第7話 大失敗
俺は女になってから性的なものを避けてきた。
まあ女体化したばっかの時は何度かした。
ただ、男の時と違い、明確な終わりが無いので長時間シてしまい、これはまずいと思ってなるべく考えないようにしてきた。
今となっては性的なものとは無縁だ。
これが今困っている事だ。やっていることがちぐはぐだ。
つまり、何が言いたいのかというと、他生徒を性的に煽ってはいるが、実際に性欲を向けられる覚悟をしていなかったのだ。
「俺と付き合ってください!」
クソッ、想定外だ!
エロい目で見られるまでならば良かった。
まさか勇気を出して告白されるとは!
中々気骨のあるやつだ、気に入った。とはならんのだよ。
しかし、演じているキャラ的にどう動くのが最適解なのか分からない。
恋人は作らない主義な気もするし、遊びで付き合ってくれそう感もある。
もっと事前に考えておくんだった。
人の思っていることなんてわかる訳無いのだが、男が女に告白しているのだ。つまり、俺と〇ックスしたいって言ってるようなものだ。元男だから分かる。
"アキラ"にビッチという印象を持たせたくない。
だから俺は断らせてもらうことにした。
「私、恋人とか作らない主義なんだ〜...キミのことが嫌いってわけじゃないんだけど。だから、さ?ごめんね?」
「そ、そうなんだ……ちなみに、なんで作らないの?」
さて、難しい質問だ。
何故って今考えなきゃいけないからな。
お前がキモイから?いやダメだ、イメージダウンだ。
いい人が居ないから?いや、勘違いした男共から今後、告白ラッシュを食らう。
「理由?ん〜」
考えろ俺。
明確な理由が無いならワンチャンいける、そう思う輩が居てもおかしくない。
男性恐怖症だとか、自由な時間が無くなると言えば、諦めがつくだろうが、前者は扇情的な振る舞いに合わないし、後者はなんというか、人として小さい気がする。自分の時間ばっか気にしてるようなやつイタイな〜みたいな。
……これしかないか
「少なくとも、私より強くないとね?だから、基本作らないってわけ。」
自分より強い人が理想。
そんなやつは居ないから恋人は作らない。
自分より強いだけが条件じゃない。
そう言っている訳だ。
これでいくらでも断れる。
万が一俺より強い奴が来ても、最悪何か理由つけて逃げれる。
勝ったな。
結論から言おう。
この発言は大失敗だった。
この日から俺は戦って勝ったらヤレる女として、毎日放課後に戦うことになってしまった。