表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

短編他

ハズレ職業、あそび人

作者: 如月ふたば

 この世界は生まれてすぐ、名前と共に職業を授けられる。

 

 私が授けられ職業は、遊び人。

 

 私はスーと名付けられ、祖母に育てられた。


 父方の祖母が、両親から引き取り育ててくれたのだ。

 祖父母が裕福なお陰だった。

 独り立ち出来るようにと、生きるための最低限を教えてくれたのも祖母。

 そんな彼女は、私が8歳になる前に他界。

 祖母を見送った後、祖父母の家を出た。

 大切にしてくれたのは、祖母だけだったから。

 

 どうせ遊び人。フラフラしているのが性に合っている。

 

 空を屋根とし、大地を寝床とする。

 そんな生活をするんだと意気込んで。


 思っていたより放浪の旅って大変かも。

 もっと色々、家から持ってこればよかったなぁ。

 どうすべきかどこかで考えようと、向かった先は以前から気になっていた一本の大きな木。

 

 のんびり来たから、もう日が暮れ始めてきてしまった。

 

 木に向かい草むらを歩く。

 なんか踏んだ。

 バキィって大きな音共に、大きな何かを踏みつけた感じしかしない。

 

 走って逃げた。

 

 若干の距離を走り、木に辿り着き音を立てた方を見た。

 根っこの様な物を踏んだらしい。

 木って、しかも根っこってあんな音する?

 しかもココ草原ですよ。

 気のせいですね。

 

 気付かなかったことにして、予定の木に到着。

 木の根元で休むため座る。

「こんな遅い時間にお前さん、何してんだい? 」

「家出してきたから今後の予定立てるために、持ってきたもんの確認とか色々しようと思ってね。

ちょっと座らせてもらうよ」

「勝手にしな。って、お前さんワシの話が分かるのかい。

いや、まさかな」

 自らを人と言い切った、木がまだ何かぶつぶつと続けている。


「話してる内容わかるよ。悪いけど今は疲れてるんでね。細かいことは明日にしてくんない。じゃ、おやすみ」

 眠ろうとするも、木がどんどん話しかけてくるせいで眠れない。

 面倒だから全てあそび人だからと言って寝てやることにした。


 失敗した。

 全部言わないと寝かせてくれそうにない。

 仕方なく、自分が遊び人だからか人間以外と話せること。

 祖母の言いつけで家を出るまで植物などと話せることを隠していたこと。

 先ほど家出してきたことなどを掻い摘んで話した。


「ワシはそろそろ寿命が尽きる。お前さんワシに少し付き合え。先ほどワシの一部も破壊され、さらに時間が無くなったのだ」

「……まさか、根っこ的な? 」

「お前さんだったのか。犯人であるお前さん、名は何という」

「スー、あんたは? 」

「ワシはブレシル、名を交換しよう」

「お断り『そなたの真名をブレシルとし、今後はブレンヌスと名乗るがよい』

 ブレシルが言うと、ブレンヌスの心臓辺りが光る。

「あ、もう決まっちゃった感じですかね」

「ワシからの門出のプレゼントだ。ワシはもうすぐ深い眠りにつく。ブレンヌスよ、ここはもう安全ではなくなる。明日にでも出立するが良い。さぁ、お眠り」

 スーが言い終わる前に、彼女は深い眠りに落ちた。


 ブレンヌスが目を覚ますと、枯れた大きな木に寄り添っていただけであった。

少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