第29話 避難
突如、ユウタに逃げるよう言われた俺と彩陽。俺らはユウタについて行った。そして、ついて行った先にはシェルターらしきものがあった。
「この中に入れ。」
「ああ、わかった。」
そう言って入った。
「「お邪魔します。」」
「ところでユウタ、なんで俺らはこんなところに来たんだ?」
「それはだな、魔王が復活したからだ。」
彩陽の表情が暗い。大丈夫だろうか。
「ダンジョンで異変は感じられなかったが。」
<はい、ダンジョン内で異変は何も感じ取れませんでした>
おお、久しぶり。忘れていたのすまん。
<フン。>
あ、絶対怒ってる。ほんとにすまなかったって。
「理由は単純。竜国で勇者が召喚されたからだ。仲間がそう伝えてくれた。そのうち、魔王はダンジョンから出て暴れ始めるだろう。そして、違う場所に移動するまで自分らは気づかれないように過ごさなければならないんだ。町のみんなも避難しているだろう。」
そして、俺らは地下シェルターの中で生活を送った。一応、定期的に顔を出して魔王が来ているかどうか見張りをしていたが、数日たっても特に何も変化は起こらなかった。やっぱり魔王は復活していないのではないだろうか。
<復活していないと推測>
だよな~。
「なあ、ユウタ。情報を持ってきた仲間って信用できるのか?」
「ああ、あいつの情報がなければ、自分らはすでに死んでたな。」
そんなに信用されているのか。なら、勇者召喚は確実だな。ただ、勇者召喚されたら毎度魔王が確実に復活しているからな。例外はなかったっけ。
<いいえ。今まで見た資料の中ではすべて勇者召喚されると魔王が復活しています>
う~ん。どうしたものか。
結局、魔王が現れることはなかった。




