第9話 金銀対決勃発?
この世界には人間によく似た生物、つまり亜人が当たり前のようにいる。
メタいが、現実世界で言う少数民族のような扱いだ。常識外れとまではいかないが、基本身体能力が高い。そして、なにかしらの特徴を持っている。嗅覚が鋭いだとか、夜目がよく効くとか、そんな程度。
また、普通の人間も現実世界よりは多少身体が強い。さらに、能力者は無能力者よりさらに強い。この世界の人間(能力者だが、能力不使用)の100m世界記録が9.37秒という感じに、少し身体能力が高いし、ついでに頑丈。
だから、一介の学生たちが本気で殴りあった時、数m程度は吹っ飛ぶし、それくらいの攻撃を食らったって即死なんかはしない。
これが身体強化系の能力者でもないのに、殴り合いの描写が現実離れしてる事への説明だ。
時と場合によって描写が変わるかもしれないが、しっかり身体を鍛えた能力者は結構現実離れした挙動をすることもある。2-3階からスーパーヒーロー着地とかしても怪我があったり無かったりするかもしれない。
「銀狼と戦って欲しい?」
授業と授業の合間、つまり休み時間にクラスメイトからそんなことを言われる。
「ああ、そうなんだ。」
「みんなその話で盛り上がってる。」
どうやら、学校中で議論がなされているらしい。
強きを挫き、弱きを助ける正体不明のヒーロー"銀狼"
と
彼氏募集中、無敗のファイター"金虎"
どちらが強いか。
誰が彼氏募集中だ。
どちらも連日、新聞部の発行する新聞に名前が載るスーパースター。
そしてどちらも未だ敗れた所を見たことが無い。
最強vs最強
どちらが勝つか日々、議論され続け、対戦して欲しいという生徒が増えてきた。
「うーん、私はいいけど、銀狼...さん?とはコンタクト取れるの?」
「ああ、新聞部の部長が正体を突き止めたらしい。教えてくれないけどな。」
あの、新聞部の部長、銀狼の正体を突き止めたのか。やはり実力は本物か...やるな
ちなみに俺はクラス内では普通にコミュニケーションは取っている。
俺だって学生生活を楽しみたいんだ。みんなでカラオケ行く時とかもついて行ってる。
カラオケは男とも行くが、その時は少しスキンシップとかして「こいつ、俺に気があるんじゃ」と思わせようとしているが、如何せん"金虎"としてのネームバリューがある故か、告白とかは全くない。
ああ、距離が近い人なんだな、可愛いな。くらいに思ってることだろう。
もしかしたら、お持ち帰りとか狙われてるかもしれないが、俺は酒を飲まない。いくらなんでも素面で男の家には上がり込めないよ。
「それじゃあ部長には戦うって言っておくよ。」
ああ、そういやこいつ新聞部だったな。
こいつは敵だ。
冗談はさておき、銀狼と戦う...か
見たのは1度だけ、保健室の帰りに中庭で戦っていた。
一瞬に現れ、一撃で気絶させ、一瞬でいなくなった。
どれくらい強いか、楽しみだな。




