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第272話 赤い荒野
「う、一体さっきのは何だったんだ、、、。」
「あれ?今度は、、、。」
「蒼!!」
「賢人さん!!」
「「本物だ!!」」
「あぁ、蒼だ。蒼だ。良かった。」
「私もです。ほんとに賢人さんだ。」
「『私も』ってことは蒼もさっきまでなんか変なものを見ていたのか?」
「賢人さんもですか。なんか気持ち悪い夢のようでした。」
「あ、いろいろ考える前に探さなくちゃ。」
「賢人さんもですか、私も探さなければいけない人がいるんですよ。」
「多分、考えていることは同じだな。」
「「『全知全能』さん!!」」
あの見た世界になぜか「全知全能」さんがいなかった。
なぜかは分からない。
けれど、「全知全能」さんが危険な状態でいることは確かだ。
その証拠にスキルとしていない。
「ただ、ここはどこなんだ。」
「そうですね。少なくとも地球じゃないと思います。」
周りを見渡す。
真っ赤な空。
血が固まってできたかさぶたのような色のすな。
まるで血が流れてできたかのような色をした水の川。
そんな水を吸ったであろう、樹皮がほんのり赤い木々。
そんな赤が目の前を埋める荒野に俺らは立っていた。




