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戦慄のイクタベーレ ~敗退せし者達の母国奪還の軌跡~  作者: ユウキ
One day③ それぞれの研鑽
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リビティナvsミク

 シャルス城の目の前の森で木々が燃えていた。しかし、直ぐにその木々が崩れ落ちる。よって燃え広がる事はない。

 だが、再び他の木々が燃えて崩れ落ちる。その後また燃えて崩れ落ちる。幾度か繰り返えされていた。


『ファイ』


 燃えていたのは、炎系初級魔法によってだった。それを使っているのは……。


「よぉ…大将!」


 ゼフィロスである。


「ん?…ホリンか」


 声を掛けてきたのはホリンだ。


「楽しそうな事やっているなぁ。こんなとこで、新必殺技の特訓か?」


 ホリンは軽い口調で聞いていた。


「ああ…これからの戦いは、もっと厳しくなるだろうからな」


 それを真剣な面持ちで答えるゼフィロス。


「ああ…それは俺も感じていた……ってなわけで俺も混ぜろよ」

「ああ…良いだろ。軽く手合わせから始めるか?」

「それは良いね……だが軽くな。本気になったら、どっちかが死ぬまで、やっているだろうからな」

「……そうだな」


 ゼフィロスが苦笑した。








 ・・・・・・・・・・・・


 シャルス城の会議室に使われている部屋で静かに座るジャイロの姿があった……。


 ガチャ!


 其処へソラが入ってきた。


「お呼びですか?ジャイロ団長」

「とりあえず座りなさい」


 ソラは空いてる席に座った。


「先日のシャルス城での戦いは何ですか?」


 ソラを睨む。


「何ですか?とは何の事でしょう?」


 冷めた態度で返す。


「本来のお前なら、積極的に先陣を切るのではないですか?」


 明らかにジャイロは怒っていた。


「調子が悪かっただけですよ」


 ジャイロと眼を合わせようともしない。


「先日だけではないです……此処最近のお前は一体何なんですか?」

「別に良いじゃないですか。作戦は成功したんですから……それに俺一人いなくたって問題ないでしょう?」

「そういう問題ではありませんっ!!」


 ドンっ!


 ジャイロは怒鳴りテーブルを叩いた。


「……リュウザン(・・・・・)が死んでからというものの様子がおかしいですよ」


 静かに言葉を繋いだ。


 ピクっ!


