第19話 行き止まり
学校襲撃から数日後
季節外れの大雪で街は大騒ぎだ。
俺は急な温度変化に耐えられず家に引きこもっている。
しかし、一日中こうしてる訳にもいかない。
今日はクラスメイト達とパーティをするのだ。
郊外のゲストハウスを借りてクラス全員で、学校襲撃生き残りおめでとうのパーティだ。
考えてみたら今まであんまりクラス皆で遊ぶみたいなイベントは無かったからいい機会かもしれない。
クラス委員長は結構頑張ってくれている。
夜から開始だから、そのままオールかな?
一部の人たちは帰るだろうが俺はオールするぞ。情緒は男子高校生並みだからね。
ならば昼間のうちに寝ておこうかな。
寝る前にくるまっておいた毛布から顔を引き剥がして意識を覚醒させる。
時計は18:17を指している。
確か集合は19:00だったな。
そして、ここから会場までは30分。
間に合うと思ったか?
残念、化粧やらヘアセットやらで全然足りない。
即ち遅刻確定だ。
頭を抱えて皆に申し訳ねぇと思いつつ準備を始める。
そうだ、連絡をしておこう。
「ごめん!30分くらい遅れる!」
「大丈夫だよ〜。主役は遅れてやって来るもんね笑」
「ごめんって笑」
よし、なんとか大丈夫そうだ。
準備完了、さっさと家を後にする。
雪はかなり積もっている。30cmくらいだろうか?異常気象過ぎるな。
しかし予報では今夜がピークらしい。
「うぅ、寒い」
外に出ると肌を突き刺すような寒さが襲ってくる。
流石に冬物なんてある訳もなく、秋物だけ着て凌ごうとしている。
が、大分厳しい。ちょっと走っていくか。
商店街を通り抜ける時、ふと思った。
何か手土産があった方がいいだろうか
そう思いシャンパンとシャンメリーを1本ずつ購入して商店街を後にした。
19:15
郊外に流れる大きめの川にかかる橋を渡る。
やはり雪があると雰囲気が全然違う。
雪の白と夜の闇が電灯に照らされてよく映える。
遅刻しておいて申し訳ないが、とてもいい気分だ。写真撮っちゃお〜♪
夜の街を小走りで往く。
ゲストハウスまでは10分程だ。
因みにバイクで来なかったのはドラテクに自信が無いからだ。さすがに雪の上を走った事は無い。
まあ小走りして転んだら不味いなーと思いながら走っているのだが。
ふと目の前の街灯に照らされた、ナニカに気付く。
目を擦り、幻覚の類かと確かめる。
どうやら実際にそこにあるようだ
青黒い煙が吹き出し、固まり、青い膿汁にまみれた原形質の実体が姿を現す。
こいつが何なのか分からないが、俺は急いでいるんだ。
「さっさとお前を倒して俺はパーティに行かせてもらうぜ!」
「アキラちゃん、遅いね。」
「ああ、もう9時だ。2時間も遅れてる」
「LINEに既読も付かないし、見に行った方がいいかな...」
「そうだな...じゃあ僕が行こう」
クラス委員長として率先して僕が動く。
うちのクラスの英雄、アキラに限って何かあるなんてことは無いと思うが...まあ道に迷っているだけかもしれない。
まさか......いや、変な推測は辞めておこう。
少し着込んで外に出る。
「とりあえず、駅の方かな...?」
夕方通った道を引き返す。
やがて、橋までたどり着く。
来た時はまだ日があったが、完全に日が沈み闇に染まるとまた違う雰囲気を纏っている。
ふと、橋の丁度真ん中辺り、街灯に照らされたモノに気が付く。
あれはなんだろうか
恐る恐る近付いて行く。
...人だ。人が倒れている。
急いで接近し、少し積もった雪を払う。
そしてその顔を見て驚愕する。
「ア...キラ......?」
そこには僕が探していた者があった。
既に息は無く、目は半開きで虚ろ、腹が大きく欠損し、周囲の雪は赤く染まっていた。