の姫が現れた。

 その姫は、まだ若いが、凛とした表情と気品ある態度で周囲を圧倒していた。彼女の身に纏う衣装は、プレアデスの伝統的な色合いを使い、そして新たな象徴としてのデザインが施されていた。


「これより、プレアデスの三番目の姫として就任いたします!」


 その言葉を発したのは、彼女自身だった。

 一ノ浜で行われた正式な式典とは異なり、二の浜でのこの儀礼は、より親しみやすい雰囲気の中で行われていた。参加者たちも、普段の生活に近いものを感じながら、新たな姫を歓迎していた。


「おめでとうございます!」


 フランが喜びの声を上げる。その彼女は、新しい姫と手を取り合い、微笑み合っていた。

 一方で、ライオンの宰相は、この儀礼に参加しながらも、何か別のことを考えているように見えた。彼は、俺に向かって低く呟いた。「少々、難しい話があるかもしれないな」

 その言葉に、俺は不気味な予感を感じた。

 しかし、そんな不安を拭い去るように、パーティーが始まった。


「さあ、皆で楽しもう!」


 ダーナの元気な声に続き、人々が楽しく酒を飲み、食事をし始めている。


「この場は、姫君と私たちの新たな出発点です」


 フランがそう語った。彼女の言葉に、参加者たちは心をひとつにして、その未来に向けて希望を抱く。

 一方で、新しい姫もまた、この場での経験を通じて、自分の役割を感じていたようだ。彼女は、参加者たちと楽しく交流し、新たな関係性の芽を生み出しているように見えた。


「こうして、私たちは始まったのです」


 新しい姫がそう呟くと、その言葉に応えるように、会場全体が一斉に拍手を送った。

 夜は更け、星空が広がる中で、人々の笑い声と歓声が響き渡った。

 この時、俺は心の中で一つの決意を固めた。


「これから始まるのは、本当に新しい日々だな。」


 そして、その未来に向けて、俺もまた、新たな覚悟を持ち、歩みを進めていくことにした。


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