第六話 スパイシーロード
新キャラ登場です。
ソラ、リュウザン、リビティナの掘り下げをまだしていないのにキャラが増えるとキャラ管理が大変です
かと言って戦争の話なので増やさないわけにはいかないのが困りものですね
タルミッタは大陸にはない資源やそこの気候でしか栽培できない物を大陸に流す為にユグドラシル王家から分家した王族が治める島国。
その資源や栽培された物…主にスパイス等だが、港町マークスまで船で運ばれ、そこからライアーラ王国や他の国に持ち込まれていた。
港町マークスからライアーラ領まで森林が続いていたが、交易の為に開拓……スパイシーロードと呼ばれ盛んな街道となる。
しかしそれは昔の話。戦争の為に治安が悪くなり、現在はローエンと呼ばれる盗賊団がのさばり、旅人や商人が襲われ、余程急いでいない限りそこを通る者は皆無であった……。
「ハァハァ……」
何かに追われているのか、スパイシーロードを走る人影が…いや正確には街道を少し外れた森の中を身を潜めながら木々を縫うように走っていた。
走ってるのは二人で二人とも女性。一人は長く伸びた緋色の髪でお尻のあたりまであり、腰の辺りで髪を結ってる。
服装は赤を基調した旅がしやすいものだ。歳は20代前半~中盤と言ったところだろうか…。
その彼女に手を引かれ後ろで息を切らしながら走ってる者は7,3分けされた水色の髪で肩の下あたりまであり歳は10代中盤と言ったところだろう。
服装は清楚を思わせる真っ白な法衣を纏ってるが……白だけあり汚れが目立つ。所々黒ずんでいた。
服装から回復魔導士を思わせる。回復魔導士とはそのまんま回復系を専門にする魔導士である。
「ハァハァ……待ちなさいよっ!」
と回復魔導士が旅人の手を振り払い、足を止める。しかも口調はやけにトゲトゲしく目尻も吊り上がっていた。
「ん?……どうした?」
旅人も足を止め、振り返りこちらは落ち着いた口調で話す。彼女の方は息一つ切らしていない。
「どうした?…じゃないでしょうっ!?ハァハァ……貴女は旅人だから良いけど、ハァハァ……私は違うのよっ!」
更に口調が荒くなり、ますますご機嫌斜めになっていく。
「……悪い…少し休もう」
旅人は木を背もたれに腰かける。それを見た回復魔導士も腰を掛けるが3つ隣の木だ。
「ハァハァ…『オープン』」
回復魔導士は息を切らしながら収納魔法を唱える。すると彼女の右側に空間の亀裂が走り、そこに彼女は手を入れ水筒を取り出しゴクゴク飲みだした。
「ほー時空魔法か珍しい」
時空魔法とは時間と空間を操る魔法。希少で時空魔導士なれるのは1万人に1人とも10万人に1人とも言われている。
ただ消費魔力が大きいものもある、特に時間を操るのは生半可な事ではない。
理論上過去や未来に干渉できるが命を賭けたとしても数分~数十分とされている。
今使ったのは所持品を別空間に出し入れする魔法だ。
「コクコク…は~……何?文句ある?」
睨んでくるがきっちり水筒を投げて来た。
「……すまない」
時空魔法について触れた詫びなのか水筒をよこしてくれた詫びなのか良くわからないが旅人は水筒を口にする。果実水だった。
「ところで貴女、良く冷たいって言われるでしょう?」
息も整ってきたが、まだ機嫌が悪いのか、目尻が吊り上がりっぱなしだ。
「ああ……良く言われる」
「それに女じゃないって」
やけにツンツン突っかかる。しかもこの言動は第三者が見ていたら人の事言えないだろうと思うだろう。
「ああ、言われる。お主も同じ事言われるぬか?」
「なななな、何で私がそんな事言われなきゃならないのーっ!?」
顔を真っ赤にして怒り出す。旅人もはっきり物を言う。ますます怒って当然だろう。
「そうか……だが勿体無いと思うぞ?」
「はぁ?何が?」
「せっかく美しい身なりなのに、その言動で台無しだぞ」
「えっ!?美しい?キャーお姉様ったらぁ」
(こいつ二重人格か……?)
旅人が胸中そう呟くのも無理ない。今度はヤケにデレデレし出したのだ。
「ところで…お主、名は?」
「え!?え~ま、マンデ。そうマンデですわ。お姉様は?」
「(こいつ……わけありだな)私はサラ……で、何故盗賊団に?」
あきらかに偽名を名乗ったように思えたがサラと名乗った彼女は深く聞かず盗賊団に触れた。
「そんなの私が知るわけないでしょうっ!?」
(やはり……二重人格か?)
