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プレアデスの伝説 姫たちの建国物語  作者: のらしろ
第五章 プレアデス領国
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第100話 せっかく付けた地名の評判

 

「使徒様。

 こんなところにいたのですね」


 使徒様は勘弁してほしくて、使わないよう周りに言っていたが、さすがに末端までは伝わらないか。


「どうした?

 俺に何か用か」


「いえ、あちらでは使徒様がいなくなったと騒いでおりましたので。

 こちらに来るようなら連絡してほしいと」


「それは悪かったな。

 当分ここで作業を見ようかと思っているので、二ノ浜にいる連中に伝えてくれないか」


「二ノ浜?

 何ですそれは」


「ああ、悪かった。

 昨日話し合いで、俺たちの拠点に名前を付けることが決まり、最初に上陸したここを一の浜。

 それで、二番目だから二ノ浜と命名してある」


「一の浜……ここが一の浜になるのですね」


 俺に聞いてきたそのものは、拠点の名前を聞いて何か微妙な顔をしていた。

 俺が理由を聞こうとしたら、そいつは「では二ノ浜でしたっけ、あちらに使徒様がこちらに来ておりますと返事を返しておきます」


 そう言ってこの場から去っていった。


 何だったのだろう……俺がそう思いながら作業の監督していたもの方に顔を向けると、そいつも微妙な顔をしていた。


「一の浜ですか。

 確かに街の名前としては……ありなのでしょうが……」


「どうした」


「いえ、ここに外国からのお客様をお招きするのですよね」


「ああ、そのつもりらしいな。 

 フラン達は」


「ということは、ここは首都、もしくは国の玄関口になるわけで、そこの名前としては……なんというか威厳と言いますか、もう少し何とか……あ、失礼しました。

 決して名前について文句を言いたいわけではないのですが」


 同も目の前にいる奴だけでなく、さっきの者も『一の浜』の名前に含むところがあるらしい。


 そういえば、これを決めた時もあいつら微妙な顔をしていたが、早く酒が飲みたかったらしく、さっさと話し合いを終わらせたな。


 どうでもいいことだが。


 そうしているうちに、俺が来た道の方から大きな音が聞こえてきた。

 キャタピラの音だ。

 ドワーフの親方がブルかパワーショベルを持ってきたのだろう。


「守様。

 ここにいたのですか」


「ああ、お前たち皆が気持ちよさそうに……一部には頭を押さえていたのがいたな」


「がははは、昨夜は久しぶりだったもので、少々深酒をしてもうた。

 ここが外と貿易するようにでもなれば、酒ももう少し飲めるようになるかね」


「ああ、皆が気兼ねなく、好きなだけ酒が飲める地にしていきたいな」


「そうですね。

 そのためにも頑張りますか。

 で、どちらから始めますか」


「ああ、迎賓館?だっけか。

 客を迎える家からだな」


「わかりました、それなら当分これは使わないか……手隙に桟橋の方も始めさせますね。

 これを遊ばせているのも惜しいですからね」


「作業の方は任せるよ。

 あ、紹介しておくか」


 俺はそう言って、ドワーフの親方をここで作業を監督していたものに紹介して、俺は海のほうに歩いて行った。

 海の方ではすでにドワーフたちが桟橋を作るための準備に入っていた。


「や~、おはよう」


「あ、使徒様。

 おはようございます」


 もう俺に対する呼び方が人によってバラならだが、気にしないことにした。

 元は俺が使徒呼ばわりを嫌がり、大魔導士についてもいい顔をしなかったので、統一した敬称が決まっていない。

 領国と称することを決めたのだから領主様でいいのではないかと俺は思っているのだが、フラン達はその国名も気に入っていない。


 あくまでも『仮』の名称ですからと、あの時に散々念を押していた。


 そのうちにこの辺りも落ち着くことだろう。

 それよりも、桟橋の方も作業を始めるようだ。

 桟橋が決まらなければこれから作る屋敷から桟橋を結ぶ道も決まらないので、合理的と言えば言寝なくも無いか。


「それで、いつから実際の工事をするつもりだ」


 俺は桟橋を建設するにあたって、調査をしていたドワーフの一人を捕まえて聞いてみた。


「はい、頭が今日ここにブルを持ってくるそうなので、それを待ってからになります」


「あれ、さっき持ってきたのはブルではなくパワーショベルの方だったような……」


「ええ、あれはたぶんですが、屋敷やこれから大量に使う杭を作るために森で使うものかと」


「そうなのか……」


 彼らが言うには、ブルドーザーでこのあたりを整地した後、桟橋の建設予定地に仮の杭を打ち、その後その杭から海に向かって木製の杭を打っていき、桟橋にしていくらしい。


 コンクリート岸壁しかなじみのなかった俺でも木製の桟橋については見たことがある。

 湖などでレンタルボートに乗る時に使うやつだ。

 そう、ボートくらいしか使わないような小さなものしか知らないが、あのこれから修理する帆船を繋ぐ桟橋になるそうで、そこそこ大きなものにするらしい。


 まあ、そのあたりは、これから彼らに期待するしかないので、任せると一言だけ言い残して俺はフェリーに戻っていった。


 それから数日は、一の浜で作業を見守るだけの割とのんびりとした生活が続いていた。


「最近は、のんびりできて良かったですね」


「フランか。

 ああ、少し前までは、本当にいろいろとあったしな」


「その件では、守様にお詫びしませんと……」


「お詫び?

 なんだ、それは」




「ええ、祖国とはいえ、あまりに無礼な態度でしたし、そもそもいきなり現れてですからね」


「ああ、そういえばいきなりだったかな。

 でも、そろそろ何らかの接触があることくらいは予想はしていたのだろう。

 前に船を助けた時の件があることだし」


「ええ、それはそうなのですが、予想に反してあまりに……でしたので」


 フランもあの時のことを未だに尾を引かせている。

 確かに、外交というのを俺はよく知らないが、少なくとも初対面の時にする態度ではなかったな。


 いくらフランが自国民だとしても、あの時のメンバーはどちらかというとダーナ達の方が主勢力のような感じで臨んだはずだ。

 ダーナ達は彼らにとって初対面になるはずなのだが、それにしたってあの態度は無い。

 それに彼らの要求は俺たちに協力の要請に来たはずだよな。

 あれで心から協力したいと言いう者がいれば俺は見てみたいよ。

 普通ならば塩をまかれて『帰れ!』とすぐに追い出されるものなのだが……あ、塩をまくのは日本人だけか。



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