7/8
幕間 暴君姫君
戦いの痕跡。
それは、屋根を眩く照らす陽と共に染める赤褐色が知らせていた。
窓を閉めると、ミラは重の前で腰を手に当て立ちふさがる。
怯える重に、ミラは詰めより質問を投げた。
「今は、何時だ?」
すぐさま重は答える。
歯を、震わせて。
「ひっ! 午後一時です! はい!」
「午後一時……?」
ミラは、再び窓から景色を覗く。
相も変わらず瞳に映るのは、白銀の球体が、遠くで全てを光らせる光景。
住宅に見るは、何気ない日常の営み。
ミラは、窓を開け、家の塀を飛び越え――家と家の間を、獣のようにかけていった。
「もう登校時間を過ぎているではないかっ!!!」
叫びは、家の屋根に止まっていた鳥たちを羽ばたかせていく。
重は、その様子に腰を抜かしつつも、すぐに立ち上がった。
(今日は休みなのに)
心の呟きは、誰にも知られず。
そして――その理由すら、誰にも告げられないものであった。
(しかし、ミラは一体どこで、何を食べてるのだろうか。……まさか、ローラと寝泊まりしてる時、手料理を!?)
重は、顔色の悪い顔を、赤色に変える。
杞憂であれ、邪推であれと、何度も願いながら――。