マンデと名乗った少女は再び目尻を吊り上げ機嫌が悪くなった。
さてこのマンデ……本名かどうか定かではない彼女とサラとの出会いと、何故森に身を潜める事になったのかその経緯だが、まず高く売れそうな少女マンデをローエン盗賊団が海賊から買い何処かに連れて行こうとしていた。
サラの方は気が向くままに旅をする冒険家で、盗賊団とは知らず盗賊団が根城にしてる砦で一泊させて欲しいと申し込む。
冒険家なら事前に情報を入手すれば問題なかったのだろが、彼女は根っからの冒険好き……故にピンチもまた冒険と楽しむ性分。情報収集は滅多にやらないのだ。
盗賊団はサラの一泊したいという申し出を快く了承したのだが、サラが寝てる隙に身ぐるみを剥がそうとした。まあ盗賊なら当然である。
サラは、それに気付き盗賊が根城にしている砦から逃げる事に……ついでに捕まっていたマンデを連れて来たというわけだ。
「ん?そろそろ行くぞ?」
「もう少し休ませなさいよねっ!」
「そうしたいが……追手が近くまで来てる」
「え!?」
慌ててマンデが立ち上がる。サラは今までの冒険の経験から、盗賊達を察知したのだ。
しかしマンデに合わせて走っていた為に、直ぐに盗賊達に追い付かれる。その数10人。
「へっへっへ……やっと追い付いたぜ」
悪党お決まりのいやらしい笑みをしながらナイフをペロリ。
「くっ!……追い付かれたか」
とサラ。
「よくも、うちの女を攫ってくれたな。サラさんよー」
「……お前等の女ではないだろ」
冷静にツッコミながらマンデを自分の後に下がらせる。
「まあ、どっちでも良いさ……その女を返すってなら、命だけは取っといてやるぜ!」
「……断る」
「お前の槍はアジトに置き忘れていたぜ。武器無しで何ができる?」
「ふん!私が槍しか扱えないと思ってか?」
「何?」
『精霊の名において闇を凍り付かせる……』
サラの周りの空間が蠢く。魔導士に言わせると精霊の騒めきらしい。
「お、お前、魔法も使えるのか?」
「『…氷塊となりて我に力を与え賜えっ!!』…ご名答その通りさ…『レイス』」
サラが右手を前にかざすと、掌から人の頭くらいの大きさの氷の塊が放出され盗賊を襲う。
「ぐわっ!」
「まだ終わりじゃないぞ…『レイスレイスレイスレイスっ!!』」
氷系初級を連続で唱え、右手、左手と交互に次々と氷の塊が放出され、盗賊達を襲い……。
「ぐはっ!」
「おわっ!」
次々に倒していった。
「す、凄い」
マンデが驚く……相変わらず目尻を吊り上げて。
「くっ!お前さんの出番だ。ゼフィロス」
と盗賊の一人が言うと彼等の後ろから剣士のような者が現れ、剣を抜いた。
髪が腰くらいまである20代前半あたりに見える男で紅い髪をしており、剣の刀身も紅い。特殊な剣だと思わせる。
いかにも実力者と言えるようなオーラをかもし出してる雰囲気だ。
「くっ!」
サラが唇を噛む。実の所サラは盗賊団を全滅させるのはわけなかった。しかしこの剣士だけは生半可な覚悟では勝てないと今まで冒険で培った感が囁き逃げてきたのだ。
サラは数々の困難を乗り越えてきた冒険家。戦闘においても槍と魔法による攻撃を得意とする。
また魔法の実力は、氷系初級魔法のレイスを連発できる程なのでかなりの使い手である。まあ初級なんだから当然と思われるが初級でも1回の詠唱に1発しか魔法を唱えられないのが魔導の基本。
サラは最初だけ詠唱し、其の後は詠唱破棄。更には連続使用した。熟練された魔導士ではなくては身体に来る負担は計り知れないのだ。
よってサラは、氷系の中級……いや下手すれば上級も使えると予想される。そのサラがゼフィロスに危険信号を感じてるのだ。
「マンデ…もっと離れて木の陰に隠れろ」
「え?」
サラの額に汗がつたり緊張が走ってるのが見えたのでマンデはしぶしぶ従う。
(槍のない今の私に勝てるだろうか…いや槍があってもこやつは厳しいだろうな)
「そっちから来ないならこっちから行くぞ!」
(考えている暇はなさそうだな)
サラは前方に飛び片手で前方倒立を行い、その片手に先程レイスで倒した盗賊の剣を掴み起き上がる。
ギーンっ!
ゼフィロスが振るった剣をなんとか防ぐ。片手では押し負けるので直ぐに両手で持ち力を籠めた。
二人の剣がクロスし、お互いの顔が間近に迫る。
(くっ!剣はあんまり得意じゃないんだよな)
胸中嘆くサラ。
「ほー…槍と魔法だけではなく剣もそれなりに扱えるのか」
「これでも一応冒険家なんでね」
「そうか……」
ジリジリとゼフィロスが力を籠めてくる。剣の押し合い…サラが押されている。冒険家と言えども所詮は女。男の力には敵わない。
「この刃がズレた時、お前の最後だ」
更にゼフィロスが力を籠める。
「くっ!……はっ!」
バーンっ!
サラはゼフィロスの腹部に蹴りを入れ、直後に後ろに飛ぶ。
「ハァハァ……」
剣の押し合いから解放されたサラだったが肩で息をしていた。
「あんた!男なんだから少しは手加減しなさいよっ!!」
木に隠れながら目尻を吊り上げたマンデが叫ぶ。相当キレてる……いや元々そういう態度だ。勿論ゼフィロスはそれを無視した。
地図は大体の目安です
マンデの本名は考えるの苦労しました(汗)
名前が全然思い浮かばない(笑)
先にサラの名前を考えたのでギャグで繋げてある名前にしようと思いました。
サラと来て、マンデ……。
元ネタ知ってる人は本名がわかるかもしれません。
まぁ最終決定したのはこれが理由ではありませんけど。