 その言葉にソラは反応し、立ち上がった。


「どうしました?」

「気分が悪いので失礼します」


 ソラは出口に向かう。


「待ちなさい!待ちなさいって言ってるのですっ!!」


 再びジャイロが怒鳴る。


「もうほっといてくださいっ!!」


 ソラも怒鳴った。


「部下をほっておけるかますかっ!!お前このままでは死にますよ」

「だったら、破団でもなんでもしてくださいよ!」


 最後にそう言うとバーンと扉を強く閉めて去っていった。


「ソラ……お前は一体どうしたというのだ……リュウザンは良き友であり、良きライバルだった事はわかる。だが……」


 ジャイロは頭を抱え、しばらく其処に残っていた……。








 ・・・・・・・・・・・・


 城の中のとある一室の前にリビティナが訪れていた。

 コンコンとノっク。


「はいは~い♪どうぞー」


 中から軽い口調のミクの声が聞こえて来た。


「失礼します」


 ガチャとドアを開ける。


「あ、リビティナ!どっしたの?」

「ミクさんにちょっと付き合って欲しい事がありまして」


 と言いながら、リビティナはミクが使用している部屋に入って行った。


「え?……えぇぇぇぇっ!!」


 物凄く驚き後退りしている。


「すみません。忙しかったですか?」

「いや暇は暇なんだけど……ゴニョゴニョ」


 何かブツブツ言っている。


「どうしたのですか?」


 リビティナが怪訝そうに首を傾げた。


「え~っと、気持ちは嬉しいけど……あたし達女通しというか……ゴニョゴニョ」


「女通し?……何を……はっ!!」


 突然リビティナが顔を真っ赤にし出した。


「あははは……なんちって」


 どうやらミクはリビティナをからかっていたようだ。


「ミ、ク、さぁぁんっ!!」


 声をやたら低くして、ドスが効いてる。


「ごめんごめん……冗談だからそんな怒らないで」


 テヘペロという感じで、反省している様子は全くない。


「ったく、そういうの止めてください」

「リビティナって硬過ぎるんだよねぇ」

「ミクさんが軽過ぎるんです!」

「う~ん…あたしみたいになれとは言わないけど、もう少し肩の力抜いた方が良いと思うよ。で、何?あたしに用事でしょう?」

「あ、はい!ミクさんに模範戦のお相手お願いしたいのです」

「えっ!?……あたし?何でまたあたしなの?あたし弱いよ?」

「セイランローヌ王女から聞きました。ミクさんは、バードの中で大鳥と心を通じ合わせた本物のバードだと」

「本物のバードねぇ……」


 ミクは不満そうに漏らした。


「違うのですか?」

「う~ん。確にあたし、チカとは小さい事から一緒だから何でもわかると思う……だから、そう言った意味では本物なのかもね。でも……」


 歯切れが悪い。


「?」


 リビティナは再び首を傾げた。


「剣はセイラ様に劣るし、槍はサラに全く敵わない。そして弓も貴女程の力はないの」

「でも、チカさんがいるじゃないですか」

「まぁね…でも、あたしって訓練とかって嫌いだから、いつも適当で、はっきり言ってチカに頼った戦いしかできないんだよね。あはは……」


 苦笑いをしている。


「……それでも良ければ、付き合うよ」


 そして、こう繋いだ。


「本当ですか?ありがとうございます……では今から良いですか?」

「良いよ♪」



 ・

 ・・

 ・・・



 シャルス城の裏は調度良い広場のなっているので、其処でリビティナとミクの模範戦をやる事になった。


「準備は良い?」


 上空で大鳥のチカに股がって剣を構えたミクがリビティナに向かって叫んだ。


「はい!」


 地上ではリビティナが弓を構えていた。


「んじゃ、こっちから行くよ~」


 チカに股がったミクがリビティナめがけて急降下。リビティナが弓を引く……が、間に合わない。


(は、速い!)


 そのスピード、常人では眼で追うのが困難なものだ。


「くっ!」


 ミクの剣がリビティナの肩を掠り、彼女はリビティナの横を通り過ぎて行った。

 掠る程度で済んだのは、咄嗟に避けたのも当然だが、最初からミクは致命傷を避ける攻撃していたのだ。


(チカさんに頼った戦い方ってのは、こういう事か……あの攻撃は自分は剣を構えているだけで済む)


 胸中呟き振り返る。


「っ!?」


 その瞬間、目の前から矢が接近。それを躱しミクを直視。


「い、いつの間にっ!?」


 ミクは弓に持ち替えていたのだ。

 リビティナの振り返る数秒の間にだ。更に矢を放っていたというオマケ付き。


「何が弱いよだ……全くのハっタリだっ!!」


 思わず叫んでしまいながら、その矢を躱した。


「弱いよ」


 とミクは平然と返す。


「馬鹿にしてーっ!!」


 矢を三連射。スっと一本目を右に躱し、スっと二本目も左に躱した。だが三本目は躱しきれない位置に矢が飛んでくる。


「っ!!」


 ミクが眼を見開く。


「しまった!」


 と漏らしたのリビティナだ。模範戦だというのに、怒りのあまり加減しなかった。


「チカ!」

「ピーィ」


 しかし、大鳥の名を呼ぶだけで話は終わった。呼ばれたチカは急降下、ミクを残して(・・・・・・)……。

 矢はミクの股の下を通り過ぎて行った。そして、残ったミクも重力に従い降下。その間にも矢を放っていた。

 それをリビティナが躱し、負けじと矢を返す。だが、その矢はミクの遥か下を虚しく通り過ぎていく。


「えっ!?」


 リビティナが驚く。

 いつの間にかチカの足は、ミクの肩を掴んでいた。次にミクは矢を四連射した。


(これは右肩にしか当たらないな)


 リビティナは矢の軌道を読み、その場から動かず半身左に反らし躱す。だが、その判断が間違いだった……。


 プスプスプスプスっ!!


