第12話 決戦前夜
今日は木曜。
銀狼との勝負を控えた前日。
特に対策とかは考えていない。
銀狼に能力は、突然現れ、消えることからスピード系かテレポートとかそういうのだろう。
直接戦闘もほとんど情報がない。だいたい姿を現すと同時に相手を気絶させるから。
だから勝負は私がそのスピードを見切れるか、その一点だ。
だから今日は何も考えず寝る。オヤスミ!
余談だが、結局月曜日に悠真と会った。
彼とはセ〇レみたいなものになった。
ハマっちゃったんだからしょうがない。
まあそのうち本命でも見つけて疎遠になるだろう。あまり深く考えていない。
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私は新聞部の部長だ。
遂に待ちに待った明日が来る。
学校のスーパースター、銀狼と金虎を戦わせるエキシビジョンマッチの開催。
銀狼の正体を突き止め、脅した。
「正体を新聞に書かれたくなければおとなしく戦え」
そのうち殺すと言われたが、知ったことか。
真実を追い求めるものとしては本望だ。
さて、では明日の試合の勝敗予想でもしておくか。
銀狼の過去確認された戦闘回数は計 9回
そのすべてで突如現れ、いつのまにか姿を消している。
そのうち最初の二度は姿を現した後、いくつか言葉を交わしてから一撃で勝負を決めている。
それ以降は姿を現すと同時に不意打ちで、かつ一撃で決めている。
よく鍛えたテレポート系か、目で追えないほどのスピード系の能力。
銀狼は情報が比較的少ない。分かっているのはこの程度だ。
反対に金虎はかなり情報が明かされている。
金虎の過去確認された戦闘回数は計 7回
そのうち五度の勝負で相手に降参をさせて勝っている。
そう...五回も、だ。
その勝ち方というのも、まず能力を使わず戦い、相手にいわゆる奥の手を出させてから能力を発動して、奥の手を破ってから降参を勧める、というものだ。
そしてその能力というのは、通称"嵐王モード"だ。
"嵐王モード"になると、周囲に乱気流が発生し、金虎の身体を全ての攻撃がすり抜ける。
正真正銘の無敵モードだ。
また、"嵐王モード"発動から一分が経過した試合はない。
発動すれば勝ち確定の能力。いや、勝ちが確定するタイミングでこそ使っているのか。
また、金虎にはかなりの観察眼もある。
実際少し戦っただけで相手の能力を突き止め、瞬時にその対処を行う。
金虎は"嵐王モード"がなくてもちゃんと強い。
実際、降参をさせずに勝った試合は能力なしで勝利している。
金虎の方は能力なしでの底は見えるが、ひとたび発動してしまえば負けるビジョンが見えない。
銀狼は正真正銘、底が見えない。
私の予想では、金虎が勝つと思っている。
銀狼には"嵐王モード"を突破する術があるか?
だが、勝負は何が起きるか分からない。
明日の試合は実に楽しみだ。