第87話 安心
(優視点)
「ところで、ユウカちゃん。二人の慣れ初めは?」
「お、お義母さん。は、恥ずかしいです。」
「きゃー、乙女!かわいい。」
「初めて会った日は、、、。」
こんな感じでユウカフィルターの入った当時の様子がスラスラスラスラとユウカの口から漏れ出していく。
「わ、わかったわ。」
ただし、お義母さん、百原優は知っていた。スキル「全知全能」からその様子を動画のようなイメージで。かなり美化されていた。そして思った。もしかしてうちの息子ってもしかして天然の人たらしか。
<いいえ、ユウカさんに問題があります。>
ん?どういうこと?詳しく教えてください、「全知全能」さん。
<わかりました。もともとユウカさんは竜国の第二皇女で王族です。>
そうだったの?!
<そして、小さいころから政略結婚の話が上がっていました。また、ユウカさんはずっと竜国にある細かな違和感に気づいていました。第二皇女という微妙な地位だったからこそわかったのでしょう。そして、最近、一つの大きな仮説ができてしまいました。この国は女神に操られているのではないか、自分の家族さえも、というものです。そして、女神は邪魔に思い、暗殺者をユウカさんのもとへ送りました。そこにたまたま賢人さんたち一行が通ったということです。誰も信用できないなかで手を差し伸べたのが賢人さんだったのです。>
確かにそれは恋に落ちるわ。そんなつらい過去を持っているんだね、ユウカちゃん。
「これからは安心してね。ぎゅー。」
「はわわ。お義母さん、急に、、、。」
とても平和な空気が流れていた。




