第6話 銀狼
この学校はまだ1年目なので1学年しか無いが、クラスはなんと25クラスある。そして1クラス40人だ。
つまり今年の入学者、在校生は1000人ってことだ。
来年には2000人、来年は3000人だ。
敷地はかなり大きいし、まあ収容出来るだろう。
しかし街はどうだ?住居や商店街が飽和するのは目に見えてる。
自治体は何を考えているんだ。
あ、ちなみに俺のクラスは17組だ。
クラス分けの基準は不明、出席番号も何故か名前順って訳でもなし。そこは別に名前順で良いだろう。
昼放課になってやっと保健室から開放された。
クールなお姉さんは喧嘩も強かった、となればもっと性癖に訴えかけられること間違いなしだ。
とルンルンで教室に戻る。
ふと、中庭が騒がしいことに気づく。
見れば、どうやら喧嘩が起きてるようだ。
どこもかしこも...
何故みんなそれ程までに血気盛んなんだ。
あれか、能力を持っているのは自分だけで、無双出来るとでも思っているのか。
俺はバイトをしてる時に思い知ったぞ。
この世には俺なんかより強いやつは無限にいるってな。それが敵にいたり、味方にいたりするんだ。
あの環境は本当に実力を付けるにはいい環境だった。
二度と戻りたく無いが。
それで、その喧嘩だが、どうやら一方的だったようで片方が片方をボコボコにしている。
助けるにはちょっと距離があるな。
ふと、5m程の距離に人影がある事に気付く。
はて、今まであの距離に誰かいただろうか。
よく見えないが、銀髪ってことは分かる。
あ、一撃で倒した。あの銀髪かなり強そうだ。
まあ、強いやつはいくらでもいるってこった。
俺が保健室にいる間にも何人か保健室に来たやついたし、色んな所でトラブってんだろう。
...あの銀髪、いつの間にか消えたぞ。
テレボート系か?
怖いもんだね、この学校も。
教室に戻るとクラスメイト達に囲まれる。
みな口々に俺のことをめ称える。
よせやい、照れるべ。
「あれくらいは、朝飯前だよってね。あははは!」
ああ、学生生活、楽しい!
翌日登校すると、新聞が貼られていた。
新聞部?なんてあるのか。
ああ、そういえば部活とかは自由に作れるんだったな。
「えーと、なになに?」
"銀狼あらわる!"
なんだこれ。
どうやら、昨日の昼放課に中庭にいた銀髪のことらしい。
銀色の髪に狼の面だから銀狼らしい。
このお面、夏祭りとかにあるやつじゃねーか。あんまかっこよくないぞ。
あと珍しく制服を着ている。
確かに私服よりも制服の方が正体バレしなそうだ。
しかし、異名っていいな。
俺も欲しいぞ。