現代3
ケンジ「ライターあるの?」
カナデ「ない」
そう言って、カナデはお香を持って台所に移動した。コンロの火でお香をつけた。ケンジの持ってきたボックス型のお香立ての上蓋を開いて、煙が出ているお香を置いた。煙に燻されて、上蓋から外国の文字らしきものが浮かび上がってきた。文字は赤く光っているように見えて薄気味悪かったが、気にせずケンジとの会話に戻った。
ケンジ「当日運び出す大き物はこの辺の棚と冷蔵庫か?」
カナデは軽くうなずき、引っ越しの段取りを細かく説明し始めた。すると、急に眠くなってきた。
カナデ「あれ、なんだろう、いっぱい寝たのにまだ眠いわ」
そういってケンジに話しかけると、ケンジも眠りそうになっていた。お香が部屋中を満たす。紫の煙が上蓋の文字を鮮明にさせる。
「地上と空が半分になる地で神器を用いて祈りを捧げよ。さすれば、創造主が1つの願いを叶え賜ふ」
カナデは読めないと思っていた外国の文字の意味が理解できた。意識は朦朧としてきた。何とか意識を保ってケンジを見ようとしたが、目が開かず倒れ込んでしまった。無意識に新しく広げた3つ目の段ボールを掴んでいた。