 矢が地面に刺さる。これによって勝負がもう決まってしまったのだ。


「はっ!」


 負けじと矢を四連射するリビティナ。それをチカが肩から足を離す(・・・・・・・)事で躱した。それは即ち落下を意味する。

 ミクは一気に地面まで降下。そして地面に体が触れる瞬間、チカが地面スレスレの所に猛スピードで飛行、ミクを拾い上げた。

 そのスピードを緩めずにリビティナに真っ直ぐ向かう。ミクは弓からチカに携えていた槍に持ち替えた。一瞬でだ。

 ミクがチカにキャっチされリビティナの目の前に行くまでに数秒に満たない。だというのに、彼女は弓から槍へと持ち替えていたのだ。

 またミクの槍は特殊な形をしており、刃先が三股に分かれている。

 そして、ミクの肩を掴んだチカがリビティナに急接近。


「来る!」


 リビティナが咄嗟に、その場から離れようとした。が、それは叶わない。

 ミクが放った矢が前後左右に斜めに刺さっていた。常に上空を見ていたリビティナは気付いてなかったのだ。

 矢を跨ごうとしても、もう遅い。ミクは既に目の前……。


 シュ~っ!


 リビティナの横を強い風が走り抜ける。直ぐに振り返り構える。が、無くてはならないものが無い。構えたくても、無い(・・)のだ。無となった自分の手を見詰め呆然と立ち尽くす。


「私の勝ちねー♪」


 リビティナの弓(・・・・・・・)が引っ掛かった三股の槍を持ち、にこやかに笑う。これを目的とした槍なのかもしれない。


「完敗です」

「よー!リビティナ、探したぞ」


 と、誰かが其処にやって来た。


「あっ…ジェリドさん。どうしたんですか?」


 とリビティナが応える。


「ああジェリド…も~かりまっか♪」


 とミクがわけのわからない事を。


「ぼちぼち……お前にちょっと付き合って欲しくてな」


 ミクを適当に足らい、リビティナに用件を伝えた。


「付き合う?え、えっ!?ジェリドやる~」

「って、ミ、ミクさんまたですか?」


 リビティナが顔を真っ赤にする。


「だろう?」


 しかし、ジェリドは、また適当に足らっていた。


「は~……付き合うのは構いませんが、その前に良かったらミクさんと模範戦をやって頂けませんか?」


 リビティナが深呼吸して落ち着かせ、そう申し出た。


「ほへ?」


 真っ先にミクが怪訝そうに首を傾げる。


「何でまた?」


 ジェリドが訊き返す。


「ジェリドさんがどんな戦いをするのか見たいのです」

「別に構わないが……ミク、どうする?」

「あたしも良いわよ」

「なら……ホレ!」


 風弓フージンをリビティナに渡して来た。


「えっ!?」

「それ、リビティナのだろ?」


 ジェリドはミクの三股の槍に引っ掛かった弓を指差した。


「うん」


 ミクが答える。


「借りるな」


 と言って、槍から取った。


「でも……」


 とリビティナ。


「お前はいきなり、フージンで吹き飛ばすとこを見たいのか?」

「それは嫌ですね」

「あたしもそれは嫌だなぁ。あはは……」


 ミクもから笑いしながら一緒に答える。


「じゃあ普通の弓の戦いを見せてやるぜ!」


 自信たっぷりに堂々と言い放った。


「お願いします!」


 リビティナが眼を輝かす。


「あはは……お手柔らかに」


 しかし、ミクは苦笑していた……。

今回のOne dayは少し長いです

第九章、第十章に入れる事も考えたのですが、あっちこっちに話が飛び火するのもどうなのかなと思い、今回のOne dayにまとめました


その為、最初に描き出した第九章、第十章から今回の文を抜き出したので、わかりづらいかもしれません。

そうなっていたら、申し訳ございません(陳謝)

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